将棋がエンタメビジネス化するには何が課題なのか考えてみる
こんにちは、カワナミです。今回は、プロ棋士でエンジェルでもある田中さん(@MAKOTOTANAKA198)より田端大学内で将棋に関するお題をいただきました。
お題としては今まで田中さんがご尽力されてきた、新聞社スポンサー主体の興行や、マンガ・叡王戦等などの「観る将棋ファン」スタイルとは別に 「将棋ファンを増やし、エンタメビジネス化するにはどうしたらよいか?」というお題がでました。
僕自身、将棋は雰囲気は好きなのですがどうしても長時間・複雑なの思考を要する関係上、ADHD人間として苦手意識があります。(ハチワンダイバーとか、月下の棋士とか将棋マンガは好き)
いろいろもやもやして少し長めに整理する必要を感じたのでnote形式で書いて行きたいと思います。
◯はじめに 競技ものは何に盛り上がっているのか?
将棋も勝ち負けが決まる競技なわけですが、なぜ自分は盛り上がりに乗れないのかと思うと競技としての特異性に気づきました。競技の勝ち負けを決めるルールとプロセスが(素人には)わかりにくいという点です。
特に感じるのは下記の3点
①勝ち負けの評価
②決着の状態
③勝ち負けに至るプロセス
①勝ち負けの評価
多くの人気競技は時間や点数の多い少ない(早い)で勝ち負けが決まります。
そして決着がわかりやすい。
■多いと勝利 :野球・サッカー・麻雀・オセロ・フィギュアスケート等
■少ないと勝利:ゴルフ・陸上(タイム)・水泳・競馬等
多い少ない意外で勝ち負けが決まるものは、例えば格闘技なんかがあるのですが「相手が戦闘不能(ダウンして立てない)」という見てわかりやすいものだったりします。つまり評価がしやすい。
ところが、将棋の場合「どうやっても王将が取られてしまう状況になったら負け」という素人から見ると、本当にその状況なのかが極めてわかりにくいのがわかります。
②決着の状態
格闘技の例にも書きましたが、多くの競技は、勝ち負けの決着がわかりやすく、かつ決着がついた瞬間=試合終了です。
ところが将棋の場合は「投了」という、素人からすると将棋に詳しい人からだけ見えている景色で決着が決まっている。
「お互いが納得しているからいいか」とは思うのですが、あまり詳しくない自分からすると盛り上がることが出来ないわけです。
③勝ち負けに至るプロセス
人気のスポーツを見ていると、より多くの得点や評価につながる1手はわかりやすくド派手なケースが多いと感じます。野球でいうホームラン、サッカーで言うロングシュートやドリブル突破、麻雀で言う役満、格闘技なんかは得意技・必殺技。将棋の場合も戦型などはあると思うのですが、1手1手をみてこれまた「これは凄い一手だーーー!」とわかるのは難しい。
将棋マンガなんかだと、ド派手に演出してくれたりするのでよくわからないけど凄いって感じることができるのですが・・・。
ここまでに決着ルール・決着の状態・決着に至るプロセスのわかりにくさを自身の主観からですがあげてきましたが、では将棋は何から手をつけていくと良いのか?
正直、田中さんがかかわられてきたマンガ化などのエンタメ化、そして子供向けの取り組みをみるともともとの課題からすればものすごい流行っているのではないかとすら思います。
それでも、もし自分ならを考えてご提案してみたいと思いいます。
◯エントリー層の獲得に必要な条件とは?
ここまでの整理の中で、頻出したワードとしては「わかりにくい」だったかと思います。
何にせよ、エントリー層を増やすためにはわかりやすさが必要な一方で将棋は知のスポーツと言われるだけあってなかなかにルールも難しい。
他の競技を眺めてヒントを探す中で、わかりやすく、エントリー層を獲得すうる競技には共通していると感じたことがありました。それは
「ルールを多少崩しても競技として成立する」こと
例えば、バスケの3on3。人数を減らしてゴールを減らしてもOK。野球でいう三角ベースとか、サッカーで言うPK戦とかフットサルとか、子供や素人がルールを100%は守らずにやっても楽しめるかどうか。でも競技を重ねると正規ルールでのスキルが上がるかどうか。が盛り上がりには大事じゃないかと。
※競技によっては意図的に崩したままルール整備をして別競技にしているものもあります。バスケの3on3なんかはオリンピック競技にもなりましたね。
なお将棋は、「どうぶつしょうぎ」という知育向けのものがあります。(それでも結構頭使うし難しい)
実際やってみると「玉(にあたる)コマがどうやっても取られる状態」までやれるのですが
・どうしても知育感が強く、また対戦機会や試合を見る機会があまりない
・将棋とどうぶつしょうぎの間の乖離があまりに大きすぎる
ためエンタメ感がかけてエントリー層獲得にはつながってないのかなぁと思う次第です。
◯将棋をエンタメ化するための打ち手とは?
ここまでの内容を考えると、将棋には「どうぶつしょうぎの進化」が重要なのではないかと考えました。
①ルール :将棋のルールを初心者にわかりやすいレベルまで崩す
②プロセス:一手一手のプロセスをわかりやすく盛り上がる仕立てに
③仕立て :競技化して対戦機会を作る
④仕組み :お金を落とす機会をコンテンツに見出す
この4つを満たした上僕が考えたのは、「将棋カードバトル@4×5」です。(急にアホっぽくなりましたが・・・苦笑)
ゴールは「将棋をゲームセンターやトレーディングカードショップで流行らせる」です。
①ルール
まず、キャラ将棋のルールについては「将棋よりも簡易、わかりやすい」であればいいです。できればコマの動きは将棋と同じで、将棋に地続きになっていること。
※例えば簡易ルール例
・盤面に置いてよい駒数は◯個まで
・使って良い駒は試合ごとに決まる(金◯個、歩◯個・・・など)
・駒は自由で、駒ごとにコストが設定されていて、総コスト上限まで等
つまり、将棋の駒の動きは同じなんだけどルールは崩して行われる。いずれ将棋のファン化に接続していくための必須事項と言えます。
②プロセス
勝ち負けは通常の将棋どおりだけではなく、絶妙な手が点数化され勝ち負けをつける別評価が付ける。
例えば ①詰みの勝ち負け ②総点数 2つの評価で決まるなど。
ぶっちゃけ自分のような脳みそ足らずだと、詰んで勝つのはしんどいので他の勝利方法がほしいわけです。桃鉄でおなじみ、単純に資産額だけでは勝てないアレと同じです。
③仕立て
そして、この案の重要ポイントは、カードバトルであること。
できればオンラインやゲームセンターで勝ち負けの演出が派手に行われる筐体まであるとなお良いかと。
イメージはハチワンダイバーに出てくる将棋ゲームマシンや、今流行りのドラゴンボールヒーローズなどです。
この派手な演出・戦況がわかりやすいというのは結構肝なところ。
かつて格闘ゲームに陰りが出た頃に「鉄拳」が海外マーケティングの結果、エンタメ性を追求し「スーパースローモーション」「レイジアーツ」といった演出を生み出しました。
詳しくはこちら
④仕組み
カードゲームとしてのコンテンツ。お金の落とし所はここです。
トレーディング系のカードゲーム。やったことある方はご存知かもしれませんが「基本ルールは同じだが、キャラクターは色んな作品のものが使える」ので、機能的には揃っても買い続ける人が多いんです。
もし自分の好きなキャラクターで、一手一手演出が入ったら、、、もし王手の時に特別演出があったら「将棋のルールでも盛り上がれるかも?」と考えました。
そのため、同じ「金」でもいわゆる萌え絵のカードもあれば、筋骨隆々の武将がいてもいい。プレミアで棋士ご本人カードがいてもいいわけです。
以上の4つを整えることで、知らず知らずのうちに将棋のリテラシーが身につき、棋士のキャラクターを理解し、技術が高い人が将棋の本元にも興味を持っていくのではないかと考えました。
◯さいごに 将棋のエンタメ化の行き着く先は
今回は旨くまとめきれずにすこし散漫に語ってきてしまいましたが、改めて将棋のエンタメ化・ファンの獲得のためにはゲームセンターやトレーディングカードショップで流行る将棋カードバドル(将棋簡易版)であると言うのが自身の考えです。
そして、もしその先の拡大があるとすれば1つは本家本元の将棋への道。
もう1つは今萌芽を見せている「e-sports shogi」への道ではないでしょうか?
キャラクターさえいじれば、海外でも展開ができるし、前述の鉄拳なんかは海外マーケティングの結果、人気がある国のキャラクターを作るなどの打ち手を獲っている話もあります。
どちらも”プロ”として賞金を稼ぐ役割を持つという意味で、今回のご提案である「将棋カードバドル(将棋簡易版)」がその礎として流行り、キャラクタービジネスとしてもマーケットを作っていくと面白いなと思えたお題でした。
若干以上に妄想が混じっておりますが、田中さん(@MAKOTOTANAKA198)いかがでしょうか?ご講評お待ち申し上げております!
以上、「将棋がエンタメビジネス化するには何が課題なのか考えてみる」でした。
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川波 佑吉(twitter @ykch_)