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中学受験算数 解法暗記の重要性

算数に不安を抱えているご家庭は多いです。
そこで、今回は「算数の解法暗記の重要性」についてお話しします。
大学受験における数学の解法暗記の重要性については、受験業界では非常に有名な和田秀樹氏が以下のように強調されています。

「受験数学の問題には一定の数の解法パターンがある。その解法パターンを理解した上で暗記すれば、効率よく成績を上げられる。難関大学でもこの方法で攻略が可能である」


中学受験における算数の重要性

中学受験において、入試の合否を決めるのは間違いなく算数です。

算数を制する者は中学受験を制する!

これはもはや中学受験の常識とも言われるほど、周知の事実となっています。
中学受験の試験科目は、国語・算数・理科・社会の4教科が一般的です。
大学受験と異なり、「文系」「理系」の区別もありません。
大学受験の場合はこれに英語が加わり、国語であれば現代文・古文・漢文に細分化され、理科も物理・化学・生物・地学のように細分化されています。

一方、中学受験では4教科なので、多くの学校では、合計点に占める算数の割合が非常に大きくなっています。
社会が課されていない中学もありますが、この場合、より一層算数の重要性が増します。

算数は最も差がつきやすい科目

算数は他の教科に比べても、受験者平均点と合格者平均点で差がつきやすいことが特徴としてあげられます。
受験者平均点と合格者平均点を比較すると、国語や理科では5点くらいの差に対し、算数は10点以上ということがよくあります。
これは点数の差に若干の違いこそあっても、ほぼすべての学校で似たような結果となっています。各学校のホームページや入試結果報告会などで算数の入試結果を公表していますが、合格者と受験者の間で大きな差があることが多いです。

算数が、受験生で差がつきやすい教科ということは、算数が得意な受験生にとっては朗報ですが、算数が苦手な受験生にとっては苦戦を強いられることになります。他教科が得意で得点が取れていたとしても、算数に足を引っ張られるケースは往々にしてあります。

そこで、中学受験の算数を克服するための、「算数の解法暗記」をご紹介します。

算数の解法暗記

入試問題には、毎年どこかの学校で必ず出題される「典型問題」「有名問題」とよばれる問題があり、普段の学習でも、解けない問題については3分以上考えず、解説を読んでその解法を覚え、その後は定期的に復習して本番の試験では必ず解けるようにする学習法が非常に有効です。

「算数の解法暗記」の最大の目的は、短い時間で多くの解法パターンを習得し、算数の成績を上げることです。
そのため、「最初から自力で解けること」には全くこだわらず、「できるだけ短い時間でパターンを習得し、最終的に自力で解けるようになること」を重視しています

解法暗記の重要性を、以下の問題を通して紹介します。

【問題① 出題校:渋谷教育学園幕張中学】
以下の図のように、正方形をたてに3個、横に5個並べて長方形を作ります。例えば、この長方形の1本の対角線は、7個の正方形を通過します。

(1)正方形をたてに7個、横に11個並べた長方形を作るとき、この長方形の対角線は、何個の正方形を通過しますか。
(2)正方形たてに39個、横に51個並べた長方形を作るとき、この長方形のの対角線は、何個の正方形を通過しますか。


以下の解き方を知っていれば、暗算でも可能です。

【POINT】
対角線は何個の正方形を通過するかを問われたとき、
縦の個数+横の個数-縦と横の個数の最大公約数 
となります。

【解説】
(1)7+111=17(個)
  ※7と11の最大公約数は1です。
(2)39+513=87(個)
  ※39と51の最大公約数は3です。

いかがでしたか。
こちらは、筑波大附属中でも出題された有名問題です。
しかし、ゼロから自力で考えて解くとなるとかなりの時間を要し、非常に非効率です。
一方、初めから解法暗記を意識した日常学習で解法をストックしていくと非常に効率的です。他の受験生が考えて1問解く間に数問の解法をストックでき、周りと大きな差をつけることができます。

「算数は考える教科であり、暗記するものではない」として、否定的な人が沢山いますが、おそらくその人たちは誤解しています。
そもそも、考えるには土台となる「知識」が不可欠です。算数を解くときも、今まで入れてきた知識(公式、解法など)を基に考え、正解を導きます。算数の知識無しに閃きだけで解くことは不可能と考えます。


もう1問ご紹介します。

          (出題校:早稲田中学)

こちらは、早稲田中学で出題された有名問題です。
この問題は大問1の(1) の問題です。
つまり、受験生が最初に目にする問題です!
解法を知らない場合、小さい数から順に約分できる数を探すことになりますが、時間がかかりすぎます。この最初の問題を10分かけて解けたとしても、他の算数の問題に費やせる時間を失い、試験本番では精神的にもかなり追い込まれます。
しかし、以下のPOINTを暗記していれば1分で解けます!

【POINT】
分数は、「分母と分子の2つの数の差の約数」で約分できる。

【解説】
まず、5207と5080の差は127です。
そして、127は素数であり、約数は1と127です。
そこで、127で約分すると40/41となります。
POINTを知っていれば一瞬です♪

このように解法暗記を意識した学習をすることで、短時間で確実に正解にたどり着くことが可能になります。

解法暗記の方法

暗記するのは、「解法(解き方、解き方のパターン)」です。
解答全部を丸暗記するのではありません!
これを勘違いしている受験生が多いので注意が必要です。

(1)問題を3分考える

まず、自分が知っている解法を使えないか試してみます。3分たっても正解への道筋が見えてこない場合は即座に解答をチェックします。

(2)解法暗記

解けなかった問題の解説を熟読したうえで解法を理解し、解法を暗記します。解法を理解した後、その解法を暗記するのですが、理解して暗記することが重要です。丸暗記ではありません!
暗記するときは、見て記憶できる人は書かなくてもいいですし、書かないと記憶しづらい人は書く方がよいでしょう。

(3)ノートに再現

解法を暗記したら再度解いて解答を再現します。解答を再現できるまで、解説チェックそして再現を繰り返します。
再度解くときは、できるだけ正確に再現します。正確さに欠けるときは、再度解法を記憶し、解き直します。

(4)定期的な復習

解法を暗記した問題については、定期的な復習が必須です。
復習回数の目安は、5~10回前後です。ポイントは、定期的に復習することです。
忘れる前に復習」が勝負を分けます。
自信がない問題については、1か月後、3か月後などを目安に定期的に復習することを意識してください。

暗記数学とは、囲碁で言うところの「定石」を覚えるようなものです。定石をたくさん覚えると、頭の中でさまざまなシミュレーションができるので、囲碁の実力が上がります。算数の問題も、定石の組み合わせで解けるようにできています。いくつもの解法を組み合わせれば、自然に答えを導き出すことが可能です。

計算能力も不可欠

解法暗記の重要性についてお話してきましたが、解法暗記の効果を模試や本番で発揮するためには、計算能力が不可欠です。

そして、基本的な計算能力を身につけるためには計算練習が必要です。
足し算引き算掛け算割り算など、基本的な四則計算を繰り返し行うことで、計算スキルを磨いてください。
解法がわかっていても、正確な計算力がないと正解にはたどり着けません。

最後に

算数は最も差がつきやすい科目です。そして、算数に不安を抱えているご家庭は本当に多いです。
今回お話ししたように、中学受験で出題される入試問題には、毎年どこかの学校で必ず出題される「典型問題」「有名問題」とよばれる問題があり、それらの頻出問題の解法パターンを確実に暗記して試験本番に臨めば、一部の難関校を除き、算数が原因で不合格となることはありません。
解法暗記を意識した学習で算数を克服し、志望校の合格を掴むことを祈念しております。


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