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人生、綴ってみた 【結婚・前編】 #11

 督促状を机に置いて、旦那の帰りを待った
 旦那はのらりくらりと私の言葉を交わし
「疲れているから」と、瞬時に寝てしまった

 借金と嘘ばかりの日々が始まった
 妊娠して
 お腹が大きくなっていっても
 借金の督促状ばかりが家に届く

 今度は何?
 独身時代の車のローン、バイクのローン
 結婚式のお金まで、全てが借金

 この人と結婚すれば
 穏やかに生きていける
 そう思えたのはなんだったのか
 穏やかとはあまりにも程遠い場所にいた

 その後
 病院の医療ミスで、子供は死産

 私はどうやら幸せには縁がないようだ

 棺に入った子供を見た
 昨日までお腹にいた子供が
 今日は棺の中にいる

 信じられない

 楽しみにしていた性別を
 こんな形で知ることになろうとは
 思いもしなかった

 旦那が退院手続きをしている間
 私は廊下で一人
 終わるのを待っていた

 病院の掃除スタッフの
 女の人が近づいてきて、言った

「気持ち、わかるよ。

 私もね。
 妊娠がわかったと同時に
 病気でね、子宮を取ってしまったの。
 どうしようもなかった。

 子供はほしい。
 でも、思ったところで
 私にはもう子宮がないんだから
 どうしようもない。  

 あなたも、今は辛いだろうけど
 子宮がある、ってことは
 まだ可能性がある、ってこと。
 私から見れば、すごく羨ましい。

 最近の、ほら、
 向井亜紀の代理出産の話があったけど
 あれすら羨ましいと思う。
 私と同じように
 あの人にも子宮はないのに
 オカネがあれば、
 ああいうことだってできてしまう。

 パートで働いている身分の人には
 考えもつかないことだよね」

 そう言って
 その人はポロポロと涙をながしていた

「ごめんね。
 私、何言ってるんだろうね。
 望みを捨てないで、って
 伝えたかっただけなのに
 ごめんね、ごめんね」

 何年も前の話だと言っていた

 何年も経っていても
 昨日のことのように泣く
 何か言葉をかけてあげたい
 だけど
 この人の悲しみが痛いほど伝わりすぎて
 同じように泣くことしかできない

 私達は二人でしばらく泣いていた

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