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JGBA2024審査会に思う

割引あり

先日JGBA2024審査会に参加してきました

国内外の審査会に20年以上参加してきましたが毎回緊張します

今回の審査会は相対評価ではなく絶対評価です
つまり2つ以上のビールを並べてどちらが優れているかという審査方式ではなく”このビールはどうなのか?”という審査方式です

そして審査員がこのビールは受賞にふさわしいと判断すれば同じカテゴリーで何個でも賞が与えられるという世界でも唯一のビール審査会です

CBA公式Facebookより

これは審査員たちにとってもとてもハードルが高い審査方式です

例えば同じジャンルの2個を比べてどちらが良いか比較するのは簡単ですが、1個しかないものの良し悪しを述べるとなると自分の経験値と官能評価力だけが頼りになってきます

つまり審査員の審査能力が高くなければこの審査会は成り立たないのです

私が2011年の審査会後に今はなき小田会長と交わした
「会長、新しい醸造所にも勇気を与えるような審査会はできませんか?例えば僅かな差で惜しくも受賞を逃したようなビールに”ライバルに負けて受賞はならなかったが十分に評価できるビールであった”的な何かを表彰できませんか?」
「何のためにそんな評価がいるんや」
「新しく開業したところが例えばヴァイツェンで受賞常連ブルワリーと並べられていきなり受賞するのはハードルが高いです。醸造所に勇気を与える意味でも受賞はできなかったけど十分に良いビールだったという証明を出したら販促につながると思うんです
「そうやな」
という会話がスタートでした

その後色々な話が行われ、今はまだ国内の審査員がそういう評価が出来るレベルに達してないという結論になりました

2016年に小田会長が亡くなりそれまで春に毎年開催されていたアジア・ビアカップが2017年から休止となり、試行錯誤を重ねられて2019年に誕生したのがジャパン・グレートビア・アワーズです

毎年少しずつ審査基準を調整し、客観的に、公平に、世界に通用する審査基準を維持しながら今年が6回目の開催

出品ビールも増え、醸造所とは無関係な有資格者(ビアジャッジ資格保持者)と醸造経験3年以上の醸造家などで構成される審査員も増えてきました

CBA公式Facebookより

体感値として今回が初めての審査員が20%くらい、今回が初めてのブルワーが10%くらい、参加が10年を超えるベテラン(ブルワー、有資格者含む)が30%くらいでしょうか

そんなメンバーが一つのテーブルにまんべんなく配置され、意見を交わしながら審査結果を決めていきます

私は世界5大品評会といわれるビール審査会のうち4つに参加してますが、その経験からJGBAはとても公平で客観性の高い賞だと断言します

そんな審査会ですがここ数年私が思っていることが受賞の数字にもなって現れています

まず金賞受賞が複数あったビアスタイルを並べます

5銘柄受賞 
フルーツビール ゆずビール

3銘柄受賞
コーヒービール フリースタイルライトエール

2銘柄受賞
ベルジャンスタイルフルーツビール ハーブ・スパイスビール 南ドイツスタイルヘーフェヴァイツェン その他のホッピーラガー ブラウンポーター アメリカンスタイルIPA アメリカンペールエール

おまけとして書いておきますが都道府県別で見ると44都道府県に受賞ブルワリーがあり、金賞受賞は26都道府県です

すべての都道府県から出品が有ったかどうかは公開されてないのでわかりませんが3つの都道府県で受賞ブルワリーがないのは寂しいですね

さて、金賞受賞ビアスタイルの中でいわゆる伝統的ビアスタイルを太字にします

フルーツビール ゆずビール コーヒービール フリースタイルライトエール ベルジャンスタイルフルーツビール ハーブ・スパイスビール 南ドイツスタイルヘーフェヴァイツェン その他のホッピーラガー ブラウンポーター アメリカンスタイルIPA アメリカンペールエール

副原料を使ったり伝統的ではない革新的なビールのほうがより多くの金メダルを取っている印象があります

1銘柄しか金賞を受賞してないビアスタイルを入れると伝統的なビアスタイルの金賞は25個副原料や革新的なビアスタイルが34個です

考えようによっては独自性が発揮されたクラフトビールが多いと言えるかもしれませんし、伝統的なビアスタイルは歴史ある醸造所に任せて私達は地元のものを使ってユニークなビールをつくるというポリシーかもしれません

しかし伝統的なビールをちゃんと作れていないとも言えます

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