本屋さんのダイアナ —心に生き続ける親友—
派手な外見とキラキラネームにそぐわず、内向的で繊細なダイアナと、育ちの良いお嬢様だけど、流行のゲームやジャンクフードに憧れる彩子。自分にはない輝きを持つ相手に、お互いに惹かれ合うのは、必然だったんじゃないでしょうか。
二人が親友でいられたのは、小学生の三年間だけ。その後の22歳くらいまでの人生の中では、本当に短い間だと思うんですけど、ダイアナの心の中には彩子が、彩子の心の中にはダイアナがずっといる。つらいことを乗り越えようとするときに、心の中で対話するのは幼い頃の親友なんですよね。それだけ深く心に残る存在に出会えたことが、すでに素晴らしいことだと思いました。
ダイアナと彩子の親御さんも、子供の教育方針はちょっと違うものの、それぞれ立派な人でした。幼少期に実の両親以外の素敵な大人と接したことが、ダイアナと彩子の成長に繋がっているといいな。
終盤、特に彩子が背負うことになった呪いが重すぎて、読んでてつらかったんですけど、それをちゃんと自分で乗り越える強さが、彩子にはありましたね。小学生の頃、名前でからかわれるダイアナを、毅然とした態度で守っていたところに、彩子の本質的な強さが現れている気がします。
共に自分を縛る呪いを解き、再会した二人が、空白の期間を埋めるように、また仲良く過ごせることを願ってやまない。そんな気持ちにさせてくれるお話でした。
作中に二人が読んでいる本のことがたくさん出てくるので、読書家の人だったらより深く楽しめそう!