主人公のキャラ設定はどうやって考えるのか?−第4回オンライン小説講座

オンラインにて完全オーダーメイドの小説講座をやっています。その4回目の記録です。講座のなかで受講者にお伝えしたことの一部をまとめていきます。

必要な情報を不足なく書く

編集者としてアマチュアの小説を多く見ていますが、小説としておもしろいかどうかの前に、「どういう話かよく分からない」という評価になる段階の作品が一定数あります。なぜそうなってしまうかと言えば、小説を理解するのに必要な情報をきちんと書けていないからです。

いつ? 誰が? どこで? 何を? なぜ? どのように?

このような小説のストーリーを理解するのに必要な基本の情報。それらをきちんと書けているアマチュア作品は、実はとても少ないです。

ストーリー展開や世界観を練りあげることも大事ですが、自分がイメージしている情景や感情を読者に100%伝えることのできる文章力も小説家であれば並行して身につける必要があります。

主人公の見た目はどんなか?主人公はいまどこにいるのか?いまこの場には何人の人物がいるのか?

書く方は自分のなかでシーンのイメージがあるのでつい情報を省略しがちです。しかし読者は、何も知らない状態であなたの物語に招待されます。最初は「説明しがちかな?」と思うくらい情報を書いていくのでちょうどいいと思います。そのあとで書きすぎた余分な情報を削っていきましょう。


物語の作り方、その基本

これは私が作家の方にいつもお伝えする、小説を書くうえで基本になる重要な話です。

それは、小説における主人公の作り方です。

主人公に必要なのは、主人公が抱える人生に関する問題。その問題があるうちは主人公は幸せになれない、というもの。

その人生の問題を、主人公がいかに乗り越えるか?乗り換えた先で主人公は何を見つけるのか?これが物語になります。主人公が問題に立ち向かい、解決する様子。主人公の作り方はそのまま物語の作り方につながるのです。

小説に限らず、漫画や映画やドラマ。物語と呼ばれるものの多くは、このようにして作られています。


主人公の作り方は、他のキャラクターにも当てはまる

この講座のなかでは、技術的に参考になりそうな商業作品をいくつか紹介しています。今回は小説『かがみの孤城』を題材に、主人公の作り方、物語の作り方の話を深めていきました。


「主人公には問題が必要だ」と書きましたが、問題を持つキャラクターが主人公だけである必要はありません。主人公以外のキャラクターにもあってよいのです。他のキャラクターも主人公と同じように自分と向き合い、人生の問題を克服していく。

そのキャラクターが自分の問題と向き合う様子が主人公に影響を与え、主人公が問題の解決に向かう勇気をもらうきっかけとなったりします。


『かがみの孤城』は主要なキャラクターが主人公を含めて7人いて、7人がそれぞれに問題を抱えています。

そしてその問題を克服する瞬間が『かがみの孤城』では物語のクライマックスに集中しています。

1人分でも十分に物語となる人生の問題の克服が7人分一気に流れ込んでくるので、感動が大きく、深いものになるのです。


このようにキャラクターに問題を設定し、それを解決する様子を描く手法は主人公以外にも使えます。

物語を作り出すキャラクターが主人公以外にも存在することによって、ストーリーに厚みや深みを出すことができるのです。






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