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投資信託の置き場所って?

投資信託の口座の説明をしてきましたが、資産をどういった口座で管理しておくのかも重要です。

特定口座やNISA・iDeCo(個人型確定拠出年金)など、資産の置き場所が増えてきました。

NISAは投資の運用益が非課税になる税制優遇口座。

iDeCoも税制優遇口座ですが、原則60歳まで引き出せません。

一般口座や特定口座の場合は、税制優遇制度は適用されませんが、取引の上限額は設けられていなくて、いつでも売却は可能です。

一般NISAやつみたてNISAで運用をしていた人が、上限を超えて投資したい場合、これらの口座を利用することになります。

税制優遇口座の特徴

NISA(少額投資非課税制度)は、2014年から始まった制度。

個別銘柄や投資信託・ETF・REITなど幅広い商品を購入することができ、売却して現金化するタイミングも投資家が自由に選ぶことができます。

非課税で投資できる金額は年間120万円。

この範囲内であれば、投資で得た利益はすべて非課税となります。

この非課税枠は一度使ったら復活しません。

30万円分の株式を購入したとすると、残りの非課税枠は90万円。

30万円の株式を売却したとしても、この年の非課税枠はもとには戻りません。

非課税で運用できる期間は、原則その資金を投資してから5年間。

毎年新たな120万円の枠が発生するため、2021年に投資をした最大120万円は2025年まで非課税で、この5年間が終了するタイミングで、一般口座や特定口座など課税される口座に移管するか、移管前に売却するか、翌年に新たに発生する非課税枠に移管(ロールオーバー)するかを選択することになります。

2021年に投資とした資金は、2025年で非課税期間を使い切りますが2026年に新たに発生する非課税の枠にその資産を移管(ロールオーバー)することで、さらに5年間の非課税での続けることができるわけです。

現行の一般NISAは2023年まで、2024年からは新NISAと呼ばれる新たなかたちになって2028年まで継続されます。

一般NISAで運用している商品の損失は、他の口座で運用している商品の利益と相殺(=内部通算)できないルール。

一般NISAでの運用成績は、損も得もカウントしないという考え方で、購入した20万円の株式が、5年の間に16万円に株価が下がってしまった場合、通常の口座に移管したときの株式の取得額は16万円とされます。

実際は利益が出ていないにもかかわらず、税金を払わなければいけなくなってしまう可能性があるわけです。

より多くの資金を非課税で投資しようと思えば、5年以内に何らかの判断を行わなければなりません。

5年以内で利益が出ているときは売却、損失が出ている銘柄だけはロールオーバーで延長などの判断になることが多くなるでしょう。

そんなに頻繁に売買の判断をしたくないと思う人は、忙しく感じるかもしれません。


つみたてNISAは2018年から始まった制度。

年間40万円(月額約3.3万円)までの非課税枠で、その資金を投資してから20年間非課税で運用できる制度です。

20年間経つと一般口座や特定口座に移管され、一般NISAのようなロールオーバーの仕組みはありません。

基本的に自動での積立購入しかできず、扱っている商品も投資信託が中心の約200本。

金融庁が定めた、手数料や運用期間など長期的に運用するのに向いているとされる条件を満たした商品に限定されています。

運用できる期間が無期限または20年以上あること、毎月分配型ではないこと、ヘッジ目的を除くデリバティブ(金融派生商品)取引を行っていないことなどが条件。

全く安全というわけではなく損をする可能性もありますが、絞り込まれた商品から選べば良いため投資しやすい制度設計になっていると言えます。

逆に言うと投資する額に制限があり、限られた商品ラインナップだということ。

積立なので途中で違うものにしたいと思ったら、今のものを売って新しく買わなければなりません。

NISAと同様、普通の証券口座のように損したものと儲かったものを損益通算して課税部分を減らしたり、損を翌年に繰り越すことはできません。



一般NISA、つみたてNISAを、両方同時に利用することはできず、すでにいずれかの口座で投資を行っている場合は、その年の10~12月に、翌年利用する口座を指定することになります。

まだ資金を投資していない場合は、1~9月であれば今年運用したいNISA口座を選択して証券会社に手続きを取ることで、今年の運用をスタートすることが可能です。

新NISAのスタートは2024年、口座開設・投資可能期間は2028年までを予定しています。

年間に投資できる金額の上限は122万円。

つみたてNISA対象商品が購入できる一階部分と、株式など一般NISA相当の商品を扱える二階部分に分かれています。

非課税期間は、ともに5年間。

一階部分は年間20万円まで積立購入ができ、二階部分は102万円。

原則としては、二階部分の投資を行うには一階部分の積立投資をする必要がありますが、すでに一般NISAを利用して投資をしていて、新NISAでは株式など二階部分の取引のみ行いたい場合は申請をすることで可能になります。

利用できる非課税枠は102万円分のみ。

ちなみに一階部分の20万円は、必ずしも使い切らなくても一部利用することで二階部分の投資枠を使うことはできます。

一般NISAを利用していて2024年以降にロールオーバーを迎える場合は、受け入れ先は新NISAになります。

2018年に一般NISAで運用を開始した資金は、2023年に発生する一般NISAの枠にロールオーバーすることができます。

さらに2023年に受け取った資金は、2028年に発生する非課税枠に二回目のロールオーバーをすることができますが、その時の受取口座は新NISAの二階部分(102万円を超える場合は一階部分も利用)になるわけです。

2018年以前に投資した資金は、最長で15年間非課税で適用できることになります。

新NISAの一階部分から、つみたてNISAへのロールオーバーも可能。

この場合は最長で25年間(=新NISAで5年間+つみたてNISAの20年間)も、非課税枠で投資をすることができます。

ロールオーバーした際の取得価格は、取得当初と変わらない簿価。

受け取った年に新たに投資ができる空き枠を計算する際は、時価を使います。

一般NISAで120万円の投資をして、ロールオーバーする際の評価額が130万円に上がっていた場合は、年間非課税枠122万円の新NISAで全額を受け取ることができますが、122万円を上回るため、その年は追加の投資を行うことはできません。

このときの評価額が60万円に減っていれば、残りの62万円(=122万円ー60万円)の投資を、ロールオーバーされた年の新NISA口座においても行うことができます。

新NISAの一階部分から、つみたてNISAにロールオーバーするケースは少し特殊で、空き枠も簿価で計算。

一階部分の投資可能額20万円がどれだけ増えていても、つみたてNISAで受け取ることができ、さらに受け取った年にも新たに少なくとも20万円(つみたてNISA年40万円ー新NISA一階部分20万円)の投資を、つみたてNISA口座内で行うことができます。

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