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3月8日国際女性デーに寄せて   【2024ガザ編】

こんにちは、JVCエルサレム事務所の木村です。
日本でも少しずつ浸透してきた(と思われる)「国際女性デー」。国際女性デーの説明については、以前のnoteで解説したのでそちらをご覧いただければと思いますが、この日は世界各地で女性の権利などの啓発活動が開かれ、女性について考える日として定着しつつあります。ちなみに、ここパレスチナでは祝日となっています。

女性にまつわる話題といえば、毎年、世界経済フォーラムが発表している「ジェンダーギャップ指数」で日本が何位であるのかが話題になっています(※)が、そのような指数を測るまでもなく、女性が置かれている現状が過酷であることがわかる国があります。紛争下や大きな災害が発生した国々です。そのうちのひとつが、JVCが30年以上にわたり支援活動をしているパレスチナ

活動地のひとつガザ中部・モグラカ(2023年7月撮影)

 ※日本は146カ国中125位と下位に近く、同じ東アジアでは105位の韓国、107位の中国とも引き離されている状況です。
 【参考】
世界経済フォーラムによるレポート
内閣府による報告書 

「国際女性デー」にちなみ、今日はそのような状況下にあるパレスチナ・ガザ地区の女性たちについてお届けしようと思います。

現地NGO(アルデルインサーン)のラナさん(左)と地域の女性(右)(2023年7月撮影)

私たちは20年以上にわたりガザで現地NGO(アルデルインサーン)とともに、5歳以下の子どもたちを対象とした子どもたちの栄養改善の支援を行ってきました。

高い失業率を抱えるガザでは経済的に困窮している家庭も多く、野菜や果物、肉などの生鮮食品を購入できない、また、1歳にも満たないうちから大人と同じ食べ物を与えるなど、子育ての正しい知識を得る機会が少ないことで、成長に必要な栄養素が足らず、低体重などの発育不良、貧血や、骨形成に支障をきたす「くる病」などの病気にかかってしまう子どもたちが多いのです。

体重測定をするCHA(2023年7月撮影)

ガザでは病院やクリニックの数も限られているので、子育ての経験がある地域の女性たちを「地域保健ボランティア、通称CHA(Community Health Activator)」として育成し、適切な育児に関する研修を行っていました。

研修を受けたCHAは、アルデルインサーンが実施する子どもたちの定期健診をサポートしたり、母乳育児など子育てに悩む新米ママの相談にのったりと、地域全体で子どもの健やかな成長を支える仕組みの一部として機能していました。日本では保健所などの行政機関が担う役割を、ガザでは地域の市民団体が代わりに果たしていたということです。

栄養に関する研修を熱心にうけるCHA(2023年7月撮影)

CHAは子育てに不安を抱えるお母さんたちにとって、頼れる先輩でもありました。研修を受けたあとも栄養について積極的に学び、周囲から「先生(ドクトゥーラ)」って呼ばれるのよね、と照れながら話してくれるCHA、熱心な姿勢が認められて地域の保育園に就職がきまったCHAもいます。それぞれ個性は違えど、地域の子どもたちの健康のために貢献できることを誇りに思い、お互いに切磋琢磨し、何よりも楽しみながら活動に関わってくれていました。
 
そんななか、10月7日、私たちが関わっていた子どもたち、お母さんたち、CHAの人たち、すべてを巻き込んだガザへの攻撃が突如として起こり、それは今なお続いています。

ガザ中部にいた知人は隣家が爆撃にあいました(2023年10月22日知人提供)

2月末現在で、3万人を超えるガザのひとたちが犠牲になっています。このなかには、2月29日に物資配給の列に並んでいたときにイスラエルの攻撃を受けて亡くなったと思われる112名のひとびとも含まれています。そして、全体の犠牲者の3分の1が子どもだとも言われています。

私たちの活動をサポートしてくれていたCHAは幸い無事が確認できていますが、大事な家族や家を失い、自宅から離れた場所で困難な生活を余儀なくされています。

ガザの中には安全といえる場所はもはやどこにもありません。ほとんどの人が自宅を後にして親戚の家や避難所、テント、あるいは路上で生活を送っていますが、どこに逃げれば子どもたちが助かるか、すべては大人の選択に委ねられています。
誤った選択をして子どもを失くし、自分を責めているお母さんもたくさんいるのではないでしょうか。あるいは逆に、大人が亡くなって「子どもだけが生き残る」というケースもたくさん出ています。だから、万が一のときは子どもと一緒に死ねるように、子どもと自分の手首にヒモをまき、寝ている間でさえも片時も離れないようにしている、というお母さんもいるそうです。

幸い命があっても、十分な食べ物がないのは大人も同じで、特に乳飲み子を抱えているお母さんは栄養不足やストレスから赤ちゃんに母乳を与えることができない人もいます。

また、女性特有の問題として、生理用品がないからピルを飲んで月経を遅らせている人もいるという話も聞きました。

このようにガザの女性をとりまく状況はとても過酷で、子育てに関する豊富な知識を持っているCHAでさえも自分たちの家族や生活を守ることに必死で、地域もばらばらになってしまっています。
 
そのような状況に鑑み、JVCは緊急支援の一環として「現金給付の支援」を行うことにしました。空爆の様子などの映像を見ると想像しがたいのですが、ガザでは多少マーケットが機能していて、野菜や洋服などを買うことができます。ただ、日に日に物価は高騰しており小麦1kgが2万円以上もします、これは戦争前の30倍以上もの値段です!

ガザ内でわずかに手に入る食料や衣料なども数倍どころか数十倍にも跳ね上がり、人びとの生活を圧迫しています。ただ値段が高いとはいえ生きるためには食べ物など必要なものは支援で得られなければ自分たちで買うしかありません。そして、欲しいものは家族構成などによっても異なるため、物資そのものよりも現金を給付することにしました。

とはいっても、現金そのものを配ることは難しく、銀行のアプリを活用した電子マネーを対象者に送るという形で支援をしています。まずは通常の活動でつながりのあるCHA(100人)を対象に支援をし、軌道にのったら困窮世帯を中心に支援を広げていく予定です。

紛争が続くなか、まだまだ支援が必要とされています。是非、ガザの人たちの命や尊厳を守るための緊急支援にご協力いただきますようお願いいたします。
 
JVCガザ緊急支援のサイトはこちら


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JVC パレスチナ
JVCのパレスチナ事業では、現地に暮らす人びとの意思を応援する形での支援を行なっています。また、パレスチナの問題を日本社会にも伝えることで、一人ひとりが取り組むための橋渡し役を担うことも試みています。 サポートしていただいた分は全額、JVCのパレスチナ事業に寄付いたします。