![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/160624965/rectangle_large_type_2_5afb5e80a21aa2e1951a2d987a8976d2.png?width=1200)
「教える」の語源は「押す」?
「教える」という言葉は、「知識を与える」「技術を伝える」といった意味が一般的です。しかし、この「教える」という言葉の語源については、いくつかの興味深い説が存在します。今回は、その主要な説を紹介しつつ、私が特に共感する「押す」に由来する説について詳しくお話しします。
「教える」の語源に関する主な説
「愛しむ」説
一つの説として、「教える」は「愛しむ(おしむ)」から来ているというものがあります。ここでいう「愛しむ」とは、単なる愛情表現だけでなく、相手を大切に思い、思いやりを持って知識や知恵を惜しみなく伝えるという意味です。「愛しむ」から派生して「教える」に至るという解釈は、教えが単なる知識の伝達以上のものだと感じさせてくれる説です。「押す」に由来する説
次に、「教える」が「押す」から派生したとする説があります。ここでの「押す」は、物理的な押し付けではなく、知識や考えを強く伝え、理解を促そうとする意図が込められていると考えられます。この説は、日本語の古語においても「おし(押し)」が他者に影響を与えるという意味合いを持つことから、日本語の構造と一致する面白い解釈です。
「押す」に共感する理由:方言から見える関連性
私がこの「押す」に由来する説に特に共感する理由として、大分で耳にした方言が影響しています。研修で大分を訪れた際、「教わる」を方言で「おさわる」と言うことを知りました。確かに、私の地元長崎でも、「鍛える」の受け身形が「きたわる」となっているなと考えると、これは「おさえる」が「おさわる」、「きたえる」が「きたわる」といった具合に九州方言で対応していることを示しています。
この方言の対応関係からも、「教える」が「押す」に由来するという説がますます納得のいくものに感じられます。さらに、「おさえる」の語源が「押す」であることを考え合わせると、まさに「押す」から「教える」への自然な語源の流れが見えてくるのです。
教えるとeducationの対比
興味深いのは、英語の「エデュケーション(education)」の語源との対比です。英語では、教育を意味する「エデュケーション」はラテン語の「educare」、つまり「引き出す」に由来しています。英語の教育観には、内なる可能性や知識を「引き出す」という発想があり、外から「押す」ことで伝える日本語の感覚とは対照的です。
「教育」ではなく「学育」という考え方
近年、「教育」ではなく「学育」という新しい考え方も提唱されています。これは、知識を「押し付ける」だけでなく、学びを通じて個々の力を「引き出す」というアプローチです。「押す」だけでなく「引き出す」という視点を取り入れるこの「学育」という考え方は、相手の成長をサポートする包括的な教育観に共感できる部分です。
おわりに
「教える」の語源を探ることで、文化や価値観による教育観の違いが見えてきます。私たちが「教える」と考える行為には、「押す」ことと「引き出す」ことの両面が求められており、これが深い学びを促す鍵ではないでしょうか。