体験に価値を生むビジネス#58
この春から市民農園を一区画借りて、野菜づくりを家族ではじめました。近所には畑地も多く、使われていない畑の一部を借りることができないかと思っていましたが、思いの外ハードルが高くて叶いませんでした。知り合いの農家に聞くと、個人で借りられるのは10軒に1軒あるかどうかとのことでした。
そもそも日本の制度として、個人が畑を所有または運営することはできません。農業委員会に掛け合ったとしても許可を取ることは無理です。一昔前…小作人というかたちで個人が畑で農作物を得るために借りることができていましたが、現代は就農した認定農業者や農業系の法人格を持たなければなりません。
◯市民農園のビジネスモデル
冒頭で書いたように、個人が畑を所有することはできません。市民農園とはいえ、その点が緩和されることはなく、だめなものはだめな世界。では、市民農園はどのように成り立っているのでしょうか。
実際に民間の運営会社と契約書を交わしたことで、その実情を知ることができました。契約書には地主、運営会社、利用者の3者が登場します。
結構分かりにくいですが、あくまでも畑を借りたという実態はなく、農家(または運営会社)が開放している農作業体験に参加をしたという体をとっています。収穫物も体験費用の一部になるので、販売したりせず買い上げです。
後継者不足に苦しむ農家は、手が回らない農場が出てくる。放っておけば収益減だし日に日に荒れていきます。手放すに手放せず困っているところに市民農園の運営会社が近づいてきます。そうやって困りごとへのアプローチをすることで仕事を生み出しているのですね。
◯もとを取る発想だと辛くなる
私が使っている区画は16㎡(約6畳)です。月額2,500円くらいで、年間では約30,000円です。今は、じゃがいも・きゅうり・なす・ミニトマト・ピーマンを植えています。これらの苗代が約6,000円ですが、そうなるとまぁまぁのお値段です。
しっかりと手をかけて、毎日のように畑に通うくらいやれば結構収穫できそうですが、ほぼほぼ週末農業な我が家。共働きでもあり、そこまではやれないなぁと思っています。作業がメインの時期は週に一度行って作業くらいのペースでゆるゆると。たまに行くから野菜の成長を感じることができます。収穫がメインになってきたらちょこちょこ顔を出して収穫しようと思っています。
とにかく、生活の中に農を取り入れて、買って食べる野菜から、自分たちで育てていただく野菜へと変化させたり、市場には出回らない、栽培してるからこそ食べられるものがあったりします。日頃食べている野菜がどこからどのようにやってきているのかを身を持って実感することにもお金を掛けたいと思いました。
なので我が家の場合は、野菜を収穫しまくってレンタル料金で支払っている金額をペイすることは目指さずに、ゆるゆると実感のこもった体験を積み重ねていこうと思っています。
◯子どもへの長期投資という視点
一つ前の段落でも触れましたが、私がお金を掛けたいと思ったのは子どもの体験です。私自身は現職で農業の役割を担い、7年ほどやってきています。その経験を活かして家族と食について体験的に学んでいきたいと思いました。
日々食べている食材はどのようにできているか
誰がどのように作っているのか
食卓に並ぶまでにはどのような人がかかわっているのか
好きな食べ物はこれからも食べ続けることができるのか
上記の様なことは私の関心も多く含まれていますが、家族で話題にしていきたいと思うことです。一方で、こういうことを考えながらご飯を食べなければならないというわけではなく…知った上で子どもたちがどのように考えるかはその後の子ども自身の問題だと思っています。とにもかくにも知ると知らないとでは自分の選択肢に差が出てしまいますので、今のうちから身をもって実感できる機会として、畑をまずはやっていきます。
単純に、野菜が採れておいしかったら嬉しいという家族イベント的な要素もあると思っています。
貸し農園ビジネスが安いと思うか高いと思うかは人それぞれ。
大切なことは、自分がその仕組みを理解して何にどれくらいのお金を掛けたいか。またはこれぐらいなら投資できるなという予算を計上するかです。そして、家計の予算に組み込んで収支をしっかりと見ていくことも投資のタイミングでは重要です。
今は、とにかく野菜が実るといいなという思いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。それではまた。ゆうちゃんでした。