見出し画像

「依頼」で成果は大きく変わる!良い依頼のためのチェックシート

仕事の成果を求める上で「依頼の仕方」はとても重要です。依頼内容=要件が不明確な依頼では、どんなに経験やスキルのあるパートナーに依頼をしても、パートナーが求められている内容を把握できていなかったり、認識がすり合っていなかったり、何度も手戻りしてしまってスケジュールが遅延してしまったり…ということが起こりえます。また、依頼を請ける側も、不明確な要件を整理して理解し、不足点をクリアにできなければ、プロジェクトが炎上するリスクを生んでしまいます。

このシートは、私のIT業界複数社(制作会社、ネット代理店、事業会社)での様々なプロジェクト経験と、プロジェクト管理手法に関する本を元に自分なりに解釈・整理して、項目をシンプルに分解し、依頼をする際にも依頼を請ける際にも、不足点はないか簡単にチェックできるシートとなるように作成しました。縦軸は、依頼を行う上での流れ(時系列)を意識しています。

良い依頼をするために。また、良い依頼を請けるために。

拙い部分もあるかと思いますが、依頼をする側、請ける側の双方がチェックできる「標準の指標」として、ご活用いただけば幸いです。(ご活用いただけなくても読んでいただけるだけで嬉しいです!)

チェックシート

チェックポイント

1. 外部環境=「外部環境(市場環境、関連するプロジェクト、考慮する法律など)」の変化で、依頼内容や求められる成果が異なってくる場合があるので、リスク管理の観点からも、依頼側と請ける側ともに、依頼に関係する外部環境を把握しておく必要があります。

2.マインド=1つの依頼(プロジェクト)をゴールまで走りきるためには様々なトラブルが発生します。依頼をする側と請ける側ともに「当事者意識・成功させる気概」を持ち、前向きにトラブルを処理できるかが、成果を左右します。

3. 関係性=依頼をする側と請ける側に「良好な関係性(お互いに敬意を持ち、提案や発言が行いやすい環境か)」を築けているかという点は、双方のモチベーションを高めることと、早い段階でリスク・課題のキャッチアップを行うことができるというリスク管理という点で有効となるポイントです。

4. プロセス=依頼をする側と請ける側に依頼(プロジェクト)を完遂させるまでのイメージがあるかどうかで、リスクを想定して進行できるか、当事者意識をもって前に進めることができるかが変わります。また、無駄なく成果の出すために様々なプロジェクトで活用されてきた「方法論」を活用するべきです。まずは、様々な情報ソースから方法論をインプットし、進め方を有識者に確認してイメージに繋げると良いです。

5. 目的・ゴール=プロジェクトの目的・ゴール(実施目的やKPI、成果物など)が定まっているかどうか、明文化できているかどうかは非常に重要です。ゴールが定まっていれば、最短のルートを逆算して無駄なくゴールまで走ることができます。目的・ゴールが不明確な依頼は迷路に入って前に進みません。不明確な依頼をすることも請けることもご法度ですが、不明確な場合はディスカッションやヒアリングなどを通して明確にしてから、動き出すべきです。

6. スケジュール=ざっくりとスケジュールが描かれている場合があります。また、締め切りだけを確認して、スケジュール確認を終わりにしている場合もあります。ですが、最終目標地点を守るためには、中間点も明確にしておく必要があります。中間点には、担当者の確認や承認者の確認など様々な要点が発生し、中間点をクリアしなければ最終目標地点に到達できないからです。最終目標地点到達のために、中間点には何が必要かを逆算して定め、すべてをスケジュールに落としておきましょう。

7. インプット=依頼する側と請ける側でインプットした情報量が異なる場合があります。また、初めにのみインプットを行なって、変更が発生した情報を提供していない場合があります。同じインプット量がなくては、ゴールに対して議論のレベルが高まりませんし、作業の手戻りやディレクション回数が膨らんでしまいます。常に同じインプット量を共有できるようにしましょう。

8. 報酬=成果に見合う報酬が用意されているかどうかは、請ける側のモチベーションを大きく左右します。請ける側との信頼関係の構築のためにも、成果に応じて見合う報酬を用意するのは礼儀となります。

9. 契約形態=報酬が発生する依頼であれば、依頼の内容に応じて、適切な契約形態を選択しなくてはなりません。「請負契約」とは、成果物を引き渡す契約。「準委任契約」とは、期間での契約となります。依頼内容に応じて正しい依頼形態で契約書を結ばねば、成果物を求めているのに期間で終了となり、成果物が納品されないなどのトラブルが発生します。

10. 体制=依頼を進行する上で大きなリスクとなるのが、体制です。「意思決定の速いスモールチーム」「心理的安全性の高いチームはパフォーマンスが良い」などよく言われますが、大半の依頼(プロジェクト)では、役割分担や承認者、コミュニケーションラインが不明確な場合が多いです。もし、不明確であれば、誰が最終的にジャッジをするか、このタスクは誰のボールかというところに迷いが生じて前に進まなかったり、必要なタスクが消化されないまま放置される場合もあります。依頼を行う前に必ず、役割分担、承認者、コミュニケーションラインを明確にし、体制図に落として明文化し、合意をとっておきましょう。

11. スキル=依頼する側、請ける側に、問題なく依頼を進行できるスキルがあるか見定めておきましょう。スキルが充分であれば問題はありませんが、依頼をこなすには不足している場合は大きなリスクになります。もし、不足している場合は認識をして、対処法を定めておけば安心です。

12. 会議体=依頼をしてから、成果物が上がってくるのを待つだけというような依頼をよく見ることがあります。ですが、中間の状況を管理しておかなければ、最終的に認識がずれているものが納品されるなどの問題が発生することがあります。また、成果物のみの受け渡しでは意図や残課題が汲み取れない場合があります。中間点と最終点で双方の意図や課題を汲み取る発言の場を定めておきましょう。中間点では、定期的な場を開催すると、お互いの動きがキャッチアップしやすく、信頼感も生まれやすいです。

13. リスク・課題=依頼(プロジェクト)には、様々なリスクや課題の処理が必要となります。リスク・課題を常に正しく把握しているかで、トラブルが発生した際に柔軟かつスピーディーに対応できるかが変わりますし、把握していれば前もって策を講じることができます。前もって、洗い出して把握し、対処法を検討しておきましょう。

14. 管理=12にも通じますが、依頼をする側も請ける側も、依頼(プロジェクト)の進捗状況や発生しているリスク・課題を常に正しく把握しているかで、トラブルが発生した際に柔軟かつスピーディーに対応できるかが変わります。初めだけは管理して後は…という場合や、丸投げをしている場合などでは、トラブルが起きた時に対処ができません。あらかじめ、管理手法も定めておくと、漏れがなく管理ができます。

15. ツール=依頼をする、依頼を処理する中で、一定のツールを活用しなければならない場合があります。どのようなツールが必要で効率的かを検討し、ツールを定めておくと効率的に進めることができます。

16. 調達=依頼の中に、第3者に協力や情報・素材提供をしてもらう必要が出てくる場合があります。第3者に依頼するとその分、費用も期間もかかります。あらかじめ調達しなければならないことを洗い出して、対処法を考えておく必要があります。

17. 余剰=依頼の際に、依頼のスケジュールや体制に「余剰」をつくっておきましょう。様々トラブルが起きたり、依頼側のディレクションスキルが不足している場合や請ける側の処理レベルが想定よりも低い場合などある種の育成が発生する場合もあります。余剰があれば、対処が可能です。

18. 成果物=成果物のイメージがすり合っているつもりでも、形式・レベル感などのイメージが依頼する側と請ける側で異なっている場合があります。成果物名と期待するアウトプットレベル、形式はサンプルを取得するなどして細かく確認し、明文化しておくと安心です。

19. 共通認識=依頼側と請ける側が同じゴール(KPIや成果物、スケジュール)を描けていなければ、少しずつボタンを掛け違えることとなり、最後には大きなずれが生まれて目的を達成できないことがあります。ニュアンスなどにより微妙に食い違っている場合もあるので、丁寧に確認し、明文化して残すことが重要です。

まとめ

シンプルと言いながら、説明文がかなり長くなってしまいました(汗)誰もが良い依頼をする側となり、良い依頼を受ける側となって、成果をあげるために。また、同業界の様々な企業で働き、なかなか業界全体に浸透していないプロジェクトマネジメントの型に迷う日々の自分のためにも、この記事を整理をしました。ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?