私がフリーターとして小説家を目指す理由

フリーターとして生活しながら小説を書いている私。多くの人にとって、これがどれだけ普通ではない選択肢かはわかっています。それでも私は、この生活を選びました。なぜなら、フリーターという立場が、私にとっては自分のペースで創作に集中できる最高の環境だからです。

まず、私が大学を休学し、フリーターとして働いている理由について。大学に通いながらも、どうしても「これが本当に自分のやりたいことなのか？」という疑問を抱えていました。そこで一旦立ち止まり、自分の好きなこと、やりたいことを追求しようと思ったのです。それが、小説を書くことでした。書くことが自分の心の奥深くにある情熱だと感じたのです。

とはいえ、小説家として生活できるまでの道のりは遠い。その間、生活費を稼ぐためにバイトは欠かせません。そこで私はフリーターとして働くことを選びました。バイトは、確かに体力を消耗しますが、時間の融通が利きやすい点が、私にはぴったりでした。自分のスケジュールをある程度自由に組み立てることができるので、執筆時間を確保しやすいのです。

創作活動に取り組むためには、日々の出来事や、ふとした瞬間からインスピレーションを得ることが大切です。バイト中にお客様や同僚との何気ない会話が、新しい物語やキャラクターを生み出すきっかけになることもあります。接客業をしていると、さまざまな人との交流が生まれます。その中で、キャラクターのモデルとなるような人々に出会うことも多いのです。何気ない言葉や表情が、物語の一部になる瞬間がたくさんあります。

私がバイト中に気をつけているのは、その「何気ない瞬間」を見逃さないことです。常に小さなメモ帳を持ち歩き、何かを感じた瞬間にすぐ書き留めるようにしています。後で見返すと、それが物語の種になっていることに気づくことが多いのです。

また、創作に向かう時間は私にとって大切な「自分時間」です。バイトが終わって家に帰り、ノートを開いて書き始めると、頭の中に散らばっていたアイデアが次第に形になっていきます。静かな夜の時間は、特に集中できる時間帯です。部屋の中で、パソコンに向かい、頭の中に浮かぶ世界を言葉に変えていく瞬間が、私にとって何よりも楽しい時間です。

日々のバイトが忙しくて、体力的に限界を感じることもあります。それでも、少しでも書き続けることで、自分が前進しているという実感が得られます。創作は、一度に大きな進展があるわけではなく、コツコツと積み重ねる作業です。それでも、毎日少しずつ書くことで、やがて作品が形を成していくのです。

私にとって、小説を書くことは、ただの趣味や仕事ではありません。自分の考えや感情を整理し、外に表現する手段なのです。物語を通じて、自分自身を見つめ直し、誰かに共感してもらえたら、それだけで十分です。それが小説を書く喜びであり、私がフリーターとしての生活を選びながら創作活動を続けている理由でもあります。