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【映画レビュー】映画『ブロンクス物語/愛につつまれた街』観賞
みなさんこんにちは!
私のお気に入りの俳優の1人でもあるロバート・デ・ニーロ。彼の出演作品には有名なものがたくさんありますが、あまり知られていない作品もいくつかあります。
今回紹介する『ブロンクス物語/愛につつまれた街』はそんな隠れた名作の一つだと思います。私自身も作品名は知っていたものの、今まで観たことがなかった映画です。
作品紹介
公開年:1993年9月29日
監督:ロバート・デ・ニーロ
脚本:チャズ・パルミンテリ
制作:ロバート・デ・ニーロ他
出演:リロ・ブランカート
ロバート・デ・ニーロ
チャズ・パルミンテリ
本作はデ・ニーロの初監督作品であり、彼が監督と制作を担当し出演もしています。
また、チャズ・パルミンテリの子供の頃の体験を基に脚本が作られたそうです。
この映画は1960年代のニューヨーク州ブロンクスにおける、ひとりの少年と彼を取り巻く人間模様や生き様を描いた作品です。
登場人物の関係性としてはこうです。
・主人公のカロジェロ(リロ・ブランカート)。
・その父親でバスの運転手であるロレンツォ(ロバート・デ・ニーロ)。
・カロジェロが憧れている存在であるマフィアのソニー(チャズ・パルミンテリ)。
・8年後のカロジェロのガールフレンドとなるジェーン。
簡単なあらすじ
カロジェロは子供の頃、街で憧れの存在だったマフィアのボス、ソニーが人を撃ち殺してしまう現場を目撃します。マフィア嫌いの父ロレンツォに連れられ、現場に戻ったカロジェロは警官に犯人は誰かと質問されます。カロジェロはとっさにソニーを庇い、そのことがきっかけでソニーはカロジェロのことを気に入ります。そこからロレンツォとソニーの2人の父親とカロジェロの物語が始まります。
一言で表すなら「運命」
カロジェロとソニーの出会いは運命。カロジェロが子供の頃から憧れていたソニーを庇ったことで2人が親密な関係になります。物語終盤でも、不良仲間の車に乗り込むカロジェロに対して言ったソニーの助言も、偶然彼のみを事故から救うことになりました。
ソニーは16歳の時に同時に3人の女性と運命的な出会いを果たしました。
カロジェロも父ロレンツォが運転するバスの中で、ジェーンという女性と出会ったのもまさに運命でしょう。
それぞれのストーリーと感情の移り変わり
この物語では、カロジェロ、ソニー、ロレンツォという3人にそれぞれストーリーがあり、序盤と8年後では彼らの感情に移り変わりがあるように思えました。
幼い頃のカロジェロはといえば、父ロレンツォに少なからず嫌悪感を抱いている部分もあり、「働いて稼ぐなんてクソだ」と、ロレンツォを非難したこともありました。8年後(特に物語終盤)には2人の愛情をしっかりと受け止めて、それぞれに自分が選択した生き方があることを理解しているようでした(または、理解しようとしている姿勢が描かれていました)。
序盤では、ソニーはカロジェロを悪の道へと誘い込む悪者なのかと思っていましたが、8年後の様子を見てみると、カロジェロを少し引いたところから見守る第二のお父さんのようでした。
ロレンツォも子供のころのカロジェロに対しては"口うるさい父親"でしたが、すっかり青年になった彼に対してはソニーと同じような印象を受けました。
イタリア系アメリカ人と黒人の対立
この作品のもう一つの見どころとして、カロジェロの友人達と黒人の対立があります。
カロジェロは黒人女性のジェーンに恋をし、ソニーはそれを認めてくれました。恋愛のアドバイスをするなど、ここでもソニーのカロジェロへの愛情が窺えました。
カロジェロの不良仲間は黒人を酷くあしらうが、カロジェロだけはそれをしません。そういったことが功を奏し、ジェーンとの関係が良好になることにも繋がったのかもしれません。
しかし、お互い引かず、やられたらやり返す精神でとうとう死者が出るまで抗争は発展しました。
感想
デ・ニーロはこれまでに『アンタッチャブル』や『グッドフェローズ』のようにギャングやマフィアを演じたことがありましたが、本作では転じて"マフィアを嫌う父親"役として出演しているところに違ったテイストの面白さがありました。
ロレンツォとソニーは対照的な2人の大人として描かれており、カロジェロはそんな2人にしっかりと影響を受けて育ってきたように感じます。よくある、「自分の父親は◯◯◯だけだ!」的な描写は一切なく、あくまでカロジェロにとって2人は対等で愛すべき存在であるように思えました。
また、この映画は名言がとても印象的でした。物語の最後に一連のセリフがあるのですが、
ソニーも父さんも言った。「大人になればわかる」。
僕はやっと理解した。
2人から学んだのは、
"愛は無条件であること"
"人を受け入れること"
それともう1つ
"才能の無駄遣いほど悲しいことはない"
自分の選択によって人生は変わる。
これは住人らにとって単なる-"ブロンクス物語"だ。
これは物語を総括したもののように思います。
人間の好きな部分を探すのではなく、愛情は様々な角度からやってくるものであり、それを素直に受け止めるということ。そして、自分が選択したことは永遠に自分の人生の一部となるから、才能の無駄遣いはしてはならないのです。
と、自分なりに解釈しました。