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秋ドラマについて書き散らす
秋ドラマが続々と始まってますね〜〜!!Xに書きにくい雑記をnoteに書こうと思います。脚本勉強のための備忘録をも兼ねて。
おむすび
『虎に翼』からガラッと変わり、ゆったりめなテンポ、現代っ子ヒロインが新鮮で楽しんでる。まだ、いろいろとフックを作っている段階なのだろうと思いますが、それにしても展開が遅めですね。『虎に翼』が速すぎたとも言える。
画面から感じる平成の空気が懐かしくて、それだけで半年間楽しめそう。記事執筆のためにガイドブックを買ったので、先の展開を知っているのですが、はやく結のギャル姿が見たい。
個人的に感じる『虎に翼』と『おむすび』の相違点をまとめた記事を書きました。
嘘解きレトリック
大正時代が舞台の月9って新鮮!『花とゆめ』で連載していた同名漫画が原作ですが、世界観にもキャラクターにも可愛らしさがあって癒される。第1話はとてもよかったのですが、第2話でちょっともたついたとうか、説明的すぎた印象があったのでこれからどうなるかな。
『なつぞら』や『おっさんずラブ-in the sky-』の頃から鈴鹿央士さんを気にしてみていたので、月9の主演かあ!と感慨深いです。主演として放つオーラ、存在感が素晴らしくて、それだけで満足感がある。
オクラ
お蔵入りした事件のみを扱う警察バディもの。武藤将吾さんの脚本の強みが生かされ、キャラクターが強く、全体の引きもある作品。
ただ、ちょっと感情の流れに雑さを感じてしまい…。え、これでいいのか?と思っているうちに終わってしまうという印象がある。特に第2話。反町さん演じる飛鷹千寿が証拠を捏造して過去の事件を捜査するの流れを続けるのかしら…。
第3話に入って、杉野さん演じる不破も捏造に加担するというちょっと違った流れになって新鮮でした。とはいえ、やはりストーリーの細部が雑な印象。
あのクズを殴ってやりたいんだ
第1話で出会ったクズを殴るために、ボクシングを習い始める主人公というラブストーリー。キャスティングがちょうど良くて見やすい。シンプルな脚本だからこそ、俳優さんの良さが際立っているなという印象があります。
最近のTBS火曜22時は社会性を感じさせる要素があるドラマが多く、今作は特にそういった要素がないので、若干の物足りなさも感じている。
第3話までで話の全容が見えつつあるので、どう展開させて着地するのかが楽しみです。
宙わたる教室
今期イチオシです。定時制高校を舞台に、さまざまな事情を持つ学生たちの問題を、いろんな角度から解決していく物語。
広い意味では学生ドラマだけど、定時制高校が舞台なので生徒それぞれ異なる年齢やバックボーン、事情があるのがとても面白い。学生の問題を解決していく過程に説教くささがなく、セリフでの語りは最小限。主人公が行う科学実験を通して、生徒それぞれが学ぶことの美しさや楽しさ、もっといえば自分の存在価値を見出していく過程が、瑞々しく描かれている。
基本的に私は言葉に頼らないドラマが好きなんですよね…。CMがないNHKだからできるのかしらと思ったりしている。
横川さんのコラムがとても良かったから、載せちゃう。
全領域異常解決室
黒岩勉さん脚本のオカルトミステリードラマ。第1話、2話とも、怪異の仕業と思わせつつ、実は人間が起こしている事件という構成でした。
うーん。個人的には満足度は低くて。モチーフは確かに面白いんだけど、説明主体で進むのがもったいない。ずっと解説を聞いてる感じがしてしまう。オカルトというモチーフは真新しいし、黒岩さんさすが!と思ったんだけど、結局は人間の仕業というのが連続ドラマの限界という気がしてしまって。各話のエピソードにも、そうきたか!という新しさをあんまり感じない。
映像の質感が良くて(パリピ孔明やエルピスを思わせる)、映画向けのカメラ使っているのかな?
ライオンの隠れ家
公務員の兄、自閉スペクトラム症の弟の日常に突如現れたライオンと名乗る男の子。男の子を置いていったのは誰なのか、兄弟の姉はどこにいるのかなど、ミステリー要素もあるヒューマンドラマ。
第1話のライオンを預かることに決めるまでの過程はすごく丁寧でよかったんですが、第2話は物語が進むだけ&過去の因縁に対する描写しかなくて若干の物足りなさがあった。
しっかりミステリー要素もあって先が気になる構成なんですが、こういうの塚原演出が映えるんだよなと思ってしまったり。もっとエモく、スタイリッシュに見せてくれたらと思う。とはいえ、ところどころにぐっとくるカットもあって、TBS金曜22時感が強くて好きです。
無能の鷹
同名漫画原作のお仕事ドラマ。見た目だけエリートな鷹野ツメ子が、有能なのに見た目が弱々しい鶸田と組んで仕事をしていく物語。
原作も読んだことがあって、好きでした。第1話は物語の立ち上がりが遅い印象があり、第2話も同じ。鷹野のハッタリ感、それに騙されてなぜか気付きを得て感動するクライアントのモノローグが面白いんですが、ドラマはここに至るまでが遅く、前後のストーリーを厚めにしている。
前後のオリジナルっぽい部分がハマる人には面白いだろうけど、原作好きな人にとっては蛇足に感じるだろうし、もっとテンポ速くてもいいのにと思ってしまう。
放課後カルテ
元医者が学校医として小学校に赴任し、児童たちのさまざまな病気や問題を解決していく物語。
もう優しくて穏やかでかっこいい松下さんがお腹いっぱいだったので、待ってましたー!という役。原作も読みましたが、マジで松下さんをキャスティングしてくれてありがとう。天才です。
養護教諭じゃなくて学校医という設定上手いなーと思いました。養護教諭だと医療行為はできないので。原作を読んでいて、テーマやモチーフは素敵なんですが、人物造形の荒さやそれぞれのエピソードの納得感の薄さが気になって、このあたりドラマでうまく調整してほしいなという気持ち。
第1、2話はすごくよかったので、3話以降も期待。
すごくたくさん読んでもらった松下さんの記事を置いておく。
潜入兄妹
占拠シリーズスタッフ再集結の潜入ドラマ。父親の仇を取るために詐欺グループに潜入し、詐欺グループとして人を騙すためにまた潜入するという。W潜入になっているけど、設定の込み入った状態を感じさせない。
個人的には占拠シリーズより圧倒的に見やすい。占拠シリーズが物語の設定上1日の話なので、説明が多くなったり、シーンごとのつながりが唐突な部分があったけど、潜入兄妹は時間経過があるからできる展開、視聴者も騙す構成に満足感がある。基本頭脳戦なのにピンチになると武力行使なのがちょっと面白い。
3000万
今期イチオシです。あと少しお金があればと願う夫婦がひょんなことから手にした3000万。そのお金をめぐる夫婦、警察、犯罪グループの攻防が描かれるクライムサスペンス。
もう、ストーリーの構成、シーンごとの展開、人物描写どこをとってもクオリティが高い。次はどうなるの…!という緊迫感が途切れないし、言葉に頼らない人間描写、最低限のセリフで見せるキャラクター像やリアリティのあるやりとり。本当にすごい。
これはネトフリで一気見したいタイプのドラマですね。地面師たち好きな人にハマりそう。
WDRプロジェクトから生まれたドラマで、脚本家は4人。記事に詳しく書きましたが、脚本技術についての共通言語があること、それぞれの強みが生かされていることを感じる。WDR発の別ドラマも見たいなあ。
モンスター
型破りな弁護士がさまざまな方法で依頼人の望みを叶えていくリーガルエンターテイメント。
主人公のキャラ造形は新しさがあるものの、リーガルエンタメとして新しさはあんまりないかも。無理やりにでも依頼人の望みを叶えるという方法には、オクラっぽさを感じる。
とはいえ、脚本家が橋部敦子さんなんですよ……!ヒューマンドラマやホームドラマの名手ですが、裏をかくようなリーガルエンタメも書けるんですか…すごい…と思ってしまう。
映像の質感もカンテレ!という感じ。最近カンテレはこれ系のドラマと、トクメイや合理的にあり得ないなどのコメディ系と、エルピス、春になったらなどの監督の作家性が出てるやつの3種類なんだなと思ったりしている。
わたしの宝物
あなたがしてくれなくてものスタッフ再集結のドラマ。夫からのモラハラ被害にあっている主人公が、偶然再会した幼馴染と一夜を共にしてしまい妊娠。そしてそのまま幼馴染は死んでしまう。妊娠した幼馴染の子供を夫の子だと偽って育てるという托卵をテーマにしたドラマ。
第1話が怒涛の展開で、幼馴染死ぬんかい!と思ってしまった。まあ、死ななければ離婚して育てましょうになりかねないし、托卵する必然性(いやしちゃだめだけども)を生むためには仕方ないのかな。でもなー幼馴染実は生きてるとか、記憶喪失とかありそう(昔の韓国ドラマっぽいな)。
あなたがしてくれなくてもは原作がありましたが、原作の要素を活かしつつ脚本と役者、映像の質感によってものすごく繊細で湿度の高いいいドラマだったなと思っていて。わたしの宝物もキービジュアルや映像の質感から同じ印象を感じるので、物語の内容もそうやって進んでほしい気持ち。
モラハラ夫に田中圭をキャスティングしているので、夫側の事情の深掘りもありそうだし、夫が改心したら主人公の罪悪感は増していくので、ヒリヒリしつつも繊細な物語になるといいな。(青スーツの田中圭=春田創一なので、モラハラしてるの胸が痛い。おっさんずラブとの同時摂取がちょうどいい)
海に眠るダイヤモンド
昭和中期の長崎県・端島と2018年の東京を舞台にしたヒューマンラブエンターテインメント。アンナチュラルのチームにとって初めての日曜劇場です。期待が高すぎて、その期待が外れたら悲しいなみたいな気持ちだったんですが、第1話最高でした…。
幼馴染たちの恋模様って若干ベタじゃない?と思っていたんですが、野木さんが書くと新鮮に映る。ほんの少しのセリフで関係性を見せてくれるから、しつこさもないし、キャラクター像もわかりやすいし、さすがとしか言えない。
ヒューマンラブエンタメといいつつ、そこに描かれているのは、地域や仕事に誇りを持って働く人々で。クライムサスペンスが得意と思われがちだけど、結局人間ドラマを魅力的に書き、演出するのがうますぎるチームなんですよね。ドラマの作り方、映像の見せ方が最高すぎた。もう始まった瞬間にテンションが上がったもん。スタイリッシュだけど、日曜劇場らしく重厚な塚原演出に惚れ惚れしちゃった。
プロデューサーの新井さんがいろんなインタビューでどんな作品にもミステリー要素を入れておくと良いと言っているけど、最近の下剋上球児や9ボーダーなどは、それがノイズになってるなと個人的に感じていて。海に眠るダイヤモンドはどうなるかなと思っていたけど、ミステリー要素が全くノイズに感じない。現代に登場する婦人・いづみさんは、過去パートの誰なのかという引きになるミステリー要素がしっかりあるんだけど、登場人物たちの壁になっていないうえに、物語のなかでも大きく扱われなくて。ただ、視聴者だけがこのセリフは?この仕草は?って気になってしまうように要素が散りばめられているだけ。その塩梅が、さすがとしか言えない。
野木さんの脚本作品って百発百中で面白い。すごすぎる。
というわけで、完全に個人的な好み&こういう脚本に憧れるという要素でちょっぴり辛口な秋ドラマ雑記でした。今期の推しは『宙わたる教室』と『3000万』です!!海に眠るダイヤモンドも期待大!!
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