『さくらのこと』9節 一目ぼれ
9節 一目ぼれ
自分の職場に来て数日が経った頃、
雪虫さんが入ってきた。
初めて顔と雰囲気を見た。そして笑顔。
一目ぼれだった。
生まれて初めて、人をかっこいいと思った。
しかも、私が好きなよく見たらお洒落な人だった。
ネクタイやスーツ、バックすべてが好き。
私は咄嗟に目をそらした。
これ以上見てしまったら、
仕事ができるか不安になってしまうから。
そもそも、
こんなかっこいい男性が
独身なはずがない。
傷つくのは御免だ。
でも、本当に美しい笑顔を持つ
人だった。儚く、まばゆいような蛍のような光だった。