都合の良い言葉
こんばんは!りんてんです。
営業職という仕事上、毎日、社内外の多くの方とお話しをする機会があります。
職種や職責、立場も異なる色々な方々との会話は、時には1000本ノックを受けている気分になることもあります。特にこちらの分が悪いときには尚更です。そんなとき、都合の良い言葉があったらなぁと、無いものねだりをしています。
これまた昔の話ですが、都合の良い言葉について、、、
昔、大学時代、授業後に敷地内の中庭で皆でだべっていたときの話。
私と友人は、向かい側に一人でいる後輩を見ていた。 取っている授業が一緒で、グループワークなども一緒になったことがあり、まぁ顔見知りといった間柄ではある。
この後輩、"変"という一言で済まさずに具体的なことを言い始めると、軽く一晩ぐらいはかかりそうなぐらい変わった男で、そのとき話題になっていたのは、彼が常に体を上下に揺すっていることと、帽子の鍔が広くて釣り人のように見えたことだった。
「あの体の揺れ具合だと獲物はランディーサイズでしょう。」
などと笑いながら冗談を言っていると、通りかかった女の後輩2人から
「また二人してそんなひどいことばかり言ってるんですか?」
と言われた。客観的に見れば確かにひどいなと思って
「そうかもな。」
と言うと2人の女の子は
「かわいそうですよ。」
と口々に言った。
それから4人でしばらく雑談していたのだけれど、人の気配がして、ふと後ろを振り向くと相変わらず体を上下に揺すっている彼がそこにいた。
何を話してくるでもないのだが、話をしたそうにこちらをじっと見つめているので、会話に入れてあげようと思って、私がもう一度後ろを振り向くと3人は忽然と姿を消していた。
よく見ると3人は5mほど離れたところに避難していて、僕だけがとり残されていた。
クリスマス前に友人が全員こっそりと恋人を作っていたときのようなやるせなさを感じながら、僕は彼に話しかけた。
話してみるとやっぱり変で会話はほとんど噛み合っていなかった。ただ、体の揺れについては、途中から慣れてしまい全く気にならなくなっていた。
しばらく話してから
「その帽子、釣り人っぽいね。」
と言うと
「でしょ!」
と満面の笑みで答えてから、彼は違う人と話をしにどこかへ行ってしまった。
私を置き去りにしたことに文句を言ってやろうと3人のほうを振り向くと、いつの間にやら3人はまた私の真後ろにいた。
「何だかんだで先輩が一番優しいですよね。」
と女の子たちが言った。
もう手のひらに爪の跡が残るぐらい拳を握り締めたかった。気休めなんか欲しくなかった。
「かわいそうとか言ってなかったっけ?」
ため息混じりに私が訊ねると、女の子たちは顔を見合わせて
「それはそれ、これはこれです。無理なものは無理ですから。」
と言った。
出た…
世の中で都合のいい言葉ランキングトップ10には入るであろう言葉、「それはそれ、これはこれ」。
あまりに疲れたので
「そうか。」
とだけ答えた。こんなときはむきになったら負けなのである。 都合の良い言葉なんて実生活ではないのだから、、、
そう思いながら、日々のトラブルに楽しみながら対処しています。