ペルソナは必要なのか?について
マーケティング活動では、ペルソナの設定(自社商品の典型的なユーザーを体現する仮想的な人物像で、あたかも実存する一人のユーザーのような形に仕立てたもの)をしなさいと言われるものです。
ペルソナ設定について、個人的に考えてきたことを話そうと思います。
※因みに僕は、所謂ペルソナを設定することは、ほとんどありません。
1.ペルソナってなんで設定するんだっけ?
ペルソナを設定する理由は、簡単にいうと設定した方が、メッセージが心に刺さるからです。
例えば、あなたが転職活動をしていたとします。
未経験だがWEBマーケターになりたくて、年収も600万円以上希望、勤務地は福岡県希望だとします。
この二つの広告が並んであった場合、あなたはどちらをクリックするだろうか?
間違いなく広告Bを選ぶはずです。
要は、自分の置かれている状況に近しいメッセージにより反応するし、メッセージが刺さるのです。
ある特定の一人に対して送ったメッセージの方が、ピンポイントで刺さり易いのです。
だから、自社の商品を購入する典型的な人物(デモグラフィック、サイコグラフィックな情報)を作り上げて、その架空の人物に刺さるメッセージはどんなだろうと考えるのです。
5才の子どもに刺さるメッセージと80才の大人に刺さるメッセージが異なることは想像に容易いと思います。
もう一つ、よく言われるのは認識の相違が生まれにくいということです。
複数人でマーケティング施策を決めていく際、”こういう人”に向けて施策をすると共通認識を持った方が、スムーズにプロジェクトが進みます。
2.ペルソナ設定のデメリット?
しかし、ペルソナを作ることによって、本来獲得できた顧客を大きく逃してしまっているケースがあります。
どういうことか?
例えば、あなたがドッグフードを販売していたとします。
そして、販売後、データを確認すると購入者層が40-50代の女性が多かったとします。
このペルソナを元に、広告などのメッセージやクリエイティブを考えていきます。
確かに、そのメッセージは、そのような条件の人には刺さるかもしれません。
しかし、問題が2点あります。
・1点目
ペルソナに似た層の方の購入者割合が、今後も増えていき、そのような人にしか売れないと錯覚してしまう。そして、今後もそのようなペルソナの人に向けたメッセージを打ち続けるという悪循環に陥る。
要は、特定の層に刺さる訴求の仕方をしていたが為に、そこに刺さった層の人が多く購入者層を占めているのであって、そこの層以外もその商品を欲する人はいる可能性が多分にあるということです。
・2点目
そもそも、あなたの商品はドッグフードである。つまり、大きく考えると、わんちゃんと暮らしている方ならターゲットになるはずである。45歳の専業主婦以外もわんちゃんと暮らしていることを忘れてしまっていて、自ら市場規模を小さくしてしまっているのです。
あなたの商品やサービスで解決できるものを欲している人は、本当にそのペルソナだけなのか?ここは十分考える必要があると思います。
訴求の種類(健康になる、低カロリー、安いなどなど)と方法(メッセージの伝え方)は多い方が、より多くの市場のパイを取れるのです。
あと、子どもが何人とか、好きなテレビ番組がどうとか、状況やサービスによっては、全く必要のない設定までしてしまっていませんでしょうか。
じゃあ、どうすればいいのでしょうか?
僕は、以下3.4を考えてメッセージや伝え方を決めています。
3.カスタマージャーニー
例えば、Aさんがダイエットサプリを購入したとします。
それまで下記のような経路を辿りました。
この購入までの経路をカスタマージャーニーとします。
しかし、Bさんは下記のような経路で同じダイエットサプリを購入しました。
どうだろうか?AさんとBさんでは、購入までの経路や思考は全然異なる。
これを、一つのペルソナに合わせて、メッセージを作ったとして両者に刺さるだろうか?
まず言いたいのは、人がどのようなタイミングで、どのような理由で商品を欲しいと思うのかは多種多様だということです。
それを前提にメッセージを作ります。
4.カスタマージャーニーや媒体特性に合わせたメッセージを
まず、大きく購入者のターゲットは絞ります。
ダイエットサプリなら、「痩せたい人、体重をキープしたい人」など。
これは、例えば「太りたい人」が多く集まる場所に、広告やタッチポイントを持っても、売れないので、コミュニケーションチャネルから排除する為です。
そこから、コミュニケーションチャネル(媒体)を決定します。
Googleのリスティング広告、Facebookの広告、TV CM 、雑誌媒体、OOH広告、飲食店、、、、、
次に、それぞれどのような特性の人が、どのようなカスタマージャーニーを辿るか考えます。
Googleのリスティング広告なら、何と検索しているのか?検索したのは、どういう心情や行動の後に、検索したのか?何を求めているのか?
雑誌媒体なら、どのような人が、どうしてその雑誌を読んでいるのか?何を求めているのか?
ペルソナではなく、そういう状況や媒体特性から、メッセージや訴求を考えていきます。ペルソナ起点で考えていくより、本来購入してくれる人を取りこぼすことが少ないと考えています。
まとめ
ペルソナ起点でコミュニケーションチャネルやメッセージを考えると、購入者ターゲットを下手に狭めてしまうので、下記の手順で訴求、メッセージ、伝え方を決めていきます。
上記を元に、メッセージ、訴求、伝え方を決めていきます。
要は、ペルソナはなくても、刺さるメッセージは作れるということです。
因みに
ペルソナを作るときは、どんな時?
よほどニッチな市場だったり、ターゲットだけでもいいという場合は、ペルソナ作って、それ起点でコミュニケーションチャネルを選び、メッセージを決めた方が、効率はいいと思います。
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