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コロナ時代のベンチャー経営【完全保存版】

2ヵ月ぶりの更新だが、この期間で世の中の景色は一転した。2020年がこのような年になることを誰が想像したであろうか。

本来の予定ならば、今ごろニュースはコロナ報道でなくオリンピックで色めきだっていたことだろう。

ただ起きてきてしまったことはもう戻すことはできない。嘆いていても前に進まない。この環境下でいかにして健康に会社を経営していくか。

新型コロナも長期戦になることが確定し、必要な経営の意思決定が少しだけ落ち着いたこのタイミングで、未来のためにしっかりと振り返り、NOTEしておこうと思う。

コロナについては様々な記事やコラムが日々飛び込んでくるが、その多くは事実および予測情報である。それらはコロナのような予測困難な対象と向き合うためにはとても有用である。

一方で、「これから〇〇はこうなる!」は一巡してきていると思うし、今はもっと厳しい現実が突きつけられている。

この条件下でどのような経営判断をすべきで、具体的にどのように会社運営をしていくべきなのか。

「AFTERコロナ」への期待は脆くも崩れ去り、「WITHコロナ」での共存路線の現実が突き付けられた以上、この環境下における経営判断や実行についてのリアリティ(実例)がもっともっと広まっていくことが重要だと考え、まずはリブ・コンサルティングがどのように意思決定をしてきているのかについて、記憶が定かなうちに共有しておこうと思う。

とはいえ、もちろん私が判断しているということではなく、弊社のコロナ対策は代表の関をリーダーとする経営陣で意思決定をし、コーポレートの対策チームおよび各事業部で実行推進する体制で進めている。

弊社同様、ベンチャー経営をしている経営陣にとっては、おそらく共通するところが多いのではないかと思いつつ、少しでも参考になれば幸いである。今はとにかくベンチャー企業同士で協力するタイミングなので、生々しい内部情報もかなりあるが、そのまま赤裸々に開示しようと思う。

まず総論でいくと、幾つかの教訓はありながらも、これまでのところは70〜80点くらいの対応ができているように思う。とはいえ、この環境下では「これまでのところ…」という表現しかできず、明日はまったく異なる評価になるかもしれない。それでも敢えてこのタイミングで棚卸ししようと思う。

ちなみに、めちゃめちゃ長文なので、一息ついてからお読みください(^^)

フェーズ0:コロナ前夜 (2月17日〜2月24日)

リブとしてのコロナへの初動は、2月17日(月)であった。そのタイミングにはじめて全社にコロナ対策のアナウンスを流した。

この段階では、正直そこまで経営陣の危機感は揃っていなかったのが実情であり、手洗い励行やマスク着用、時差出勤といった一般的な対策が広報されるだけだった。

海外からの情報は伝え聞いていたものの、まだ具体的な経営判断をするには材料が足りず、あくまでも注意フラグを立てるのみであった。

弊社経営陣の特徴として、リーマンショック時、東日本大震災時においても、幹部として判断をする立場に居たために、大規模災害の対策は不慣れではない方だと思う。

ただこのコロナショックの特徴は、金融危機や東日本大震災のように、一気に急激なインパクトが来て、そこからいかに立て直すかという類のものではなく、インパクトの大きさと時間軸が読みづらいというのがある。

結果的に、前の2つの危機よりもシナリオが組みづらい、経営計画が立てづらいという点からさらに難易度が高い災害である。

こういう時にはメインシナリオを立てて、その通りに進めていくというのではなく、いくつかのシナリオを用意して、環境変化に合わせてこまめにシナリオをアジャストしていくダイナミズムが求められる。

ちょうど昨今の経営トレンドとして、「アジャイル型経営」というようなことが言われるが、まさにこのコロナ対策もそういった潮流と足並みを揃える格好となった。

ウォーターフロー型のクラシックな経営判断〜実行をしている会社は、外部適応だけでなく内部適応において苦戦を強いられていると思われる。

われわれの教訓としては、初期のシナリオではここまで深刻な状況までは読み切れなかった。が、アジャイルで対応していくことのコンセンサスが取れていたことで軌道修正がうまく効いたことはよかった。

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フェーズ1: コロナの襲来(2月25日~3月6日)

最初の社員アナウンスの翌週、2月24日週くらいから、新型コロナウィルスが日本でも牙を剥くようになってくる。

そのタイミングで経営課題のトップイシューとして扱い、2週間弱で一気に初動で必要な動きを取っていった。

2月最終週〜3月第1週に掛けて、リブが主にやったことは、以下の項目である。

①シナリオプランニング 
②キャッシュポジションの向上
③先手先手のコスト削減
④社員への雇用不安解除   

順に伝えていこうと思う。

①シナリオプランニング

一番最初に行ったことはシナリオプランニングである。ここでは特に最悪のシナリオをどこに置くのかが重要である。

関がリーマンショック当時のコンサルティング事業の業績推移をストックしており、それをベースシナリオとしてプロジェクションした。

当時の業績推移によると、売上4割減が6ヶ月続き、その後2割減が6ヶ月続いている。今回はそれよりも悪くなる想定をし、売上4割減が6ヶ月の後、2割減が12ヶ月継続するシナリオをワーストケースと決めた。

先行き不安定な時は、不要な心配が増えることがノイズになり、視野狭窄になる。ワーストケース(底)が決まりさえすれば、視界は開けてくる。

当初予定の事業計画のまま、コスト構造および人員計画が変わらない想定で、売上だけがワーストケースで推移した場合に必要なキャッシュは6.3億円という試算となり、それがベンチマークとなった。(ちなみにこのワーストケースはあくまでも初期シナリオでしかなく、この後さらにアップデートしている)

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②キャッシュポジションの向上

次に現金およびすぐに現金化しやすいものを弾き出す。リブでいくと6.5億円のキャッシュフローがあり、無借金だったので、手元現金でワーストケースは乗り越えられるということでひとまず落ち着く。

実は元々、近い将来に不景気になることを想定していたのもあり、内部留保を蓄積して、キャッシュポジションを上げていたのが幸いした。

とはいえ、シナリオがもっと悪くなる可能性も見越して、5億円の借入目標を定める。できるだけ借入期間を長めにして、政策金融公庫含む2〜3行から融資を受けることでほぼ固まる。

③先手先手のコスト削減

このコロナショックのタイミングに合わせ、コスト構造を同時に見直す意思決定をする。前向きに捉えると危機的状況というのは、コストを見直して筋肉質にする機会である。

事業成長にとって、何が本当に必要な経費で、何が劣後させていい経費なのかを見極めるきっかけとなる。

ちなみに、人員削減には一切手を付けないこと採用活動も継続することは最初に決まった。その上で販促費や交通費を中心に、20%カットすることをトップダウンで決める。(この比率はあくまでも決めの話で、20%くらいなら本当に必要な投資を削減せずに無駄のカットによるROI向上が実現できるという判断である)

ちなみに、コスト削減は先手先手で行うべきで、早いうちなら前向きかつ本質的な体質改善に繋がるが、厳しくなってからのコスト削減になるとリストラクチャリングの意味合いが強くなり、一気に後ろ向きな組織風土になってしまう。

早めに反転攻勢する構えを作るために、潔く削れるものは削るというアクションを起こすのが重要である。

関の言葉を借りると「ケチケチ大作戦」というくらいのテンションで取り組んでいくくらいがちょうどいい。

これで必要なキャッシュを6.3億円から4.8億円と減らすことができ、借入なしだとしても2.4億円のキャッシュ余力を残すことができる。

④社員への雇用不安の解除

ここまでのシナリオを矢継ぎ早に行った後は、できるだけ早く社員にメッセージを伝えることである。危機的状況下において、社員が不安に思っていることは、いつも決まっている。

会社の存続リスク」と「自らの雇用リスク」である。それらを根性論でなく、ファクトと数字に基づいて、トップ自ら伝えることが最重要である。

リブの場合は、関のメッセージを動画撮影し、3月6日に全社配信をした。

伝えた内容はもちろん、ワーストシナリオやキャッシュポジションをすべて数字で示した上で、会社の安定性を伝え、雇用を守ることを約束することである。そしてケチケチ大作戦で筋肉質にしてアフターコロナでの闘いに備えることである。

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それなりに初動の足並みは揃い、コロナ対応の第一幕は割とスムーズに幕を閉じた。

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フェーズ2:コロナの揺さぶり(3月7日~4月8日)

フェーズ2は方針設定がなかなか難しい時期だった。

都内の学校が休校になることが決まってスタートした3月であったが、ビジネスにおいては都内でもほとんど通常運行通りだった。

世界規模での感染は日に日に増えてきていたものの、そのリアリティがなかなか現場に伝わるには時間が掛かった。都内でも、3月の3連休の前くらいには一瞬「このまま抑え込めるのでは?」というムードすら一瞬漂っていた。(それが今となっては大きな反省材料なのだが…)

世論と同じく、コロナにどう接していくべきなのかについては、社内でも楽観論と悲観論が渦巻いていて、様子見の期間が続いた。

新型コロナウィルスの対外的なリリースの第一報は2月28日だったが、第二報が出たのは3月25日と約1ヶ月間は危機レベルを変えずに対応していた。

すなわち、時差通勤や勤務形態の調整、リモートワークの積極推奨、自社開催セミナーや会議の中止(ウェビナーへの切替)を推進している一方、大事な商談やご支援は、注意しながらも引き続き対面で行っているチームが多かった。

正直申し上げると、

リモート面談に切り替えたら、受注確度が一気に下がりますが、それでもいいですか?

当時そのような質問が部下からあったら、多くの上司はできるだけ対面を指示していたように思う。

3月は業績とリスクのバランスを取るのがそれだけ難しかった。結果的に、感染リスクを避けながらも、全力疾走するような状態が続いたにもかかわらず、2020年3月度は奇しくも過去最高の受注月となった。

「経営判断のタイミングがベストだったのか」というのはリスクマネジメントの観点から振り返る余地はあるものの、この環境下でも現場は臨機応変の対応をし、最善を尽くしてくれる強さをあらためて実感した。(元々、逆境にこそ強い組織というのはあるのだが…)

一気に警戒レベルを上げたのは、3月25日の小池都知事発表を受け、第三報を発表した3月31日である。

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事態が深刻化してきたところで、経営陣は3月最終週くらいにいよいよ覚悟を決める。

「これは長期戦になり、ビフォーコロナとアフターコロナという話ではなく、コロナと付き合う期間(=ウィズコロナ)に経営の論点がある。そしてその向き合い方こそが経営にインパクトを与えるものである。」

という認識を強くした。

3月の期間中に実施した主なことは以下の通りである。

①リスクのインパクト設計
②ワーストシナリオの更新
③役員会の頻度向上 
④「売上かリスクか」の決着

①リスクのインパクト設計

4月1日の臨時役員会において、あらためてこの状況下における最大のリスクは何なのかを経営陣で確認し合う。つまり、コロナにおいて自社の根幹を揺るがし得るリスクを3つに絞る。

1つ目は、「クライアント経営者への感染」である。
われわれは、中堅・中小規模の経営者に対してご支援させていただいてお金をいただいている。その経営者が感染することによる企業および社会へのインパクトは計り知れない。間違ってもリブがその引き金をひいてはならないということ。そうなれば信頼関係が失墜し、アフターコロナにまで影響を残すことになるだろう。また、そういうリスクを持ちながらクライアント経営者と接することを選択するあり方に、モラルハザードを来たす危険性もある。

2つ目は、「社員に感染し、感染経路が追えないこと」である。今後コロナがニューヨークのように流行した場合、どれだけ気を付けていても社員が感染する可能性はゼロではない。その際に被害の歯止めが掛からず、リスクがコントロールできないことがリスクインパクトとして大きい。感染者のトラッキングができなかったり、不特定多数の社員と接点を持っていた場合、一気に非稼働人員が増え、悪い場合は一時的な営業停止すら想定しないといけなくなる。

3つ目は、「リブの経営陣が感染すること」である。
万全を期しているであろう各国の首脳陣ですら感染する状況がある中、もはや経営陣にコロナが忍び寄ることも現実的である。旗振り役に感染した場合の風評被害はそれだけで少なくないが、リスク管理が不十分であった場合、言い逃れの余地はなく企業姿勢が疑われてしまうであろう。

以上、3つのトップリスクを勘案し、

・クライアント経営者との接触はNG
・社員の行動履歴管理(Googleスケジュール、日報)
・社員同士の接点最小化
・経営陣のリスク管理徹底

をあらためて共通認識とする。

ちなみに、元々Googleスケジュールや日報文化は弊社に根付いているので、「感染経路が特定できないこと」の不安はそこまでなかったが、それをやっていなかったとすれば、けっこう大変だったのではないかなと思う。

②ワーストシナリオを更新

この3月中に欧米での深刻度がどんどん増していき、これはリーマンや東日本大震災のような規模を超える影響を実体経済にもたらすことを、シンクタンクの予測とかではなく肌感覚として理解する。

そして、①のようなリスクインパクトも踏まえ、フェーズ1で設定したワーストシナリオよりもさらに悪いシナリオが設定されることとなる。

すなわち、「売上50%減が1年間続き、さらに半年間30%減が継続する」というシナリオである。

実際そのような事態になっていたとしたら、日本経済が崩壊している時のようにも思うが、もしそのような最悪のケースになった場合、11.8億のキャッシュが必要となる。

それでも予定通り融資を受けることで必要キャッシュを上回る算段もついていたので、リスクを冒してでも無理に“今”の業績に傾倒しなければならないということはないことが分かった。

であれば、この期間はリスクを最大限回避しながらも、逆にウィズコロナ環境にいかに早く適応し、いかにして新しい方法で仕事を創り、価値を生んでいくかに集中するということになった。

③役員会の頻度向上

コロナ対策をトップイシューとしてアジャイルで判断をしていく必要があるとして、4月からは役員会を週に2回開催することとし、コロナ関連のディスカッションおよび判断をしていくことになった。

この場は必ずしも意思決定や実行進捗確認の場面ということでなく、敢えて小さな懸念点や情報についてもそれぞれがイシューとして提示していくような時間としている。

たとえば、クライアントとのやり取りで、決定打ではないけれど今までになかった小さな変化を共有したり、在宅勤務環境の中で家庭事情や自宅スペースの事情でなかなか適応できない状況にあるメンバーの共有といったことも役員メンバーで共有している。

理由としては、適切なタイミングで的確な意思決定をするということも大事だが、今は新たな環境に対して、いろいろと試行しつつスピーディにアジャストする上で、小さな変化やサインを見逃さないためである。

そして、そういった小さな変化は役員間のslackでのやり取りでは拾い尽くせないという理解をしているからである。そして特に気になることがなければ、「今回はあまりないですね。」でもいい。(実際はそんなことは一度もなかったが。。。)

この頻度を上げたことは、問題認識を随時アップデートし、リアルタイムで共有することができて、とても効果があったと振り返る。

④「売上かリスクか」の決着

コロナ対策で経営陣が判断しなければならないことは、アクセルとブレーキのバランスである。リーマンや東日本の時には、厳しい状況下でとにかくアクセルを踏むことを推進すればよかった。

今回はアクセル全開にすることは、対面での営業活動やコンサルティング活動を継続することになり、リスクを増長することになる。一方、ブレーキを押し過ぎて完全に営業をしなくなったり、コンサルティング活動を停滞させると稼働率がどんどん低下し、経済が回らない。

アクセルとブレーキのバランスを上手に取り、かつダブルスタンダードにすることなく全社員に徹底するための線引きを明確にするというのが重要な局面だった。

役員陣で明確にした基本ラインは以下の通りである

・営業活動および支援活動に最大限コミットすることは変わらず
・但し、いかなる営業および支援場面においてもフルリモートを選択する
・むしろリモートでの営業や支援での創意工夫をどんどん促進していく

とてもシンプルだが、ここでは「もし対面でないことで売上や利益機会を損ねるとしても、対面という手段は選ばない」ということを決めたことが重要だった。そしてキャッシュポジションを上げ、リスク許容度を上げていたことは、「無理してでも売上を追求して、万が一のリスクを取る」という選択を取らないためにも重要な判断であった。

経営陣で4月1週にそのコンセンサスを取った。次は、それをしっかりと全社員に伝え、行動変革を実現しないといけない。矢継ぎ早にディレクター会議があり、そこからマネージャー会議、全社会議が開催された。

先述した通り、3月度の売上は単月過去最高実績であり、重要な商談はある程度対面で行っていた。この時期に売上が上がれば、対面であったとしてももちろん賞賛されていた。事態は刻一刻と変わっていたものの、そんなにすぐに意識や行動が変わることはなく、危機意識のギャップは各階層においてあった。

その状況下において、各会議の場面で明確に上記のガイドラインを明示した。

それでも弊社も創業から叩き上げで売上を伸ばしてきた会社である。また弊社は地方クライアントも多く抱えており、そのような企業群は当時はまだ全然影響を受けていなかった。

したがって、「どこかで経営陣も売上や利益を上げることを期待して、それなりに柔軟な対応を本音では求めているのでは?」という考えも一部ではあったようだったが、そこは一切の例外もないことを本気で伝えることに努め、上から順に理解をして、行動が変わっていった。

4月8日にはコロナ対策の第4報を公開し、4月2週には完全に全社在宅ワークに切り替わった。

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フェーズ3:コロナとの共生(4月9日~5月13日)

「With コロナ」に舵を切ってからのスピード感は早かった。むしろ在宅勤務やリモート業務を「NEW NORMAL」とすべく、現場でさまざまな試行錯誤が生まれており、事業と組織いずれにおいても、当初想定のシナリオよりもいい形で推移している。

元々コンサルティング業務というのが元々リモートワークへの順応性が高いというのもある。目新しさはないかもしれないが、リモートワーク環境下で私たちが何を取り組んでいったのかを記載したい。

①リモートにおけるルーティン構築
②リモートにおける組織開発
③リモートにおける事業活動
④リモートにおける環境整備

①リモートにおけるルーティン構築

弊社は元々、朝礼でゴールを確認し、日報で1日の振り返りをする組織習慣がある。(ちなみに日報はアプリを活用し、役員含む全社員の閲覧が可能で、「いいね!」やコメントが飛び交っている)

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ルーティンが身に着いているベテラン社員はそのようなことをする必要がないのだが、組織成長に伴い、入社1年未満社員が30%前後という状態になっているので、個人に委ねるのではなく、組織習慣として全体でオンボーディングやルーティン構築のリズムを作っていく必要があるのである。

そういった組織習慣をリモート環境下でも損なわずに、どのように置き換えていくのかを決めることが必要だった。

結果的に、以下の形式に落ち着く。
・slackで毎朝業務開始時に、チームごとに達成ゴールを共有
・毎朝、Zoom朝礼で顔を合わせて挨拶と「昨日のGood&New」を共有
・日報と週時のトレーナーセッションは通常通りに継続
・(事業部によっては)毎日リモート終礼の実施

(zoom朝礼の様子)

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在宅勤務でお互いが顔を合わせなくなると、何をしているのかが分からなくなり、放置プレイになるかマイクロマネジメントをする事態になることを避けなければならない。そこは習慣を組織全体で合わせて一定のリズムを揃えることで、不要なマネジメントコストを減らす必要がある。

必ず目線合わせしないといけないのは、「各々が何を成果・目標として活動しているか」である。そこさえズレていなければリモートワークにおいて大きな問題は起きず、むしろ自立的に日々を送ることが可能となっている。

②リモートにおける組織開発

まず、大きな意思決定としてはこの環境下においても、採用活動のペースは落とさないようにしている。むしろこのようなダウントレンド時に体力があるのなら、できるだけ人や組織に投資をするということはコロナショックよりずっと前から経営陣の中で決めていた。

22卒の新卒採用については、いち早く説明会をリモートに切り替えたため、この2ヵ月で2000名のエントリーと1400名の選考会参加が決まっており、昨年を大きく超える母集団への対応準備も整っている。

キャリア採用も順調に推移しており、このタイミングで意思決定をされる優秀かつ意欲的な方々との出会いが増えている。

オンボーディングや各種社内研修はすべてリモートプログラムに移管し、E-learningやZoomの機能をフル活用しながら改良を重ねていっている。

おそらくこのコロナ環境で最も難しいのはエンゲージメントではないだろうか。さまざまな不安やストレスによって、組織や個人のコンディションが刻一刻と変わる中、リモート環境でオフィス勤務時のように表情を汲み取ることができないという点が難しい。

マネジメント層からすると、ブラインドサッカーをやっているような状況になり、見当違いのコミュニケーションになったり、組織対応が後手後手になってしまう。

それを解決するためには正しい目標設定とステータス管理(定点観測)をする必要がある。リブ・コンサルティングは、LMI社のモチベーションクラウドを2年以上前から導入しており、過去からのエンゲージメントスコアが蓄積されていたので、それらのスコアを元にディレクター以上全員で
組織として今、何を大切にすべきか」について話し合い、以下の3つに定めた。

・全社的な連帯感【組織風土】
・期待を上回る提案【外部適応】
・変化し続ける意識【変革活動】

その3つについては全社、全部門、全チームそれぞれでパルスサーベイを取り、毎週ステータス把握をすることで、組織や社員一人一人の表情を把握するようにしている。

それ以外でも、組織活動を円滑にするための様々な工夫を行っているので、以下にその幾つかを列挙したい。

・リモート会議は「ビデオオンポリシー」
・毎朝、自身の気持ちをslackの絵文字で表明
・デジタルランチの実施
・保健ルームの設置(新入社員向け)

(slackの絵文字表現)

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これらの施策は、「誰一人孤立させない」「非目的なコミュニケーション設置」「表情の積極的な相互開示」という3つのポリシーに基づいて随時プランニングされている。

③リモートにおける事業活動

矢継ぎ早に施策を打っていっても、事業活動へのインパクトは正直大きかった。

弊社はクライアント成果にこだわり、「現場主義」「ハンズオン」で価値発揮して伸びてきた会社である。全国を飛び回り、その地域地域でFACE to FACEでとことん向き合ってきた会社である。

クライアント経営者から相談があれば、ご支援終了後にでも、食事をしながらとことん経営者と話し込み、売れないと悩むクライアントの営業がいれば、一緒に営業先に同席して回るようなスタイルでご支援してきた会社である。

THE 現場」の会社に、コロナはこれ以上ないような試練を与えてくれた。
特に、3月後半から4月後半の1か月間はその影響をしっかりと受けた。

が、試練はいつも変化のきっかけになる。

セミナーはウェビナーへと変わり、参加者の移動障壁がなくなったことから、申し込みは一気に増えている。WEBコンテンツの充実、メルマガ、SNS活用もどんどん進み、リード獲得のROIは飛躍的に向上している。コンサルティングはすべてリモートに変わったが、むしろクライアントとの打ち合わせ頻度は増え、小まめな事業進捗の確認ができるようになった。

現場はオフラインだけでなく、オンラインにも必ずある。米国のフィットネスジムでもオンラインで急成長している会社もある。いかにオンラインの中でライブ感やインタラクティブ性を創っていくかに、現場力は生かされる。

新たな事業環境下で生まれたエクセレンスは、毎朝の全社朝礼で共有されたり、Slackで全社共有されている。共有されたリモートTIPSやノウハウは、アワード化され、毎週表彰されている。

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将来から振り返った際、この急激な事業環境の変化はリブの進化に欠かせない経験になることを、今は確信している。

④リモートにおける環境整備

今はオフィスが社員の家に分散され、全社員の居室がオフィスとなっている。その居室の環境整備は欠かせないので、まずは何よりネット環境を整えるサポートを行っている。

それ以外の必要な環境サポートについては、社員から随時、スプレッドシートの改善要望書に記載して貰い、その中から必要な改善要望を経営陣が選出して、必要な施策を随時実行するサイクルを回している。

また5月中に緊急事態宣言が解除されることを見越して、今はオフィスの環境設備についても検討している。具体的にはフェイスシールドの準備や、対面スペースのガード、ドアノブや指紋認証等の接触部分への対応についてである。

With コロナは長期化することは確定しており、在宅とオフィス両面の環境整備を整えることで、どちらの環境に転んだとしても、パフォーマンスが下がらないように工夫している。

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まとめ:今後に向けて

すべては書ききれていないと思うが、コロナ環境下におけるこれまでの経営判断については大部分網羅できたように思う。

あくまでもリブ・コンサルティングの一例であるが、赤裸々に記載することにこだわったので、なにかしらの参考になると書き手冥利に尽きる。まずは発信にこだわったが、皆さんの経営や事業における工夫もまた色々と吸収して、この国難を乗り越えていきたい。

かなりの長文になってしまったが、そろそろまとめに入りたい。あらためて振り返ると、これはよく言われる事だが「初動対応」がまずもって重要だった。リスクへの備えをちゃんと社員に示していく事でワーストケースは免れたのではないかなと思う。具体的には以下の3点が挙げられる。

①最初に想定されるワーストシナリオを固めて、経営陣で共有すること
②自社の状況を社員にちゃんとファクトで伝えていくこと
③トップが自ら話し、社員の雇用不安を解消すること

フェーズ2においては、(もっと早い判断ができたのかもしれないが)感染リスクが高まる前に、「リスク回避モード」に一気に舵を切り、それを徹底する流れを作れたのはよかったと思う。結果的に経済的ダメージを想定の範囲内に抑えつつも、コロナ感染のリスクを最大限除去することができた。

フェーズ3においては、フェーズ2で覚悟を決めた流れもあるが、前向きに事業や組織の環境をアップデートし、ナレッジ共有することで、With コロナの環境と向き合い、具体的な変化適応に繋げることができた。

以上がこれまでの振り返りである。

コロナ対策としてはここまでのところは及第点のように思うが、「コロナ環境をイノベーションのきっかけにする」という点では道半ばである。

最後に、今後に向けて考えていることも共有しようと思う。

この記事を書いている現時点で「39県で緊急事態宣言が解除」ということで、一旦は落ち着きを取り戻している。が、周知の通り、ワクチンが開発され、それが一般に普及するまではまだまだ時間が掛かる。6月以降は医療現場の状況を見ながら、自粛と開放を繰り返していくことになるだろう。

引き続き、与えられた制約条件の中でアジャイルな対応が求められるわけだが、これまでのストップしたり減速する判断よりも、どのタイミングでどれくらいアクセルを踏むかという移行期の判断の方が正直難しい。

それも全国で一気にアフターコロナの局面が来るわけでなく、エリア毎にじわじわと解放されたり、また自粛モードに戻ったりするわけなので、かなり多くの戦略オプションを持っておかないといけなくなる。

本社移転やエリア限定のビジネス展開も視野に入れなければならないかもしれない。前述したように、オフィス環境も柔軟対応できるような準備も求められるだろう。

今回のコロナは、これまでの東日本震災の時よりも、アジャイル経営が求められるということを冒頭に書いた。もう一つ異なることがあるとすれば、より姿勢(あり方)が求められる災害だということも感じている。

「経済か、人命か」といった論争が巻き起こっているのは、原発再開論議のことを思い出す。ただ、それはどこか力が及ばない遠くの出来事に対して、批評しているだけだった。

今回の「経済か、人命か」という判断は、自分たちで選択できる。
STAY HOMEか、GO to OFFICEか」であったり、「業績か、感染リスクか」であったり。それぞれが自分たちが何を大事にするのかを決めて、信念をもって向き合うことが求められているのだと。

それらの自問自答や決断の連続が、本当の意味でコロナ後の自分たちを決めるのだと思う。

GW明けから6月以降のリブ・コンサルティングのコロナへの向き合い方を「PLAY BOOK」としてまとめており、今日、ドラフト版が完成した。5月いっぱいでデザイン化も含めて見栄えもカッコよくする予定。

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これから様々な会社が「With/After コロナにいかに向き合っていくのか」という指針を示したPLAY BOOKを作っていくと思うが、その題材としてぜひ参考になればいいなと思っている。(参考材料がなくて、実際にうちの役員がめっちゃ苦戦していたので)

3週間くらいで完成するので、完成したらこのNOTEにアップして普及させていきたいなと。自社のPLAY BOOK作成の参考材料として活用したい方はぜひNOTEをフォローしておいてください(^^)/

こんな風にまとめると、ひと段落した感じになっているが、「コロナと経営」はまだ第一幕を終えたばかり。リブ・コンサルティングは、これからもさまざまな試練を乗り越えて、進化をしていこうと思う。

さぁ、今日もがんばるぞ!!

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