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【雑記】流れゆく時間の中で
UXデザイナーとして過ごした2年間
こんにちは。ずいぶん時間がたってしまったような感じがします。久しぶりの更新となるのですが、noteを書いていない間流れた時間、書きたいことが浮かんでは消えて、消えては浮かんで通り過ぎて行ったような気がしています。
ここ2年ほどは、展示屋さんから転職した会社でUXデザイナー兼リサーチャーという職種に携わりデザインという領域を専門的にやってきました。8月からは新しい会社に移り、今度は研究デザイン職(私が作った造語)に携わる予定です。
というのも、デザインという領域を見た際によく「ユーザー」「ユーザー体験」「UX」「UIUX」という言葉があちこちを飛び交います。UXデザイナーをやっていくうちに一つの交差点にたどり着きました。「ユーザー体験って結局デザインはできないよね、じゃあ結局やっていることはユーザーの体験を少しでもよくするためにデザインの観点からお手伝いをすることでは」ということです。
突き詰めて考えていくと「ユーザー=人間」。あちこちの現場でインタビュー(非構造型やデプス、グルインなど様々な形態で)を経験しましたが結局言葉では10%にも満たないくらいの本音しかユーザーは話してくれません。また現場における行動観察もいろいろと経験しましたが、結局仕草から本心が垣間見えるのは半分以下くらいだろうという所感です。
そうして得た情報をファクトとして仮説づけるわけですが、前述の通り10%の言葉と50%以下の非言語的行動から判断するのですから、文字通り「ユーザーの本音」って正直あまりわからないよなと感じるのです。昨今ではUIUXという言葉が広まり、クライアントサイドにおいてもUIUXという言葉はもちろん、自分たちで探索型のリサーチなどはやってしまう方々も増えてきました。
これはクライアントだけでなく、デザイナー側にも言えることなんですがなんかこう「ユーザーのことを分かったつもり」になってしまってはいないか?みたいなもやもやした気分を味わうことも増えてきました。もちろん何もしないよりは真実に近い場所にいると思います。ですが、「分かった」と言い切るにはまだ遠い気もしていたんです。
結局UXにおけるリサーチは、短期・中期・長期というタイムスパンで「ユーザーの当たり前」を知る行為だと思っていて、向かった現場の当たり前を触れ、知る行為というのはなかなか簡単にはできないような気がしています。この辺のことは、文化人類学にも通じることになりますが、会社だったり、部署だったり、地域だったり、ユーザーが所属するコミュニティに外部から接触する行為なので、コミュニティに属する人々の環世界を見る視点を得なければなりません。
そういうことなので、2~3日現地に行って観察して話を聞くだけではなかなか真実に近づくことはできないんだろうなぁと感じました。極端な話1年間そこで働く、くらいの事は必要じゃないかと思っていますが、受託型プロジェクトという形態の中で行うUXではできないのは無理はないと思います。
途方もない禅問答のようですが、人間中心設計に携わり始めてからはや4年、私は「人間とは?」「現実とは?」「真実とは?」という問いがいつからか自分の中でこだまするようになってきていました。つまりよりよいUXデザインを今後やっていくためには、人間中心設計の「人間」にフォーカスしていくべきだと思うようになっていたのです。
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「広く浅く」から「狭く深く」興味と関心を尖らせていくことでデザイナーとしての真実にたどり着けるのではないかと考えるようになりました。それはデザイナーであれば誰しもが一度は必ず通る「かっこいいものを作りたい」「洗練されたものを作りたい」「おしゃれなものを作りたい」とはある種逆行する道のりを選ぶことになっているのかもしれません。
そう思うようになったきっかけ
過去のエントリーでも書いたことがあるかもしれませんが、脳に関する知見を深めたり、XRとUXに関することを継続的にやっています。去年1年ほどプロジェクトの合間に研究を行い、その内容を取りまとめ、今年の7月(先週?)に「XRとUX」に関するウェビナーを行いました。ある種自分の中での集大成でした。
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その研究を進めていく過程において、いろいろな書籍や文献、記事、セミナーなどに目を通しました。大きくはムーンショット計画という名目で人体拡張技術(IoA)の開発を国家レベルで取り組んでいるということやChatGPTをはじめとしたAIやAppleやGoogleのGlass、そしてMetaのOculus、AppleのVision ProなどXRの技術の進化、そしてニューロテクノロジーの可能性と現在実現していることや今後の構想(IoB)を垣間見た際に、やがてやってくる未来の世界の姿やその時代に生きる人間の状況を総合的に加味すると、今後よりよい体験をデザインしていくために恐らくは今、人間に対しフォーカスを当てるべきだという結論に至ったのです。
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つまり、もうかれこれ17年ほどクライアントワークを行ってきましたが、これまでの視点は基本的にインダストリーが8、アカデミックが2くらいの割合でした。受託産業なのでクライアントのいるインダストリーに詳しくなること=クライアントの言葉で話をすることができる=クライアントと仲良くなる=コンサルティング能力につながる=ほかにはない自分の売りができる=指名が増える=売り上げがあがる=評価される=給与が上がる、このクライアントワークのGoodサイクルを回してきたところがあります。
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ですが、今後は検索しても見つからない世界をキャッチし波に乗っていく必要があると思ったのです。要はインダストリーとアカデミックの視点を掛け合わせてデザインの考え方でつなぎ、未来をアウトプットしていく…言葉でいうのは簡単ですが本来の意味での生みの楽しみループを今後作り出していくこと=楽しい人生につながるということに気づいてきました。
無意識のすごいところ
どこの会社にもある制度だと思いますが、2年前に今の会社に入社したとき例外にもれず、半期ごとの目標作成を行いました。デザイナーや制作職の目標ってなかなか評価する側からすると難しいもんですが(定性的になりがち)、これまで作ってきた目標作成フォーマットとは異なる項目を記載する欄がありました。(デザインファーム系の会社さんは結構あるかもしれませんが…個人的な経験ということでご容赦を…)
それは、自分のVision、Mission、Valueを言語化し、1年後、3年後、10年後、60歳以降…のタイムラインで自分の姿をイメージすることでした。
2年前なので、そのシートを作ったのは2021年。その時書いた内容は以下の通りです。
MISSION(人生をどのように生きますか?)
デザインの力で人、社会に向け、より良い体験を提供することを追求する。VISION(そうするとどうなりますか?)
より楽しい人生へ進化していくVALUE(そのためにどんな姿勢でいきますか?)
自ら機会を創り出し、機会によって自らを変え続ける
先1年はどんな仕事や活動をするべきですか?
ありたき分野における知見・能力・スキルを深め、 リードデザイナーとして活躍し、○○○○(社名)にとってなくてはならない人材になる。
後、子どもの健全な成長を継続的に見守り、促進できる環境の維持と整備を続ける。
先3年はどんな仕事や活動をしたら良さそうですか?
デジタルプロダクトだけではなく、 社会、組織、製品などのデザインに携わる。
社内外において、人間中心設計を普及・浸透する取り組みを行う
後進育成
愛知県の業界発展に貢献する
10年後はどんな活動をしていたらよさそうですか?
地域活動に参加
地域で実施する生涯学習の講師となる
各所での講演 ・執筆活動
農業
将来どのように毎日過ごしたいですか?(60歳以降のとある1日)
朝起きて、座禅を組み瞑想を10分程度行った後、 妻と近所を散歩し、季節の移り変わりを感じる。 午前中は、畑の農作物の成長データをチェックし、家でPCを広げて、とある地域コミュニティの活性化についてプロジェクトメンバーとテレビ会議を行い議論を行う。 午後は、小中学生達にデザインのやり方や考え方について教えたり、人間中心設計に関する研究や講演、執筆を行う。 夕方から、畑に行き野菜を収穫し、調理。 夜は妻または友人、娘や孫たちと一緒に料理とワインを楽しむ。
それから2年の月日が経過しました。正直この時書いたことなんて覚えていませんでした(笑)。現在引き継ぎや後進のためにノウハウ書の作成など、データの整理もかねて行っていた際に上の目標シートを見つけて中を見てみると書いてあったことです。
正直、書いてある通りになってるな~と感じています。昨年からはUXチームのリーダー(リード)としていろいろな案件や組織活動に携わり、現在は、社内外に対して自分の理論を展開する、後進育成は行いました。そしてデジタルプロダクトだけでなく、社会・組織・製品などのデザインにこれから携わっていく予定です。愛知県の業界発展については先々月くらいから考えていることがありますがまだ実現できていません。が、1年後の自分をイメージするとほぼほぼこの通りになっていると思います。
思ったことを信じていけばいくほど、その思いが強いほど、物事って現実になっていくんだなと実感しています。それは諸刃の剣でもあり、悪いことでも同様のことが起こるからです。私は今のところますます良いループが起きていく予感しかしていません。無意識ってすごいなと改めて思います。
流れゆく時間の中で
前回人生のリセットボタンを押してから約6年ほどの時間が流れましたが、流れゆく時間の中で、後どれくらい行けるか。60歳になるまでここから更にスピードを上げて変わり続けていきたいと思っています。
今回は独白のような内容になりましたが読んでいただいた方、どうもありがとうございました!