【コラム】選択肢の平等化〜インバウンドに向けたバリアフリー対応♿️〜
アメリカ・シカゴのショッピングモールで、大好きなシナモンシュガー
プレッツェルを食べながらぼぉ〜っとしていた時、
私の左肩の近くで、ファサッと音を立てて、何かの気配を感じました。
隣を見たら、大きなオウムを肩に乗せた女性が、ショッピングの合間の休憩にやって来たのです。
一瞬、時差ボケによる夢でも見ているのか?と訳が分からなくなったのですが、驚きすぎて声が出ないばかりか、鳥が苦手な私は身動きが取れなくなりました。笑
そんな驚いた表情の私に、その女性は話しかけてくれて、
「この子は私の心を整えてくれる、セラピーバードだから安心していいわよ!」と教えてくれました。
鳥類が苦手な私にとっては、決して心穏やかではない状態ですが、
その女性にとっては生活に欠かせない「相棒」だったのです🦜
海外の中でも、特にアメリカは「バリアフリー先進国」と呼ばれるほど、
お身体に障がいを持つ方に対する平等な社会環境が整備されています。
これは、「ADA法」という法律で、公共機関や商業施設などの様々な場所で、障がいをお持ちの方でも利用しやすい設計をすることが義務付けられているからです。
※「ADA法」=Americans with Disabilities Act
そして、施設などの「ハード面」ばかりでなく、サービスアニマル(介助動物)やエモーショナル・サポート・アニマル(心理的なサポートをする動物)などに対しても、「当たり前」の認知として、あらゆる施設内への入店が可能です。
※エモーショナル・サポート・アニマル=ESA
日本では、「盲導犬」などのサービスドック(介助犬)が有名ですが、
アメリカでは、その動物の選択肢が多いのも特徴的です。
少し前に、ニューヨークの空港で、ESAと称されたヘビやクジャクの
機内持ち込みをお断りしたとのニュースが出ましたが、その様なニュースが出るくらい、アメリカでは生活に密着した話題とも言えます。
先ほどの「ADA法」により、日本とアメリカを結ぶフライトでも、機内での平等な応対が義務付けられているので、「バリアフリー教育」がCAや地上係員には必須項目として実施されます。
例えば、機内用車椅子から座席への移乗方法や、機内のトイレを車椅子のままでも入室できるよう、トイレドアを動かす方法などもその教育で学びます。
アメリカ線では、お身体がご不自由で、到着地スタッフのサポートが必要でも、それを理由に降機をお待たせすることは、許されません。
「お身体がご不自由=最後まで待たせる」という状況が、平等な対応とは反するからです。
また、お身体がご不自由でも、サポートを望まない場合もあります。
その様な場合も、そのご意思を尊重する必要があります。
つまり、最初に
How can I assist you? (どの様にお手伝いしたらよろしいですか?)と
伺うことが、とても重要になります。
まさにこの点が、日本の「バリアフリー」とは異なる点ではないでしょうか?
日本でも、道路や施設のユニバーサルデザイン化など、「ハード面」の整備は進んでいます。
しかし、「ソフト面」ではどうでしょうか?
「善意」というカテゴリーから抜け出せない、障がいをお持ちの方への「お手伝い」。
サポートをする側も、される側も、その域から抜け出せない状況が、お互いにとって「申し訳なさ」や、時には「偉そう」などの感情を生む要因の一つ
なのでしょう。
少し前にX(旧Twitter)でも大炎上していましたが、商業施設や交通機関に車椅子の方専用の座席を作りさえすれば良いのか?
はたまた、特別な訓練や教育を受けさせていないのに、スキルを必要とする介助を一般のスタッフにやらせても良いのか?
その様なことを、改めて考えさせられる内容でした。
そして、バリアフリーに対して先進的な浸透がなされている国から、日本へ旅行に来るインバウンド旅行者に対する教育も必要でしょう。
「お身体がご不自由」と言っても、介助の有無は人それぞれで、一括りにすることは出来ません。
以前、パラスポーツの世界大会に出場される海外の団体チームをお乗せしましたが、(もちろん皆さん車椅子ホルダーなのですが)CAのサポートを全く必要とせず、慣れたご様子で飛行機を利用されていました。
本当に、何事も十人十色!
外国人・障がいなど、多様性の要素がいくつあったとしても、そこに対して
「選択の自由」と「選択肢の平等性」が保たれる社会を、地方都市でも
目指したいですよね!
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