金の板にまつわる研究発表会 2022.11.23
こんにちは。伊山桂です。
今回は2022年11月23日、勤労感謝の日に行われた「金の板展」特別企画
『金の板にまつわる研究発表会」にて語られた金の板情報についてのまとめ記事になります。
業者の在庫をほぼほぼ無くしてしまうほど岩手県で売れた金の板。そんな金の板との出会いから、その正体について主催の柴田有理さんと伊山桂が迫ったここ数ヶ月の記録について改めてまとめていこうと思います。
金の板との出会い・謎の天使
という寓話のようなエピソードが岩手県盛岡市に金の板が入ってくることになった裏にはありました。
金の板がきた当初、画材屋では毎日金の板で盛り上がり、それがどこで作られたのか、何用の板なのか憶測が飛び交いました。そんなある日、メーカーから少し特殊な金の板が届きました。
こちらの金の板には、すでに天使が印刷された紙が貼られてあったのです。使用例として送られてきたこの板によって憶測は加速します。
この天使は一体…
この天使は、イタリア・フィレンツェの画家 フラ・アンジェリコ(Fra' Angelico 1390/1395-1455)の『リナイオーリ祭壇画』の中にいた、マリアと幼いキリストの周りを囲むように描かれた12体の奏楽天使、その中の一体でした。
天使とは天上と地上を結ぶ、いわば伝言役のような立ち位置らしく、楽器を持っている天使のことを奏楽の天使(奏楽天使)と呼ぶようです。
ここで一つ、金の板=イコン説が強まります。そしてそれを後押しするように、金の板の箱にはごくまれに小さいイタリア国旗が入っていることがありました。
イタリア在住の人に聞いてみよう!
製造場所や売っている場所がある程度絞られてきたため、実際に現地で生活している方々に連絡をとってみました。
岩手県出身で現在イタリアに在住の画家、小野隆生さん。長きにわたってイタリアの諸地域で生活、活動されている方なら何か知っているかもしれないと思い聞いてみました。
なるほど、長く生活されていてもみたことがない、とするとやはり観光客向けの商品として売られているのかもしれません。
伊山のメール友達のイタリア出身・在住者の方にも聞いてみました。
やはり知らないようです。これは小野さんが仰っていたお話が近いのかもしれません。
同主催者の有理さんの調べによると、確かにフィレンツェにある木工細工店には売っていそうで、そのお店を写真で確認すると金の板同様、イコンのようなものや、金泥が塗布されたお盆のようなものなどが確認できました。
なぜ天使だったのか
なぜ金の板に天使が貼られていたのか、これは少し明確なことは分からないので予想で書かせていただきます。
この天使が貼られた状態で金の板が販売されているのだとしたら、それはお守りや心の支えのようなお札としての商品だと言えるでしょう。
先に書いたように、天使は人と神の間をとりもつ存在です。「天使」という記号を用いることは、その存在とその存在の周り(内と外・地上と天上)を証明していることになるでしょう。それが人々に安心感を与えているのではないでしょうか。
さらに有理さんの調べた情報によるとこのフラ・アンジェリコ作「リナイオーリ祭壇画」に登場する奏楽の天使たちは人気モチーフであり、ポストカードやお土産品によく印刷されているようで、やはり観光客向けに売られているみたいです。
イタリアらしさ、フィレンツェらしさを醸し出すこうしたモチーフや、金色を用いて制作された商品を観光都市であるフィレンツェで売る、これは確かに美術館の出口付近にある売店でポストカードを買ってしまう心理みたいなのが働いてしまいますよね。さすがフィレンツェです。(憶測)
まとめ
と、ここまでが伊山と柴田有理さんが金の板について調べてわかりはじめたことでした。ざっと改めて分かったことをまとめてみましょう。
金の板が一体どうして国内に入ってきたのか、いまだその真実は掴めませんが、日本人に根付いている西洋への憧れのようなものから、「イタリアっぽさ」に私たちはロマンを感じざるを得ないのかもしれません。
そうした「ぽさ」が見事に岩手県に刺さったのは、「黄金郷・平泉」の身近さと大切さを知らず知らずの内に身に付けていたからかもしれませんね。
なんにせよこうした流れを、改めて一歩ひいた視点から眺めてみると、なんだか本当に変な面白い企画ですね。この金の板についてはまだまだわからないことが沢山あります。調べれば調べるほど「?」が増える一方です。これからも追及を続けて行きたいと思います。
さて「金の板展」が近づいてまいりました。皆さん作品制作のほうはいかがでしょうか。作品の締め切りは2022.12.9ですが展示期間中でも随時受付したいと思います。
まだまだ時間があると思っているとあっという間に会期が近づいてきましたね。かく言う私、伊山もまだ板に手を付けられておりません。
会場である岩手県盛岡市アートショップ彩画堂さんにはすでに完成された力作が徐々に徐々に届いてきております。力作!!!って感じです。
どなたでも、どんな形態でも参加可能です。今知ったと言う方々も、知っていたけど手が出せなかったと言う方々も、皆様ぜひ奮ってご参加ください!ご応募お待ちしております!
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