みちのくと能
私のフォロワー様の中には青森の方もいらっしゃって、それでふと思い出したのが能のお話です。
私自身は能の嗜みはないのでさっぱり興味がなかったのですが(苦笑)、青森つながりで思い出したのが、漫画家成田美名子さんの「花よりも花の如く」でちょっと登場した(コミック版19巻、Entre chien et loup~犬と狼の間に)、善知鳥という舞台です。
私もざっとあらすじを読んでから調べて分かったことですが、この善知鳥で出てくる「外の浜」って、現在の青森市及びその周辺地域なんですね。
だから青森市に善知鳥神社があるのかー、と納得。
允恭天皇の時代に建立されたと言いますから、青森の鎮守府として今でも大切に守られているのでしょう。
ちなみに、善知鳥はちゃんと現存する野鳥です。目の周りの白い飾り羽がチャームポイント😄
《出典|ウイキペディア》
物語のあらすじを読むだけでも、生計を立てるために善知鳥を殺し、死んでもなおその怨念の化身(化け鳥)に追いかけ回されるという、人の業の深さを感じずにはいられません。
そう言えば、「花花」では「東北は意外と能に関連する場所が多い」という事を述べていたなーと思い出しました。福島県もその例外ではありません。
福島で、能に関連する話題として私が思い出すのは、次の2つです。
1.安達ケ原
二本松市にある、有名な鬼婆伝説の舞台です。
二本松市に安達ケ原ふるさと村という施設がありまして、私もかつて訪れたことがあります。
地元では割と有名な話なので、県内在住者は耳にしたことのある人も多いかもしれません。
ざっくり言うと、
昔、いわてという老女が自分の仕える姫君の障害をなおすために陸奥へ下り、岩屋に住んで妊婦を捕まえてはその生き肝を取り出していたとのこと。
ある夜、いわては通りかかった夫婦を泊めた。
その妻は身重の身だったが、いわてはいつものように夫婦を殺してしまう。虫の息の中から妻は「行方知れずになっている自分の母を探している」と打ち明けて、息を引き取る。
だが、妻は実はいわてと生き別れになっていた実の娘だった。
それを知ったいわては発狂し、鬼婆になった……というお話です。
安達ケ原ふるさと村の片隅には黒塚や鬼婆が住んでいたという岩屋、そして人を殺すのに使っていた出刃包丁(結構大きかったです😅)や、人を殺した後、その出刃包丁を洗ったと言われる出刃洗いの池などもあり、想像するだけで背筋が寒くなりました……。
2.安珍堂
こちらは、白河市に縁があります。
能の世界では「道成寺」で、清姫に殺されるお坊様として有名です。
「花花」では「ストーカー殺人事件ですね」と説明していましたが、正にその通り(苦笑)。
で、何で白河市に「安珍堂」があるかというと(殺された場所は和歌山県にある道成寺)、この安珍というお坊様が白河出身だからなんです。
こちらも背筋が寒くなるようなお話ですが、一目惚れして最後は焼き殺してしまうって、安珍さんはどれだけ男前だったんでしょうか……。
でも、どちらも気の毒ですよね。
陸奥からはるばる修行のために上京したにもかかわらず、殺されてしまった安珍も。
自分の想いを受け入れてもらえない清姫も。
それにしても、これだけみちのくを舞台とした情緒豊かな作品が生まれるというのは、やはり中央政権のある地域と比較した場合に、貧しい地域だったという当時の世情もあるのでしょう。
想像になりますけれど、何となく当時の人にとってみちのくはある意味異次元の世界だったのだろうなぁと思います。
能の世界。
難しいイメージがありますが、自分に近い世界を当てはめると、見えてくるものがあるのかもしれません。
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