【蔵書001】ストーリーが伝えてきたもの『神話の力』
こんにちは。
今回から、本棚の本を紹介していくシリーズ「蔵書」を書いていきます。
今回紹介するのは「神話の力」という本。
読み聞かせ
私たちが人生で初めて出会う物語は、お母さんが読んでくれる読み聞かせがその一つでしょう。
小さい頃に聞いた話、いまだに覚えてる人もいらっしゃいますよね。
伝え聞いてきた物語の種類のなかに、民族や、国固有の「神話」という物語があります。
神話
神話としての「英雄の物語」は世界中に存在し、それらは先祖代々言い伝えられています。
この著者の主張とは、神話には「類型」がある、というもの。
具体的には神話とは、
英雄は成長を経て父親を倒す試練を乗り越え、最終的に家に帰還する。
といった構成になっています。
これ、どこかで聞いたこと、ありませんか?
父親を倒す...ダークサイドにおちた親父をやっつける息子...。
そう。実はスターウォーズもこの神話の類型にのっとってるんですよね。
意外なところにも
なおかつ、さらには他のところでもこの類型は見つかります。
母なる大地(家)、父なる秩序(ボス)という構図は、心理学(精神分析)でも現れます。
男の子たるもの、母を守るために父に対して嫌悪感を抱き、
父は自分にとって秩序たりえており、それを乗り越えないといけない。
フロイトは精神分析を通じてこの「エディプスコンプレックス」という概念を提唱しました。
母を自分のものにしたい、父は目障りだ...という嫉妬は男の子はもちやすいですよね。
この類型が伝えているもの
結局のところ、あらゆるところに現れるこの類型の意味とはなんなんでしょうか。
人間の人生そのものなのです。
自らのエゴや生まれ持ったものを乗り越え、自らが成長していくそのものが、人間が生きていく過程を意味しているのです。
神話には葛藤、矛盾、勇気、、、。あらゆる要素が含まれています。
この神話の力を読み、神話の価値を知ったあと、
世の中の神話を読んでみると、また違った味わいが現れてくると思います。
そして、この著者の別の本である、「千の顔をもつ英雄」もおすすめです。
より詳細に世界中の神話を用いて、英雄の表情を明快に捌いてくれています。英雄が抱えているもの。それはなんなのか。それを知りたくなったらぜひ。
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