クラフトビールの定義と自家醸造のない日本
昨年クラフトビールの業界団体であるクラビ連(日本クラフトビール業界団体連絡協議会)がクラフトビールの統計データを取りました
その結果日本のクラフトビールのシェアが導き出されそれぞれのたちばでのかだいや取り組みの方向性が出せたりしてとても有益な情報になったのではないかと思います
クラビ連内でもある団体はアメリカと同じ基準であったり、それをもう少し幅広く解釈していたり、クオリティーで定義していたりと”クラフトビール”の定義が分かれているようなのですが統計データのもとになったのは大手5メーカー(キリン、アサヒ、サントリー、サッポロ、オリオン)を除くビールメーカー、発泡酒メーカー、リキュールメーカー(発泡酒、リキュールメーカーに関してはいわゆるクラフトビールをつくる目的で免許を取得しているところに限る)の課税出荷量ということになったようです
ちなみに今年も統計を取るそうです
少しでも実態に近い統計となるようにメーカーの皆さんご協力お願いします
さて、クラフトビール先進国であるアメリカでクラフトビールの定義が生まれた背景には財政支援(公的にも一般消費者的にも)が大きいと考えています
最近になってそれは自家醸造の存在が関係しているなと思うに至りました
つまり趣味として家庭でビールづくりを始めた人が知識や技術の向上により趣味の域を超えてついに起業するという流れになったときに
「新しい醸造所が誕生した!大手メーカーの画一的な味わいとは違う多様なビールをつくってくれるビール文化を豊かにしてくれる存在だ」
「しかしあそこはまだ始まったばかりのスタートアップ企業だから潰れないようにみんな積極的に消費して応援しよう!公的な支援もしてあげてください!」
という応援文化がはなひらくわけです
そして応援すべきスタートアップの醸造所をクラフトビールメーカーと位置づけ、クラフトビールをみんなで応援しよう!ということなわけですね
そしてその醸造所が十分に成長したり巨大資本のバックアップをうけたりしてもはや積極的に応援しなくてももう大丈夫だとなったときに積極的に応援すべきクラフトビールメーカーからは卒業した、としてまた違う新しいクラフトビールメーカーを応援する
こうしてクラフトビールメーカーが増えることによりアメリカのビール文化が豊かになっていったのだと考えます
まとめると
・自家醸造で技術を磨いて起業
・起業したての醸造所を積極的に飲んで応援する
・応援しなくても大丈夫なくらい成長したら積極的な応援は別のスタートアップ醸造所へ変える
・その積極的な応援先をクラフトビールメーカーと定義した
そうなってくると自家醸造がなく、そこから起業するビールメーカーがない日本において何を持ってクラフトビールメーカーとし、何を持ってクラフトビールメーカーではないと定義するのか意見が分かれるのは当然なのかもしれません
クラフトビールという言葉をビールと差別された商品のマーケティング用語として使うならば味も定義になるでしょう
日本のビール文化を豊かにしていく醸造家、醸造所の活動と定義するなら醸造所の規模や資本、つくっているビールがバリエーション豊かであることが定義として重視されるべきではないかと思います
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広島県福山市の北にある神石高原町で備後福山ブルーイングカレッジという醸造コンサルや醸造体験、醸造家育成をやっているブルワー小畑が頭の中をつ…
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