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【論文レビュー】扁平足に影響する後脛骨筋機能不全への介入(足底板+ストレッチ+エクササイズ)

足と足首のコンディショニング講座を行うにあたり、過去の書籍や論文をもう一度読みあさっています。後脛骨筋機能不全に関する記事を読んでこちらの文献が引用されていたので読み返してみました。

今はGoogle翻訳やDeepLなど翻訳ソフトの精度も高まっているので気になる方は本文も読んでみてください。

Nonsurgical Management of Posterior Tibial Tendon Dysfunction With Orthoses and Resistive Exercise: A Randomized Controlled Trial

結論からいうと軽度の後脛骨筋機能不全症であれば、インソール+ストレッチ群、インソール+ストレッチ+求心性トレーニング群、インソール+ストレッチ+遠心性トレーニング群のいずれも有意に改善した。中でも遠心性群がもっとも高い改善を示した。

①どの指標を使ったのか
②求心性と遠心性のトレーニングは何を行ったのか
③インソールなしはなかったのか

といったことを知りたかったので実際の論文にアクセスしてみました。足の指標はいくつかありますし、トレーニングの方法も特殊な方法な場合もありますからね。

足の指標

今回の研究で使われた指標はFoot Function Index(FFI)、5分間のウォークテストの2つ。FFIに関しては以下の通り。

A Foot Function Index (FFI) was developed in 1991 to measure the impact of foot pathology on function in terms of pain, disability and activity restriction. It is a self-administered index consisting of 23 items divided into 3 sub-scales. Both total and sub-scale scores are produced.

参加者は痛み・動きの不自由さ・活動制限に関わる23の質問に対して、0-10の範囲で回答していくというもの。実際の質問事項はこちら。(https://www.physio-pedia.com/Foot_Function_Index_(FFI)より引用)

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裸足で立っている時や歩いている時、靴を履いている時、外で歩くのに困難を感じるか、杖を使っているかなど。

足の評価といえばFoot Posture Index(FPI)Arch Height Index(AHI)などの足の形状の評価と、Foot Functional Index(FFI)のように足の機能の評価に分かれます。

形状を測った方が客観的でわかりやすいですが、機能を点数化しておくことで「なんとなく良くなった感じがする」といった曖昧な表現も除外できるわけです。腰痛でいえばSTarT Backスクリーニングツールのようなものもありますね。

5分間のウォークテストではできる限り速く歩いた距離を測定することと、歩き終わった後にVisual Analog Scale(VAS)で痛みの度合いを評価しました。ここでのポイントは主観的な評価だということで足の甲の高さの変化などは調べていません。

レジスタンスエクササイズ

レジスタンスエクササイズに関しては多少特殊なマシンを使っています。(文献より引用)

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足底を板につけたまま水平面において内転方向に力がかかるもの。3のレバーによって負荷をかけるのでそれに対してコンセントリックに力をかけるかエキセントリックに力をかけるかを選択しています。

これは特殊なマシンを使わなくてもチューブであったり腹筋をシェイプするツイスターみたいなものを使えば代用できますね。

プロトコル

36人の参加者を足底板+ストレッチ群、足底板+ストレッチ+コンセントリックトレーニング群、足底板+ストレッチ+エキセントリックトレーニング群の3つのグループに分けて12週間の介入を行う。

足底板はカスタムメイドのもの。

ストレッチは腓腹筋とヒラメ筋をそれぞれ30秒×3回を1日に2セット行う。トレーニングは15回×3セットを正しい技術で行えるように習得し、負荷に慣れてきたら負荷を調節する。

結果

FFIに関してはどのグループでもスコアは減少していました。特につま先立ちをする、椅子から立ち上がるといった動きの困難さを示す「Disability」はエキセントリック群において顕著に減少していたのが見てとれます。

これまでの研究でエキセントリック活動の筋線維束長が増加する傾向にある、優先的に速筋線維が動員される、筋の感受性が高まるといったことがわかっているので、もしかしたらその辺りが動きに関するスコアに影響を及ぼしているかもしれません。

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また、5分間のウォークテストは上記(文献より引用)のようになりました。足底板+ストレッチ群は距離が伸びなかったものの、痛みは減少。コンセントリック群とエキセントリック群は距離が伸び、しかも痛みも減少していました。

ここでデータを見るときに私が気をつけていることは平均が伸びているからといって鵜呑みしないようにしています。

平均値だけを見るとコンセントリック群の方がエキセントリック群に比べて距離が伸びていますが、( )の中を見てみると数値が大きくなっています。これは標準偏差のことで数値が大きいほどばらつきが大きいということを示しており、コンセントリック群の方がばらつきが大きいなと感じました。

標準偏差に関してはこちらに詳しく書かれています。

めちゃくちゃ歩けるようになった人もいれば、あまり歩けていない人もいる。これはストレッチ群においても同じことが言えます。とはいえ、FFIと5分間ウォークテストからは、

エキセントリック>コンセントリック>ストレッチ

という優先順位なのかなという結果になりました。エキセントリック活動に慣れない方もいるので、まずはアイソメトリック収縮でなれることから始めるといいかもしれません。

足底板の意義

扁平足の改善を調べていくと後脛骨筋の機能不全は必ず出てくると思います。今回の研究ではアーチ高などの形状変化は調べていないので、これによって扁平足が改善されているかはわかりません。

が、痛みや動きなどの機能面では改善が見られるということがわかりました。

ここでのポイントはストレッチやトレーニングもさることながら、どのグループもカスタムの足底板を使っていたということ。足は26個の骨が組み合わさってできているもので一度崩れてしまう(靭帯構造の破綻など)とエクササイズだけでは戻らないと言われています。

足の問題にはまず足底板ありきと言われているので、だからなんだろうなとは思いますが。この辺のことはもう少し掘り下げて調べていこうと思います。

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倉持 江弥 Koya Kuramochi
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