調理の色とこだわり
独居老人になると、偏食から栄養失調になってボケてしまうよ、などと悪態をつくのがいる。まったくもう、言ってる本人は外食や調理済み総菜を買うことが多いのに。
子供の頃から病弱で、その原因すら分からず、何度も父の軍医時代の同僚が勤務していた、上野駅近くの大病院に行った。ウッスラと残る記憶では、とてつもなく大きな建物の病院だった。当時としては、日本の最高峰の先進的検査だったそうだが、結果としては原因が分からなかった。
今で言うIQ、知能検査まで受けた。形を数字に変えたり、重なった箱は幾つあるのか、道具から形を組み立てる、などをさせられた。これは田舎では得られなかったゲームで、面白かった記憶がある。
最初に平均よりも高い数値が出たそうで、何度か東京に通うことになった。
むかし父が東京の親戚を頼って家出をして、若いときに遊んでいたという浅草に行けたのが楽しみだった。浅草商店街の入り口に、チョコレート専門の店があった。算盤の形など大きなチョコレートを、袋一杯に買ってもらえるのが楽しみだった。身体の検査よりも頭の検査を何度も受けて、最終的には本人のワガママとされてしまった。
検査結果に異常なくても、実際に息苦しかったり関節が痛み出して動けないのは事実だ。祖父が心配して、五色の食事を母親に作らせていた。およそ900年くらい前に現在の地に来たそうで、その頃からの食事に対する考え方のようだった。何となく中国伝統食餌療法、薬膳の考え方に似ていた。
子供の弁当作りも現在の食事作りにも、子供の時の色合いを重んじる食生活が活かされている。栄養学やレシピというよりも、先ずはパッと見た目の、食卓の上の色を見てしまう。
中国医学の陰陽五行説からの赤色とは、少し違うようにも思うが、長期間を通しての五色は、食材の偏りを防いでいるように思う。しかも調理の時に色を考えると言うことは、常に頭を使っているので、老人のボケ防止に役立っていると思う。
保育園の栄養士と調理をしてる娘が、一人暮らしの食事内容を気にしている。時々、今日の料理として写メを送っているが、完全な五色では無いが、大きな偏りはないと思う。
一人暮らしになると、食べたいときに食べたいように調理できるのが良い。食べたいと思った物が、身体が欲している物、という勝手な理論で食事は楽しんでいる。どうも男の独居老人に対する偏見として、偏食があるようだ。
食べること以外、大した楽しみも無いので、仕方なく作っている面もあるけど。
以下は弁当。
一人になってから契約社員として6年間くらい働いた。大きな会社なので、低価格で昼食弁当と味噌汁は用意されていたが、色の配置が気に入らないのと、味が濃すぎてしかもお米の炊き具合が不味くて、自分で作ることにした。
正式な雇用では無く、正社員というわけでも無く、パートの人達と同じ所で食べたのだが、おばちゃん達から女子力が高いといつも言われていた。
子供の弁当作りも、下が中高一貫校で年齢差が6歳だったので、長期間の弁当作りになった。ほぼ同じ様な作り方で、これよりは大きな弁当箱だった。下に敷くのは大きめのサラダ菜で、開くと拡がって見た目も演出していた。
まあまあだと思うけどね。