![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111132662/rectangle_large_type_2_70521908ca1b91ba758f0dff85393ed2.png?width=1200)
Blue Jasmine
真冬の豊洲にひとりぼっち
パーカーでは心許ない寒さに震えて
終わりが始まる寂しさを感じながら
私はその時を待っていた
ライブ参戦にハマってる時期があった
それもアングラすぎずメジャーすぎず
売れるか売れないかギリギリのミュージシャンに限る
我ながら特殊な癖だと自覚はしていた
何が良いって、ヒリヒリ感が良いのだ
メジャーデビューするかしないか
バズるか消えるかの瀬戸際
当時サブスク時代の幕開けとフェスブームに乗って
サウンドは踊れる縦ノリの四つ打ちがはびこり
ビジュアルはキノコ頭のボーカルだらけ
その中のどこにも属さず彼はいた
20代で都内に住んでいる特権を行使しまくる私は
pv撮影の抽選に当選しては無料Live三昧の日々
そんな時TSUTAYAでアルバムdioramaに出会い思った
これは売れるだろうなぁ
ちょうど初ワンマンがあるというので飛びついたあと
ツアー"花ゆり落ちる"も当選し
初の全国ワンマン"音楽隊"では
東京ファイナルの追加公演を2枚ゲットするも
知らないからと友人に断られた
どいつもこいつもわかってないなぁ…
悔しくもなんともなかったのは
いつかみんな知る日が来ると知っていたから
寒い寒い2月の豊洲に1人
ホッカイロを相棒に入場まで時間を潰す
最後の曲で感極まる彼をみんなが見守る中
自然と涙が出た瞬間思った
ああ。この人はもう、遠くに行ってしまう。
ここには長くいられないんだ。
そしてきっと、帰ってこない。
これは長い長い暗闇を抜けて
大切な何かを見つけた歌
ここではないもっと大きな舞台に立つための
振り返らないための旅立ちの歌
ラブソングかと思っていたけどそうか
これはお別れの歌だったんだ
次のアルバムbootlegでチケットが初めて外れた
場所は日本武道館だった
翌年lemonが発売された
あとはみんなの知る通り
彼は無事成層圏へ到達した
いま評論家は彼を「J-POP界の救世主」
「ネット時代が生んだ天才」と呼ぶ。
台風のように世の中を飲み込み、光速で宇宙へ舞い上がる。
そんなムーブメントを特等席で観れたのは、今まで見たどんなライブよりもエキサイティングだった。
それ以来CDも買わずライブにも行かなくなったのだけど
最近たまたま友達と当時の話をした
「あの時、ライブ行っとけばよかったわ。」
この瞬間、私はとてつもなく悪い顔をしてたと思う
これだからやめられないのだ
次の米津玄師を見つけることを
そしてまた愚かな夢を見るのだ
ずっとそばにいてくれると
いいなと思ったら応援しよう!
![k村](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/94434595/profile_08c743771b80013ca3c808ab71266cbd.png?width=600&crop=1:1,smart)