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サティスファクション

街中で時々見かける募金活動。こうした活動やボランティアを行う大学生が、昨今は結構いるそうです。でも、就職してからこうした活動を続けている人は圧倒的に少ない。では"何のために"行っているのでしょうか?

今から100年ほど前、科学的管理法の考案者として名を残したフレデリック・テイラーは「労働者が雇用主に何より求めるのは高い賃金だ」と主張しました。高い賃金を払うためには道具も人も効率的に稼働させなければならない。ストップウォッチを片手に、作業者のパフォーマンスを正確に測定し、理想的な作業を行う従業員に高い報酬を与えるという管理手法が"テイラーの経営哲学"として当時一気に世界に浸透しました。

それから50年ほど経ち、この"テイラー主義"に異議を示したのが若手心理学者エドワード・デシ。「金銭的な報酬は時としてモチベーションを下げる」という主張です。

更に40年ほど経って、ダニエル・ピンクが示した"モチベーション3.0"は、デシの主張の発展系と言えるのかも。現代社会で持続的なモチベーションを得るには、生理的欲求=モチベーション1.0や、飴とムチ(報酬と罰則)という外発的動機付け=モチベーション2.0ではなく、「オラ、ワクワクすっぞ」という内側から湧き出る"やりがい"や"楽しみ"などの内発的動機付け=モチベーション3.0が必要だ!という主張です。

社会に出て、仕事に対する報酬を得ることで、多くの学生はインセンティブを伴わない活動を止めてしまう。つまりは、そもそもの目的が"仕事を得るため"だった、ということなのかもしれませんけど。

でも、いざ仕事を始めてみると"報酬があるからモチベーションが得られる"という"テイラー主義"の通り、仕事に対する高いモチベーションは維持、実感できているのでしょうか?

ボランティアの経験がないので、そこでどんな感情が生まれるのかはわかりません。しかし、経験された学生たちにとっては、そこで感じた何か、生まれた感情があったはず。でも、実はそれが社会に出てからも高いモチベーションを維持するためのヒントになるのかもしれません。企業は"働きやすさ"は高められても"働きがい"は簡単には付与できない。だから、企業もそうした経験を有する人材を高く評価する。

新年度もスタートしたことなので、この先出会う若い人たちに、そんな経験話を聞いてみたいものですね。


[2022.04.14投稿]いいね:31


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