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「モチベーションはスタートではなくゴール」

私たちは、日々の生活や仕事において成功を追い求めることが多いです。成功を手に入れるためには行動が必要であり、行動を促進するものとして、一般的に「モチベーション」が重要視されます。しかし、モチベーションは単なる行動の原動力ではなく、むしろ最終的なゴールであるという考え方を提案します。この視点に立つことで、日常の行動や人生の目標に対する理解が変わり、より持続的に高いモチベーションを保ちながら生きることができるようになるでしょう。


モチベーションと成功の逆転構造

私たちはしばしば、モチベーションが高まった結果、行動が伴い、行動によって成功が手に入るという直線的な考え方をしています。しかし、この見方では、本当に求めているものにたどり着けない可能性があります。実は、モチベーションそのものが成功であり、ゴールであるという逆の構造を理解することが重要です。

この考え方を具体的に見ていくと、モチベーションを持って行動し、その行動が成功をもたらすというのは、表面的な見方に過ぎないことがわかります。むしろ、日々高いモチベーションを維持し、生活できている状態そのものが、私たちが本来欲している成功であると捉えることができるのです。モチベーションを高く保つことこそが、成功の最終形であり、外的な成果はその副次的な結果にすぎません。

モチベーションを維持するためのサイクル

では、どのようにしてモチベーションをゴールとして捉え、それを持続させるのでしょうか?答えはシンプルでありながら深遠です。それは、自分自身が「自分がやったことを評価できる」と信じ続けることです。モチベーションがある程度維持できる状態は、自分が行った行動を評価し、それが正しい選択だったと感じられるときに生まれます。

モチベーションを維持するためには、自己評価のサイクルを作ることが重要です。つまり、「行動し→アウトプットを出し→その結果を評価する」そしてその評価がポジティブであると感じられることで、次の行動へのモチベーションが再び生まれる。このサイクルがうまく機能すれば、常に高いモチベーションを保ちながら行動し続けることが可能になります。

内面化された他者の評価から自分自身へのシフト

多くの場合、私たちは他者の評価や社会的なステータスに依存して自分を評価してしまいます。ここで登場するのが「内面化された他者」という概念です。
他者の考えていることなんて本当の意味でわかることはどこまで行ってもありません。なので「他者の評価」といったとき、私たちは

「『他者が自分をこう評価しているだろう』と自分の中で感じている」

わけです。この他者の評価を基準にした自己評価では、真のモチベーションを得ることは難しいでしょう。

このように多くの場合、私たちは他者の評価や社会的なステータスに依存して自分を評価してしまいます。ここでメタ認知が役立ちます。他者の評価をどこまで行っても正確に知ることはできません。実際には「他者がこう評価しているだろう」と自分自身で想像し、それを基準にしているに過ぎないのです。この内面化された他者による評価では、真のモチベーションを得ることは難しいでしょう。ここでメタ認知を活用することで、自分自身の基準に立ち返ることができます。

メタ認知の活用

自己評価を確立するためには、「メタ認知」という視点が非常に役立ちます。メタ認知とは、自分自身の思考や行動を客観的に捉える能力です。

例えば、先ほどの「他者の評価」について考える際も、メタ認知を使えば「『他者はこう評価しているだろう』という名の自己評価を作り出している自分」を、もう一つ上の次元から俯瞰して見ることができます。こうして確定的な「他者の評価」と見なしていたものが、実は自分自身の解釈に過ぎないことに気付き、そこから再解釈することで、新たな行動変容に繋げることができます。

この行動変容をもたらした解釈自体が、実はモチベーションそのものであり、次のステップを踏み出すための力となるのです。つまり、モチベーションをピンポイントで得ようとするのではなく、自己評価を再解釈することでモチベーションを生み出し、持続的な「流れ」を作り出すことが鍵となるのです。

アウトプットとモチベーションの関係性

私たちはしばしば、アウトプットそのものを成功と捉えがちです。例えば、社会的なステータスや他者からの評判、経済的な成果などがそれに該当します。しかし、これらの外的な成功を求める根底には、「それによってモチベーションが上がるだろう」という予測があることに気づくべきです。つまり、私たちが本当に欲しているのは、その成功がもたらすモチベーションそのものなのです。

この視点に気づくことで、行動や成果に対する捉え方が変わります。成果そのものが他者からの評価にどう影響するかよりも、それが自分のモチベーションにどのように作用するかを重視することが、持続的なモチベーションの源泉となります。

モチベーションの高い人生がもたらすもの

最後に、モチベーションをゴールと捉え、それを高く維持し続けることが、私たちにとってどれほど幸せな人生をもたらすかを考えてみましょう。モチベーションの高い人生とは、外的な成功に依存せず、自分自身の価値観に基づいて行動し、それを評価し続ける人生です。内面的な充実感と自己成長を感じながら、生き生きと毎日を過ごすことができるでしょう。

私たちが求めているのは、究極的にはこうしたモチベーションの高い状態であり、それが私たちにとっての「成功」なのです。モチベーションを単なるスタート地点と捉えるのではなく、モチベーションそのものをゴールとして見据えることで、人生の見方や行動の仕方が根本から変わります。

行動を起こすための具体的な方法

人生をより良くするのは「行動」です。
そんなことはわかっているけれども、「その行動が起こせないからこそモチベーションを求める」というのは、非常に自然な発想です。しかしここまで述べたように、モチベーションそのものがゴールであり、それを生み出し、維持し続けるためのサイクルや仕組みが稼働することが最終目標だと考えるならば、そのサイクルを手に入れるための最初の出発点は、やはり「行動」です。

ここで、迷える子羊たちは振り出しに戻ってしまうかもしれません。行動するためにモチベーションが欲しいと感じていたのに、モチベーションを得続けるためには行動を起こすしかないというパラドックスに直面するからです。確かに、メタ認知は、行動に対する評価をモチベーションに適切に反映させる際に非常に役立つツールですが、それも行動を起こしてこそ意味を持ちます。

では、最初の行動を起こすきっかけは何でしょうか。ここで、具体的に行動を起こすための3つの方法を提案します。

1. 人と会うことでモチベーションを引き出す

私たち人間は、単独で動機を生み出すことが難しい場合があります。特に孤立した状態では、行動を起こす原動力が低下しがちです。しかし、「心の3第欲求」といわれる、自己決定理論(Self-Determination Theory)に基づけば、人間のモチベーションは三つの基本的な心理的ニーズによって支えられています。それが「自律性」「有能感」「関連性」です。

この中で「関連性」は、他者とのつながりを意味します。他者とのつながりは、人間の心理に強く働きかけ、内発的モチベーションの引き金となります。たとえば、次のような場面を想像してください:

  • 誰かと話をしたり、共通の目標を持つ仲間と交流することで、自分も頑張らなければと感じる瞬間。

  • 人と会うことで、自分が目指す方向性が明確になり、背中を押されるような感覚を覚える時。

人と直接関わることで、自然と行動が促進され、その結果モチベーションが引き出されるのです。孤立した環境では難しい新たな視点や気づきを得るためにも、積極的に他者と関わることが行動の第一歩として有効です。

2. 移動することで脳を活性化させる

人類の進化の歴史を振り返ると、移動という行動がいかに重要であったかがわかります。狩猟採集民時代、人々は食料を求めて日々移動していました。移動することで新たな土地や食料源を見つけ、生活を営んでいたのです。この「移動」のプロセスは、脳に大きな刺激を与え、クリエイティブな思考や新しい行動を引き起こしてきました。

現代でも、移動は重要な役割を果たしています。普段行かない場所に足を運ぶことで、新しい視点や刺激を得ることができます。特に、次のような場面が想定されます:

  • 新しい町や自然環境に身を置いたとき、脳が普段とは違った刺激を受けることで、アイデアが湧き出す。

  • 環境が変わることで、これまで抱えていた問題に対して新しい解決策が見えてくる瞬間。

これにより、行動に対する意欲が高まり、モチベーションも自然に引き出されます。日常のルーティンから一歩外に出て、物理的な移動を取り入れることで、行動を起こしやすくするのです。

3. 引き寄せられる身体感覚を持つことで「面倒くさい」を克服する

行動を起こせない理由としてよく挙げられるのが「面倒くさい」という感覚です。この感覚は、脳がエネルギー消費を予測し、行動を避けようとするために生じます。私たちの脳はエネルギーを消費したくないという本能的な反応を示しますが、これはしばしば行動を妨げる大きな要因となります。

しかし、ここで役立つのが「引き寄せられる」身体感覚です。この感覚は、自分から行動するのではなく、まるで外部の力に引き寄せられるように自然と動き出すというものです。これにより、エネルギー消費が少ないと脳が判断し、行動が容易になります。具体的には以下のようなことが考えられます:

  • 「吸い寄せられるように」手が自然に伸びる、足が自然に前に進むといったイメージを持つことで、行動への抵抗感が薄まる。

  • 身体感覚を使って「面倒くさい」という感覚を緩和し、結果として行動に移しやすくなる。

この「引き寄せられる」感覚を持つことで、行動を躊躇することなく進めるようになります。そして、行動が進むことで、モチベーションのサイクルが回り始めるのです。

おわりに

「モチベーションはスタートではなくゴール」という考え方は、私たちが日々の行動や成功をどのように捉えるかに大きな影響を与えます。モチベーションを単なる行動の原動力と見なすのではなく、それ自体を最終的な報酬、ゴールと捉えることで、より豊かで持続的なモチベーションのある人生を送ることが可能です。

自己評価のサイクルを確立し、他者の評価に依存しない自己評価を持つこと。そして、メタ認知を活用して自分の行動や成果を俯瞰することが、このプロセスの鍵となります。モチベーションを高く保ちながら、日々の生活をより充実させるために、まずは自分自身の価値観に基づいた行動を取り、その行動を通じて自己評価を行いましょう。そうすることで、私たちが本当に求めている「成功」(=モチベーション)を手に入れることができるのです。

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