サッカーのTR設計における【プランニングとコーチング】
現在、2023年度のB級ライセンス講習を受講中。
その中で今一度、自分のTRのプランニングやコーチングについて整理できたのでまとめていきたい。
なお、今回はトレーニングの年間通してのプランニングや設計ではなく、あくまで1日の練習を考える上での設計に視点を置いて書いている。
サッカーの指導者仲間の何か気づきになれば嬉しい。
プランニング(オーガナイズ)
プランニングとは練習の流れを計画すること。ここが全て。
W-up、TR1、TR2、GAMEの4つのセクションの中で、そのテーマに沿って獲得させたいことが選手に身につくように計画しなければならない。
良い指導実践を行うために、必要な要素は3つある。
テーマの設定と理解
まずは自分が設定したテーマについて、ピッチの場所やその状況を具体的に整理できている必要がある。
例えば中央突破というテーマを設けたならば、場所はピッチのどのエリアか、場面として数的優位/同数/劣位なのか、相手の守備の状況はどのような状態が想定されるか、など具体的にそのテーマで起こりうる状況を頭にイメージできるようにしておく。
テーマの状況や必要条件の定義が曖昧だと、トレーニングもふわっとしたものになってしまうし、最後のゲームでも起こしたい事象(改善したい事象)が出てこない。
構成要素の洗い出し
テーマの状況や必要条件が整理できたら、次は構成要素(キーファクター)の洗い出しが必要になる。
テーマの達成におけるキーファクターを並べ、W-UP、TR1、TR2でどのような段階を踏んで学び、積み重ねていくかを設計しなければならない。
一つのセッションで全てを教え切ることは難しいので、各セクションにおいて重点を置くキーファクターを設定して、積み上げていく形を取ると良い。
GAMEからの逆算
TRは全てGAMEで起こしたい現象から逆算して考えるべきである。
TR2、TR1、W-UPはGAMEから切り取りを行って設計していく必要があり、具体的には「オーガナイズ」「登場人物の設定」「場面の設定」につながりをもつことが大切である。
つまり、ゲームのコートサイズやフォーメーションによって全てが決まる。
例えばW-UPでパス&コントロールをおこなう場合に、距離や配置をなんとなくや自分の感覚で決めていないだろうか?
そのパス&コントロールの配置やサイズはTR1につながりがある距離と配置でなければならないし、TR1のオーガナイズはTR2に繋がりがあり、またTR2は試合に繋がりがある必要がある。
つまり、そもそもパス&コントロールにおいてはオーガナイズをゼロから考える必要はなく、自然と決まっているのだ。
また、切り取っていく上で重要なのはリアリティとクラリティの比重である。
この二つは基本的には反比例の関係にあり、GAMEに向けてリアリティが上がっていくのが好ましい。また各セクションが担う重要な役割もあり、そこも抜け落ちないように留意すべきである。
W-up
プレーの確保
心と体の準備
TR1
明確な基準の提示
核となるキーファクターの定着
TR2
総合的なキーファクターの定着
GAMEに近い状況での基準の提示
GAME
プレー時間の確保
実際のゲームの状況での改善
コーチング
コーチングの目的は選手に対して、指導者の頭の中にある伝えたい内容を具体的に提示することである。
明確なキーファクターの設定
各セッションにおいて、ここだけは学んでほしいというポイントを必ず自分の中に設定すること。
なぜなら、TRを行なっているうちにあれもこれもと多くのことを伝えたくなってしまい、何も獲得しないままTRが終わってしまうから。
欲張らず、一つでも選手が何かを学習してくれればいいという心構えで臨んだほうが結果的に良いTRになる。
また、前のセッションでのキーファクターや強調していたポイントも積み重ねていけるように。
またキーファクターを伝える上では、「ワード」のチョイスも重要。
例えば「ラインを超える」「閉じる」「オープンに止める」など、選手の心に残るワードだとなお良い。
基準の提示と質の追求
コーチングにおいては「基準の提示」と「質の追求」(W-UPやTR1では特に)が重要である。
「基準の提示」とは、このTRでは選手に対して何をどれくらい求めているのかを提示することである。
例えば、パスアンドコントロールを行う場合は、どのように動き、どれくらいの質でパスを出す必要があるのか?をデモンストレーションなどで具体的に提示する必要がある。
また「質の追求」とは、基準を達成した後にもより良くなるようにさらに選手に対して働きかけることである。
基準をクリアした後も、コーチングによって質の追求を促すことでより良いTRになる。
下記に主なコーチングの種類を記載しておく。
☝ デモンストレーション、フリーズコーチング、シンクロコーチング
デモンストレーション
W-UP等ではデモンストレーションによってレクチャーしていくことも重要。
実際に見せることで基準の提示を行うことができる。
フリーズコーチング
問題が起きた時に一度その場面を止めて、具体的な解決策を全体に向けて提示する方法。
フリーズの留意点
全体に働きかける
状況を正しく再現する
関連する選手に必ず意見を聞く
いつ、誰が、どのようにすべきだったかを具体的に提示する
シンクロコーチング
プレーにシンクロしながら声をかける方法
シンクロの留意点
なるべく全員に声をかける
具体的に提示する(何が良くて何がわるいのか)
※5W1Hで事象をジャッジしよう
キーファクターや基準の提示でも必ず5W1Hで伝えることが大切。
いつ、どこで、誰が、何を、どうやってを明確にすることでより選手の理解を深めることができる。
具体的に言わないと伝わらない。
最後に
サッカーのTR設計のプランニングとコーチングにおいて重要なポイントを解説してきました。
テーマの設定と理解
構成要素の洗い出し
GAMEからの逆算
明確なキーファクターの設定
基準の提示と質の追求
実践する中で感じたメリットは、TRの中で起こる現象に対して解像度が上がり、良い悪いのジャッジがしやすいこと。
おそらく自分が見るものと判断基準が明確になっているからだと思う。
練習を考える際の参考になれば嬉しい。
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