『さくらのこと』3節 陣営
3節 陣営
そんなことをいくつか考えていたら
陣営に到着した。
チャイムを鳴らす。名乗る。待つ。開く。入る。
この作業のみで私は吐きそうである。
吐いた所で何にもならないから吐かないが。
陣営側に私の担当さんがいたことを
思い出した。
そういえば
引継ぎメールの際に宛名に入れようとするが
苗字の読み方が分からない。
ネットの読み方検索を学生ぶりに使用した。
「担当のさくらです。よろしくね。ここに座って会議聞いてね」
そんなことを言っていた気がする。
人見知りレベル100で伝説ポ〇モンなみの
私の人見知り度では誰の顔も覚えていない。
さくらさん。優しそうな声だな。
そんなことしか思っていないまま。
会議内容を「新入生」手帳に記入したフリをした。