絵本・白峰アカネの冒険/12. アカネ、発禁本『魔祓い巫女の歴史』に出会う
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アカネ:売るのも持つのも禁止なのに、なぜ、ここにあるのですか?
店長:私が保存しないと、世の中から消えてしまうからだ。発禁本は、学校や図書館から撤去されて焼却処分される。個人が持っているものも、警察にみつかると没収されて、やはり焼却されてしまう。
店主:では、政府は、いつも正しくて間違えないと言えるかな?
アカネ:あっ、そうですね。これは白峰山の巫女社会の話ですが、巫女社会を仕切っている上級巫女たちは弟子の中級巫女に技を指導することになっているのに、技を教えず自分たちの身の回りの世話だけさせる上級巫女が多いんです。私は、それに付き合わされるのが嫌で、山を下りることにしたんです。
店主:ま、いまのは、半分冗談だ。しかし、せっかく山から下りてきたのに、今度はフモトノ市の不正に巻き込まれて、ひどい目にあっている。
アカネ:そうでした。うん、間違えるのは、私だけではありません。
店主:私たちは、みな間違える。だから、自分の考えを人に押しつけないで、相手の考えもよく聞くことが大事なんだ。政府が自分たちの考え方だけで本を発行禁止にするのは国民の考えを聞かないことだから、間違いなんだよ。
アカネ:この本を読ませてもらってもいいですか?
店主:もちろん。だが、人に見られないように、店が閉まってから、自分の部屋で読みなさい。
アカネ:はい、ありがとうございます。
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