「詩ふたつ」を読んだ感想。
この本を読んで、私は詩の力に改めて驚かされました。普段詩に触れる機会が少なく、どうしてもその深さに対して自信を持てなかった私ですが、この詩は驚くほど心にしっくりと馴染みました。
何より、詩の内容が生と死、愛と別れという普遍的なテーマに触れながらも、決して暗くならず、温かく包み込むようなメッセージが込められているところが素晴らしかったです。
詩の中では「死」や「終わり」という言葉が使われているにもかかわらず、それがただ悲しみや絶望ではなく、むしろ「愛する人たちが自分の心の中で生き続ける」といった前向きで温かな意味を持っていることに驚きました。
死後の世界を悲観的に捉えず、むしろ「静かな沈黙」にも意味を見出す視点が、非常に心に残りました。
さらに、詩に挿入されているクリムトの絵が詩のテーマと見事に調和しており、絵画の生命力と詩の静かな美しさが相乗効果を生んでいると感じました。
特に、風景画に描かれた木々や花々の点描が、詩の中で表現された生命の息吹や、死後も続く愛の存在を思わせ、心を温かくしてくれました。
この本には、死別を経験した方々に対する癒しの力が秘められていると思います。
実際に私も、親しい知人にこの本を贈ったことがあり、その方々がその詩に慰められていたと知った時、心から嬉しく思いました。
詩が持つ癒しの力、そして言葉の力の深さを感じた一冊でした。
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