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【本の読み方】適材適所で情報を得よう!散漫だからこそできる情報収集術『読む力大全』

今の私たちだからこそ使える選択肢をとことん上手に使って、本だけではなくさまざまなメディアを読む方法を紹介した本です。

おすすめ度・読者対象

対象年齢:大学生・社会人〜
おすすめ度:★★★☆☆
読みやすさ:★★☆☆☆

・情報のインプットを必要としている人
・メディアに呑まれていると思っている人
・情報の取捨選択の方法が知りたい人
・忙しいけど本が読みたい・情報を得たいと思っている人

いろんな本を読んだ方がいい、ニュースに関心を持たなきゃいけないのはわかってるけど、長時間見てられないから無理
と思っている人がいたら、考えが覆るかもしれません。

概要

メディアそれぞれの利点を理解して、効率よく情報を得るやり方を知ることができます。
メディアとは、本・新聞・TV・雑誌はもちろんのこと、今や欠かせないSNSでの情報収集方法もご紹介。
特に本・Twitterに力を入れて解説されています。

現代人は注意力が散漫と言われるが、それは欠点じゃない。
つまみ読みや、得た情報の活用方法、また上手なやる気の起こし方と集中力の作り方も紹介します。

情報を得た後のインプットのやり方、アウトプットの大切さも併せて紹介されているので、読書で得たものを定着させるヒントにもなりそうです。

好きな言葉・この本が教えてくれたこと

メディアそれぞれから得られる情報の捉え方が大変参考になりました。
いくつか紹介します。

新聞にも「使いよう」はある。
新聞は、世の中で起きるたいていの出来事を網羅しているからだ。
とくに自分があまり詳しくない分野について、新聞をうまく活用しよう。
『読む力大全』佐々木俊尚/著(東洋経済新聞社)
テレビや新聞だけでも十分にたくさんの「プッシュ情報」があふれていたが、ネット時代になって「プッシュ情報」はさらに爆発的に増えて洪水のようになった。
(中略)
この情報洪水時代だからこそ、わたしは「プルの価値」を全面的に推したい。
(中略)
漫然と自分のタイムラインを眺めて「プッシュ情報」を受け取るだけなのは、テレビを日がな一日みていてだんだん頭が空白になっていく状態とほとんど同じである
『読む力大全』佐々木俊尚/著(東洋経済新聞社)
自分の専門知識がない分野の記事が出たとき、その記事の妥当性を評価するための基準がある。
①その記事について、ツイッターでどうコメントされているか
②それらのコメントは、専門的見地からのものかどうか
③それらのコメント投稿者のプロフィールはどうか
④それらのコメント投稿者は乱暴な言葉づかいをしていないか
⑤これらの基準をクリアした専門家はフォローし、リストに入れる
『読む力大全』佐々木俊尚/著(東洋経済新聞社)
SNSでも「RSS」でも、記事の見出しをチェックした際に、その先の本文まで、いっきに読んでしまわないことである。
そのあいだにワンクッション入れた方がいい。
つまり記事の見出しを読むのと、本文をじっくり読むのとは、別の時間におこなうのである。
『読む力大全』佐々木俊尚/著(東洋経済新聞社)
書籍の意味とは何だろうか。
ひとことでわかりやすく言ってしまえば、情報が集約され網羅されていることだ。
言い換えれば、そのテーマについての全体像をつかみやすいということである。
ウェブの記事だけでは「多様な視点」を十分に得ることはなかなか難しい
『読む力大全』佐々木俊尚/著(東洋経済新聞社)

私は、本を読むことは得意な反面、デジタルでの情報収集が結構苦手です。
広く浅く短い時間で世間の話題を捉えるのに、今まで新聞に慣れていた身でどうしたらいいかと思っていました。

そこで、この“自分の知識の浅い分野は新聞を”=ここではグノシーやyahooニュースを、
全て見てしまわずに、気になる記事を1分程度でストックしておき、5〜10分とより長いスキマに振り返る、ということにチャレンジしてみることにしました。

また、Facebookを情報収集に使うなというのも新鮮で。(実際には使ったことないんですが、そんなもんなのかと思いました)

やはり日本は世論がSNSに傾いているという指摘の通り、特に幅広い層が利用するTwitterでどう情報収集するかが、ネットから情報を得る鍵になりそうです。

このような“情報の探し方・集め方”が半分以上を占めるこの本ですが、後半の「“読む”こと」の捉え方も斬新でとても好きです。

著者はしきりに「散漫でいい」と言います。
最近は5分と集中できないと嘆く記事なら見ますよね。その真逆をいくわけです。

むしろ、散漫こそが「エウレカ」=閃きを呼ぶことができる、だから集中しすぎてもいけないんだ、といいます。

いろんなことに追われて行き着く暇ないのも考えものですが、俯瞰的に見る、言い換えればボーッとする時間が取れると思わぬひらめきに出会えるらしい。
何だか素敵ですね。

読んだ背景・あなたが読むなら

速読力は、本関係の職業のものについては永遠の課題だと思います。
何万何億という本からきらりと光る面白い本を選び出すには、相当な数を読まなくてはならないからです。

けれども、できれば縋りたくないのも「速読力」。
つまみ読みをするより、本を愛する身ですから、やっぱり著者が言う一言一言をちゃんと見つめたいんですよね。
何という天邪鬼。

まあそんなわけで、いつも両方が何とか両立できる本はないか〜って見ています。
今回は「速読力」とは違う本でしたが、視点が面白かったのでご紹介しました。

本を読むため、だけではなく、情報収集の助けにこの本を頼ってみてはいかがでしょうか。

注意点

実体験をもとにした例が多いので、読みづらいところがあります。
特に最初。
なので、最初でなんか違うなと思う前に、第2章へ移ることをお勧めします。
私が一番面白かったのは第8章。
読書に限らず仕事のどんな場面でも活躍できそうな「集中のやり方」として「ポモドーロ・テクニック」等をを使ったやり方を紹介しています。

次に、読書を中心としたアドバイスではないことです。
読む力大全というのは、情報を読む力だと思われます。

最後に、著者は電子メディアに特化している、という点も注意です。
半分以上は電子メディア、本も電子書籍で読むことができる人がいいかもしれません。
電子媒体を駆使して情報を収集したい!という人にはおすすめです。

余談

今回、“読み方”“速読”をテーマにした本を、今回・次回の2回連続して紹介します。
面白いのは両者とも違う読み方を推奨していたことです。
並行して読むことでなかなか楽しい体験になりました。

SNSはTwitter・YouTube・Instagramを筆頭に、今や有象無象にあるわけですが、それらから必要な情報を、淡々と受け取るのって難しいですよね。
淡々と説明することが難しい、どうしても感情が乗ってきてしまって、それに影響されたりするわけです。
あとは情報の海に飲まれている感じ。
あー、もう、どうにかなる〜って思う時があります。
昔の人にいたように、俗世から逃れてしまいたいと思う時があります。

みなさんはいかが。

でもまあこの社会に生きている以上、この社会の有象無象と向き合っていかねばならんので、上手な付き合い方をこれからも模索したいですね!

さらに余談ですが、この本を薦める私として、以下の言葉も身に染みました。
うまく書かれる本は「成功談」を語るものが多いです。その方が売れますからね。
でも本当に知るべきなのは「失敗談」なんじゃないかと思います。

以前、ある販売コンサルタントから聞いて、「なるほど!」と感じた言葉がある。
その人はこう断言した。
「もしひとつだけ確実な法則があるとしたら、それは『これをやったら必ず失敗する』という法則だけです」
つまり、われわれにできることは失敗を避けるように努力することだけなのだ、と。
『読む力大全』佐々木俊尚/著(東洋経済新聞社)

ひとつハッキリ言えるのは、「成功談」より「失敗談」の本の方が少ないです。
そして、数のせいもありますが、「失敗談」の方が総じて有益です。

失敗談はノンフィクションに限らず、フィクションでも得られることができます。
物語を読むときに、自分だったらどうできただろうか、と考えて読んでみるのもいいかもしれません。
新しい「エウレカ」があるかもしれませんね。

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