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高齢者の運動機能×大腿四頭筋
大腿四頭筋
リハビリの場面で、患者さんに「膝を伸ばしてください」と、誰もが一度は声をかけたことがあるのではないでしょうか。
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下肢筋力の中でも最もメジャーな筋群ですよね。
リハビリ対象者に限らず、学生や運動される方、全般においても馴染みの深い筋肉かと思います。
また、視覚的にみても膝の前面に付着し、誰もが認知しやすい箇所ですよね。
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動きとしては先ほども述べましたが、「膝を伸ばす」という単純な動きでありながら、下肢の抗重力筋群の一角で、大きな役割を果たしています。
高齢者の筋力トレーニングや自主練習では導入もしやすく、レッグエクステンションは汎用性の高いエクササイズの一つかと思います。
さて、高齢者になっていくに連れて「大腿四頭筋」がどう変化していくか、少し見てみましょう。
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筋力
筋力は20~30代でピークを迎え、65歳ではピーク時に比べ上肢筋で約20%、下肢筋で約30%低下するといわれています。
膝伸展筋力は、握力よりも早期から加齢変化が認められ、膝伸展筋力の低下は日常生活活動能力と関連する重要な運動機能の要素である。¹⁾特に膝伸展筋となる大腿四頭筋や股伸展筋となる殿筋群など、抗重力筋の低下が著しいとされている²⁾³⁾
筋組織変化
高齢者の骨格筋は若年者より筋断面積が減少し、筋実質組織(収縮組織)の減少と脂肪や結合組織(非収縮性組織)の増加を認める。⁴⁾
筋収縮力は筋断面積に相関することが多いため、抗重力筋である大腿四頭筋においても機能低下を起こし、思うように力が発揮できないことがわかりますね。
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転倒と日常生活
研究によると、大腿四頭筋の筋力低下により、特に 80 歳以上の高齢者では、基本動作や日常生活動作での介助依存度が高まり、転倒のリスクが高くなるようです。歩行、階段昇降などへの困難が生じやすくなる。同様に、車椅子やベッドから立ち上がることが困難になり、介助や移動補助具の使用が必要になる可能性がある。⁶⁾
さらに、転倒は重傷や死亡率の上昇につながる可能性があり、特に80歳以上の高齢者では転倒による死亡リスクが若年者に比べて1.48倍も高くなる。⁵⁾と報告もあがっています。
要点
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最後に
高齢者医療に携わると経験したこともあるかもしれませんが、転倒自体が直接的な死因に関係せずとも、転倒によって臥床を余儀なくされることで全身状態が落ち、一気に弱っていくケースも少なくないかと思います。
高齢者の転倒は二次的障害へのリスクも増加しやすいため大腿四頭筋(膝伸展機能)の維持が重要であると言えます。
利用者さんで元気に過ごせていた方も、一度の転倒で状態が悪化し、介護度が上がり、以前のような生活動作が行えなくなってしまうケースが少なくありません。活動範囲も狭め意欲低下をさせてしまう利用者さんも見てきました。
今回は加齢変性による大腿四頭筋の特徴をまとめてみました。これらのことを踏まえた上で今後の臨床に生かせればと思います。
文献
1)市橋則明 編(2010) 高齢者の機能障害に対する運動療法 P6
2) Frontera WR, Hughes VA, Lutz KJ, Evans WJ: A cross-sectional study of muscle strength and mass in 45-to 78-year-old men and women. J Appl Physiol, 1991;
71: 644-650
3) Lynch NA, Metter EJ, Lindle RS, et al: Muscle quality.I. Age-associated differences between arm and leg muscle groups. J Appl Physiol, 1999; 86: 188-194
4)斎藤秀之ほか編(2014)極める変形性膝関節症の理学療法 P16
5)Shigeyuki Muraki,et al:Quadriceps muscle strength, radiographic knee osteoarthritis and knee pain: the ROAD study
6)Brittney A. Luc-Harkey,et al:Associations among knee muscle strength, structural damage, and pain and mobility in individuals with osteoarthritis and symptomatic meniscal tear
閲覧いただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
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