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プロボクサーになるには~テストの流れ・仕事との両立~

8月22日に後楽園ホールにて、プロボクサー新人テストが開催されました。
結果、無事に合格を果たしC級ライセンスを取得できました。

届いたら嬉しい合格証

日記的な要素が強いのですが、あくまでも一つの経験をプロボクサーを目指している方、また興味のある方に共有できればという思いから、
・外資系企業で働きながらの仕事との両立
・日々のトレーニングをどれくらい実施したのか
・テストはどんなものだったのか
・どれくらい減量したか
・プロボクサーという職業の魅力

について記載していこうと思います。5555文字です!最後までよろしくお願いします!


仕事との両立

現在、個人で会社を経営しつつ、外資系企業にてバリバリ働いています。プロボクサーになるには、かなりの鍛錬が必要なので結論非常に苦労しました。

実はボクシングをはじめたのは令和3年の5月になります。
最初はダイエット目的で入会したのですが、会長からプロを目指してみ?と言われマウスピースを作ってしまったのが同年の8月28日でした。

約3年の練習を経たことになりますが、その間に2回の転職と1回の起業をしており、正直週に1回通うのが精いっぱいの時期もありました。

毎日練習するようになったのはテストの約3か月前からです。
※週一回、ジムが休みの日は自主練とロードワークを実施

そしてこの「毎日」という時間を確保するのはサラリーマンにはとても難しいです。
現在の会社は外資系と言うこともあり、定時上がり推奨ですし、飲み会欠席も(行ったほうが良いのは当たり前ですが)特に問題はなく、外部環境に恵まれました。

また現在の上司がかなり理解があり、3か月間出張は無し。そしてほとんど在宅ワークの許可もいただけました。
18:00に仕事を終え、平日18:30~22:00まで練習時間を確保できたので、仕事をしながらライセンス取得を達成することが可能になったという前提には言及させてください。

練習・トレーニングにはロードワークなども含まれるので、どうしても「時間」の確保が必要となってしまいます。
外部環境は重要です。その点、今の会社には感謝しかありません。

別に外資ならどこでもこうしたことができるとは言いません。
ですが転職経験上、日系の企業と比べると柔軟性があるとは思います。

ボクシングはライセンスの取得に年齢制限があるスポーツです。
もう29歳になりますので、正直焦っていたところもありました。そんな中、環境を自分で整えることができるのは精神的に良かったと思います。

日々のトレーニング

プロボクサーを目指す方向けになりますが、「何をすればいいの!」という疑問解消のためどのようなトレーニングをしていたかを記載します。

先にも記載した通り、確保した時間はだいたい18:30~22:00の間です。
この間に、
・準備運動
・基礎運動(縄跳び、ステップ、パワーマックス等)
・シャドーボクシング
・サンドバッグ/ミット打ち
・対人練習
・筋トレ
・ロードワーク
・柔軟運動(ストレッチ)

これらを実施するイメージです。

練習には課題感を持って挑み、できないことを一つ一つクリアしていけるように記録もしておりました。
後述しますが、プロボクシングのテストにはいくつかの基準があると思われ、それらがクリアできているか動画撮影などをして細かく確認していきました。
(顎が上がっていないか、ガードが上がっているか、足が揃っていたら✖、ステップがきれいにできているか、ガードする際後ろに下がりすぎていないか、ワンツーがバランスよくきれいに打てているか、、、など)

なにより、テスト合否の9割を占めるであろうスパーリングにどれだけ時間をかけられるかが重要です。

数えると3か月の間で80ラウンド以上をこなしていました。
スパーリングは身体もダメージを受けますし、相手を探すのもたいへんです。

正直、毎日練習するのがすごくつらくて、残業を言い訳に逃げたくなる日が3か月中90日くらいありました。ですが、振り返って思うのは毎日やることが重要です。そもそも危険なスポーツですからね、、、。

一方で、これだけのことをこなし続けると、身体も変化していきますし、自信もつきます。

どんなテストなのか

テスト内容は当日会場にて実施される、
・筆記試験
・医師による検診
・2ラウンドのスパーリング

の3つになります。

これ以外にも、JBCが認定する医療機関での健康診断・頭部MRIが必要となります。

筆記試験と医師の検診は軽くだけ触れます。
筆記は超カンタンです。その場で返却されますが、9割くらいが満点を取ります。
反則技が何か、ボクシングの基礎ルール(前日計量後に体重を何パーセントまで戻してよいか、グローブの大きさ・重さはどれくらいか、など)、そして急所(レバー、ジョー、テンプルなど)を理解していれば問題なくクリアできます。一方で、点数が低いと容赦なく落ちることがあるので全く対策をしないのはおすすめできません。
※ジムに筆記で落ちた人がいるので、ちゃんと落ちます笑

医師の検診も簡単なもので当日熱出したりしていなければ問題ないです。

2ラウンドのスパーリング。
ここにプロテストの全てがあります。

本来ボクシングは1ラウンド3分ですが、プロテストでは2分か2分半で実施されます。
2分×2、2分半×2の場合もありますが、私のときは2分半・2分のハイブリッドでした。

時間がみじかいと楽なのかというとそうではなく、皆さん全力できますので手数がかなり多く永遠にパンチの応酬となります。
にらみ合いが長かったり、けん制の時間が長いと手数が少なくて落ちます。

今までジム内で落ちた人・受かった人からのヒアリングや、ジム会長からのヒアリング。そしてインターネッツを使った独自調査の結果、以下の項目あたりがクリアできていないと落ちるのではと考察しております。

・手数…ジャブの量、パンチの量、これの数が無いとそもそも見栄えが悪い。
・スタミナ…プロは4Rから。2Rを終えて息が切れているようでは仕方がない。インターバル中の動きもみられてます。
・ワンツーの正確さ…ボクシングの基本であるワンツーをバランスを崩さず、身体が流れずに打てているか。打った後すぐにガードの態勢が作れているか。
・ストレートのキレ…ばちこーん、と打って終わりだと落ちます。連続で打てるようにちゃんとすぐにガードの態勢に戻っているか。また身体や足がバランス崩れていないか。
・連打/コンビネーション…ボクシングの基本であるワンツーの後にもう一発パンチが出せているか。
・フック/アッパーなど…ワンツー以外にも技を練習しているアピール。また実践できるという動き。
・ステップ…足が全く動いていないのはNG。相手の懐に入る際はステップがきちんとできているか。またボクシングのステップになっているか。
・ガード…一番見られるそうです。顎が引けているか、腕が下がっていないか。
・レフリーの指示/反則行為…レフリーの指示が聞けない・反則行為を理解せずに実施する人は落ちます。
・スピード/パワー…これもアピール項目ですが、プロとしてお金をもらうので加点もらえるように意識しました。

プロテストの意味合いは、
①この人が試合しても安全かな
②お金貰うにふさわしいパフォーマンスかな

この2点の確認だと思っています。


参考までに、私が受験した際の当日の流れも紹介します。
①現場到着・聖地後楽園ホール(ボクシングファン的には嬉しい)
②即パンツ一丁で体重測定
③測定後に番号付与
④服着て筆記テスト→筆記は提出後その場で採点・返却
⑤番号が呼ばれるので、呼ばれた順に整列(体重順)
⑥目の前の人がテスト相手(C級はスパー相手は選べません)
⑦体重重い方or軽い方からスパースタート
⑧その日のうちにJBC公式サイトに結果発表
こんな感じです。

体重同じくらいの人とスパーすると知っていたので、パンチを受けても問題なさそうな体重をジムスパーで確認し、減量しました。
名門RK蒲田ジムの方とのスパーで、たいへん上手な方でしたので、減量しておいて大正解でしたね、、、。いいボディもらいました。めちゃ痛かったです笑

2分半と2分の2ラウンドのスパーリングはあっという間に終わってしまいます。
実力をしっかりと出し切れるように練習を行うのと、いかに場に呑まれないかが大事です、、、。
私のときは重い方から順にスパー開始でしたので、後楽園ホールに響く思いパンチ音を聞きながら「いい音だなぁ」と心を落ち着かせていました。

余談ですが、レフリーがロバート山本さんでテンション上がりました。

減量について

29歳、サラリーマンデスクワーカー、一番のハードルはここでした。
学生時代56kgが新卒のキーエンス時代に70㎏まで急成長してしまった168㎝です。
75㎏に到達した時点で入会した成果はあり66㎏になったものの下げ止まりをみせていました。

当日、58.2kgで受験をしましたので、その間約3か月の軌跡についてご紹介したいと思います。

2023年9月~2024年6月まで記録をつけていないことがバレる構図

ご覧の通り、本格的なトレーニングをはじめる3か月前の6月初日。ぴったり66㎏を記録しております。

テスト前日、8月21日就寝前体重

そしてテストの前日、58.7kgで就寝することができました。
朝起きたらだいたい600~800g体重が減っているので、朝食を食べ水分を摂取してもスーパーフェザー級(58.97kg)のリミット内におさまる余裕を持った形です。

ここで減量のポイントを3つ紹介します。
①「ジブン」の身体特徴把握
②基礎代謝を下げない
③食べられるものは多いということの認識拡大

一つ目にキーとなるのが。なにをしたら体重が減るか、何をしたら体重が増えるか、の把握です。

これには個人差があると思います。なにを食べても太らない人もいれば、何を食べてもすぐに肉がつく人もいます。
500mlの水を飲んだら500g体重が増えるはずなのに、300gしか増えない人もいます。マジで意味が解りませんが笑

減量は自分との闘いなので「ジブンはどうなのか」の徹底把握を行いました。
例えばランニング5㎞で約1~1.2kg落ちる。
1回ジムに練習に行き、OOのメニューをこなすと1~1.5kg落ちる。
などなど。

練習直前
練習直後

体重はこまめにチェック!

また、私は仕事をしながらチャレンジしましたので、しっかり栄養を摂る・空腹で仕事にならないことを避ける、を徹底しました。


二つ目が基礎代謝を下げないことです。
≒チートデーを作る、みたいなことになるのですが、制限しすぎて身体を省エネモードに変更させないことを気をつけるということです。

減量の際、極端に食べるものを制限してしまうとiPhoneみたいに身体が省エネルギーモードに切り替わってしまいます。
こうなると、どれだけトレーニングをしても体重が落ちません。

また、栄養が足りない状態になり、肝臓のグリコーゲンという物質が不足してしまい、めっっっちゃ疲れます。
お昼にしっかり食べても、脂質さえ気をつけていれば運動で挽回できるので、糖質を中心に(特に)トレーニング前はしっかりたべましょう。

諭より証拠ではないですが、「ジロリアン陸」という二郎(系)ラーメンが大好きで年間400食以上摂取している現役ボクサーもいます。

ラーメンを食べながらでも減量は可能と言うことになります。


三つ目が、工夫をすれば食べられるものが多いということです。
高たんぱく、低脂質を意識すれば割と何を食べても大丈夫なのが、ボクシングをやりながらの減量です。
甘いお菓子が食べたければゼリーやグミ。パンが食べたいならあんパン。ラーメンはラーメンスープに蕎麦を入れて食べたり、色々な工夫ができます。
肉も霜が降っていなければ問題なく食べてOKです。

そんな感じで、3か月で約8㎏下げました。
こんな感じの身体になりました。

背面
前面

Before/After載せるのが筋なんですが、こうした投稿をすることを計画しておらずBeforeがなくてごめんなさい。

もちろん、試合をする際は水抜きなどを含めたより過酷な減量が求められるのですが、、、。
あくまでもプロボクサーを目指すうえでということでご参考になれば幸いです。

プロボクサーという職業の魅力

サラリーマン兼経営者という肩書でしたが、プロボクサーという個人事業主の肩書も手に入りました。

ボクシングは、殴り合いにルールという形で制限を付けて競技に落とし込んだスポーツです。
とても危険ですが、見ている人の心を惹きつける、魅力あるアツいものだと思います。
そんな舞台に立つことのできる資格を手にできるという点で、この職業を魅力に思っていました。

周知の通り、C級ライセンス保持者でボクシングだけで生計を立てらる人はほとんどいないです。
にもかかわらず、毎月後楽園だけでも平均して20~30名の受験者がおりたくさんの練習生がライセンス取得を目指しています。

つい先日も、後楽園ホールで生ボクシング観戦をしました。特に和氣慎吾選手の入場はアツく心に来るものがありました(0:05~)。

こういう表現は怒られそうですが「漢」としてこうした姿を目指したく、そのチャンスをつかめるのがプロボクサーライセンスだと思っています。

最後に

プロボクサーを目指している皆さん、がんばってください。
ライセンスを取得した経験は思っている以上に自信になります。周囲の反応もかなり変わるので、気持ち良いです。

練習はとてもハードで、スパーリングも痛いですし逃げたくなります。
でも、これに逃げなかったら人生大丈夫です。

テストに関して何か質問がありましたらなんでも回答しますので、ご連絡お待ちしております。

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