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筋の「自動抑制」とは?

トレーニングや日常生活においても、
カラダの柔軟性を高めるストレッチは障害の予防、パフォーマンス向上のうえで必要不可欠です。

ただし筋肉の伸張・収縮に働く脊髄反射の作用は、
そのやり方によって大きく変わるもの。

そのためストレッチにも
複数の種類があり、
科学的なメカニズムに基づき、
目的や状況に応じて最適なストレッチ法を選択する必要があります。

そもそも我々の筋肉には、
急激に引き伸ばされたときに
切れるのを防ぐ「筋紡錘(きんぼうすい)」というセンサー組織が存在します。

このセンサーが自分の意思とは関係なく
脊髄に信号を送り、
運動神経を経由して筋肉を収縮させ、
守るという働きを担っています。

この反応を「伸張反射」と呼びます。

これに対して働くのが、
筋線維と腱の間にあるセンサー
「ゴルジ腱器官」で、「腱紡錘(けんぼうすい)」とも呼ばれます。

収縮した筋肉とともにこれが引っ張られると、センサーが張力を感知。

筋収縮を抑えて弛緩させ、
筋をストレッチさせる反応が起きるのだ。

これを「自動抑制」または反応する神経線維の名称から「Ib抑制」と呼びます。

このように自動抑制は筋肉を伸ばし続ける際に働くため、
この働きを利用したのはストレッチの王道ともいえるスタティックストレッチ。

筋肉が持続的に伸ばされると、
腱と筋の間にあるゴルジ腱器官(腱紡錘)が緊張を察知。
Ib群線維から脊髄へと信号が送られ、
筋を縮めようとする運動神経の働きが抑えられます。

スタティックストレッチで重要なのは、
筋を収縮させる「伸張反射」をなるべく引き起こさず、「自動抑制」の働きで筋肉を緩めること。

そのため、スタティックストレッチはゆっくり行うのが大前提。

ややキツいと感じられるポイントで止めるのが基本。

その理由は、
伸張反射が働くのが最初の20秒ほどで、
これと同じタイミングで自動抑制が働き、緊張した筋肉が緩み始めるため。

よってスタティックストレッチでは30秒を目安にゆっくり伸ばすことが推奨されます。

もし緊張感が軽減されなければ
伸展が深すぎると考えられ、
少し緩めると伸張反射の活性化を回避できる。

ただし注意すべきポイントは
スタティックストレッチを運動前にやりすぎると自動抑制で素早い動きがやりづらくなり、パフォーマンスの低下を招くこと。

むしろしっかり行いたいのは運動後。

疲労した筋肉のケアには、
非常に適したストレッチです。

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