武道の呼吸法7
補足説明:呼吸とは、生理学的には外呼吸(肺呼吸)をさし、これは、鼻口を用い吸入した空気を肺に送り込み、そこで酸素と二酸化炭素の気体交換を行うことです。では、なぜ、古来から、呼吸に関して様々な研究やいろいろな実践がなされてきたのでしょう。幸いなことに現代では医学的知見があることから、一定程度解明が進んでいます。これを知ることは、武道における呼吸法活用についての一助となるでしょう。
結論から先に言えば「呼吸は一定程度、意識的にコントロールすることができ、その効果(影響)は非常に大きい」からです。ヒトは寝ていても無意識に呼吸は出来るし、深呼吸など意識的な呼吸も出来ます。この意識的な呼吸を用いて全身を調整する、出力の源泉として武術に活用するのです。
呼吸は、横隔膜や肋間筋の収縮により肺の体積を増減することで実現します。これは筋肉運動ですから神経系によって支配されています。呼吸を調整する神経中枢は呼吸中枢と呼ばれ、脳幹の延髄にあります。延髄を中枢とする抹消神経は自律神経ですから、自分の意志によって制御はできません。これにより不随意的呼吸、すなわち意識しなくても呼吸が出来るのです。
一方、筋肉には随意筋と不随意筋、つまり自分の意志によって動かせる筋肉と動かせない筋肉があります。呼吸筋(横隔膜・肋間筋)は、骨格筋(横紋筋)ですから随意筋、すなわち自分の意志によって動かせるのです。このように、呼吸は無意識下で自律的な動きを確保した上で、随意的に動かせるという二重構造になっているのです。(補足説明-続)
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