農地いらずで始められる!アクアポニックスで自宅をサラダバーに
兵庫県西宮市でアクアポニックスに取り組んでいる「もり」と申します。
植木屋として5年、アクアリウム歴10年の経験を活かし、持続可能な農業の形として高齢な祖母の農地でアクアポニックスに挑戦しています。
アクアポニックスを選んだ理由は過去記事▶【非農家出身の私が祖母の農地をアクアポニックスで再生する|もり / アクアポニックス】◀をご覧ください。
「アクアポニックスに興味があるけど、農地がないから無理かな」と思っている人もいるかもしれません。でも実は、アクアポニックスは農地がなくてもいろんな場所で始められる、とても柔軟な農業の方法xです。ベランダや庭、室内、屋上、倉庫など、どんな場所でも実施できるので、未来の農業の新しい選択肢として注目されています。
都市で暮らしていると、広い農地を手に入れるのは難しいかもしれませんが、アクアポニックスならその制約を乗り越えられます。このシステムは、水を使って魚と植物を一緒に育てるので、土が必要ありません。そのため、限られたスペースでも始めることができます。設置場所の選択肢が多いので、農業を諦めていた人でも簡単にチャレンジできるのです。
アクアポニックスシステムはとてもスケーラブルで、小さいスペースで家庭菜園として楽しむことも、大規模にして商業的な食糧生産をすることもできます。この特性のおかげで、初心者でも気軽に始められ、経験を積んで規模を大きくしていくことも可能です。
また、アクアポニックスは環境にも優しいシステムです。水を循環して再利用するため、水の無駄遣いを防ぎ、少ない水で効率よく作物を育てることができます。水資源が限られている地域でも、このシステムは非常に有効で、持続可能な食料生産に貢献します。
この記事では、アクアポニックスがどこでも始められる理由や、その設置場所やシステムの大きさについて詳しく説明します。アクアポニックスの柔軟な特性を知り、あなたの生活にどう取り入れられるか考えてみてください。
アクアポニックスに必要なモノ、コト、場所
アクアポニックスは農地がないとできないと思われがちですが、実際にはいろんな場所で始めることができます。ここでは、アクアポニックスをするために必要な「モノ」「コト」「場所」を紹介します。
アクアポニックスに必要なもの
アクアポニックスを始めるには、いくつかの基本的な設備が必要です。
魚の水槽:魚を育てるためのタンクが必要です。水槽のサイズは、システムの規模に合わせて選びます。小さな水槽でも家庭用のシステムとして十分ですが、大きな水槽にすれば商業的な規模での生産も可能です。
栽培ベッド:植物を育てるためのベッドです。植物の根がしっかり育つ場所を提供します。栽培ベッドはサイズを自由に決めることができ、育てる植物の種類に合わせて調整が可能です。
ポンプ:水を循環させるためのポンプです。魚の排泄物を植物の栄養として利用するために使います。ポンプがないと水の循環がうまくいかないため、システム全体の安定性に関わる重要な要素です。
アクアポニックスに必要なこと
アクアポニックスを成功させるには、適切な管理が必要です。
水質管理:魚と植物が健康に育つには、水質をしっかり管理することが必要です。水のpHや栄養バランスを保つことが大事です。水質管理はアクアポニックスの成功の鍵であり、定期的に水のテストを行うことが推奨されます。これにより、魚と植物の両方が最適な環境で育つことができ、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
魚と植物の世話:魚に餌をあげたり、植物の手入れをしたりする日々の管理が必要です。魚の健康状態を確認し、植物に必要な栄養が足りているかをチェックするなど、適切なケアが求められます。アクアポニックスの魅力は、このケアがルーチン化しやすく、日々の世話を楽しみながら農業を実践できる点にあります。
アクアポニックスに適した場所
アクアポニックスを設置するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
水平な場所:設置場所は平らである必要があります。水が安定して循環するため、傾斜のない場所が理想です。水平であれば、どんなスペースでもアクアポニックスを始めることができます。これにより、室内のカウンターや庭の一角など、あらゆる場所での設置が可能です。
水源:水を循環させるために安定した水源が必要です。雨水や水道水を使うことが一般的です。雨水を利用することで、さらにエコフレンドリーな運用が可能になります。水源が確保できることで、持続的な農業活動が実現します。
電源:ポンプや照明には電力が必要です。電源を確保することで、システムを安定して運用できます。停電対策としてバッテリーやソーラーパネルの導入を検討することも良いアイデアです。これにより、万が一のトラブル時にも安定した運用が可能です。
光:植物の成長には光が必要です。太陽光が当たる場所が良いですが、人工照明でも対応できます。特に室内で運用する場合、光の強さや時間をコントロールすることで植物の成長を最適化できます。光を適切に調整することで、植物の品質を高めることが可能です。
アクアポニックスが場所を問わない理由
アクアポニックスは、農地がなくてもいろんな場所に設置できます。その理由として、次のような特徴があります。
水平な場所があればOK:アクアポニックスは土を使わず、水を使って植物を育てます。そのため、土壌の状態を気にする必要がなく、平らな場所であればどこでも設置できます。これにより、都市部の小さなベランダや屋内のカウンターでもアクアポニックスが可能になります。水平で安定した場所であれば、どんなに狭いスペースでも、しっかりとした成果を上げることができます。
電源と水があればOK:水を循環させるためのポンプやフィルターが必要ですが、電源と水さえあれば運用できます。これにより、農地だけでなく、倉庫や室内、屋上、ベランダなどでも簡単に始められます。これらの要件が満たされていれば、どんな場所でもアクアポニックスを実現できるのです。特に都市部の住宅では、限られたスペースでも野菜を育てる楽しみを味わえるのが魅力です。
光の条件も自由に調整可能:太陽光が使える場所なら植物を育てることができますが、室内でも人工照明で光を提供できます。環境に左右されずに光をコントロールできるのがアクアポニックスの強みです。光の強さや時間を調整することで、植物の成長を最適化することができます。室内での栽培でも、必要な光量をしっかりと確保することで、屋外と変わらない生育環境を提供できます。
土が不要:アクアポニックスは水耕栽培と同じで、土を使わずに植物を育てます。土壌の準備や管理が必要ないので、どこでも始められるという利点があります。土が不要なため、土壌病害や害虫のリスクも低減され、植物が健康に育つ環境を提供します。これにより、より少ない手間で高品質な収穫が期待できます。
アクアポニックスは、農地がなくても平らな場所と水源、電源、光さえあればどこでも始めることができます。土が不要で管理も比較的簡単なため、都市部の住宅や倉庫、屋内などでも実施可能です。これにより、場所にとらわれず、持続可能な農業を多様な環境で行うことが可能になります。
具体的な設置場所の例
アクアポニックスは、以下のような場所で設置・運用することが可能です。
ベランダ:アパートやマンションに住んでいる人でも、ベランダを活用すれば家庭菜園感覚でアクアポニックスを楽しむことができます。小さな水槽や栽培ベッドを設置することで、新鮮なハーブや野菜を育てることが可能です。
庭:自宅に庭がある場合、庭の一角を利用してシステムを設置することで、より大きな規模でアクアポニックスを楽しむことができます。日光を自然に利用しやすいため、成長に最適な環境を作りやすいです。
屋上:ビルや住宅の屋上もアクアポニックスの設置に適しています。屋上なら日光が十分に当たり、広めのスペースを活用して大規模に運用することも可能です。
室内:部屋の一角や温室を利用して、アクアポニックスを設置することができます。特に人工照明を使えば、光の条件をコントロールできるため、室内でも効果的に植物を育てられます。
倉庫やガレージ:使っていない倉庫やガレージなども、アクアポニックスの設置に活用できます。人工的に光と温度を管理することで、外部環境に左右されない安定した農業が可能になります。
どの場所で設置するにしても、必要な条件さえ満たせば、アクアポニックスを運用することは可能です。たとえば、ベランダであれば限られたスペースを活かし、家族のために新鮮なハーブを栽培することができます。庭や屋上であれば、より広い規模で家庭菜園や食料生産を楽しむことも可能です。自宅を小さなサラダバーに変えるような感覚で、身近な場所で新鮮な野菜やハーブを収穫することができるのは、アクアポニックスならではの魅力です。
まとめ
アクアポニックスを始めるために必要な「モノ」「コト」「場所」は、一見複雑に感じられるかもしれませんが、それぞれの要素をきちんと揃えることで誰でも簡単に始めることができます。水槽や栽培ベッドなどの設備は、規模や目的に応じて選ぶことができるので、自分に合ったスタイルで始められます。また、水質管理や日々の世話といった作業も、慣れれば楽しみながら続けられるものです。アクアポニックスはその柔軟性から、初心者でも簡単に取り組める農業方法であり、規模を問わずに運用できるのが最大の魅力です。必要な条件さえ満たせば、限られたスペースでも効率よく農作物を育てることができ、持続可能な農業を手軽に実現することができます。
都市部の住宅やマンションのベランダであっても、アクアポニックスを利用すれば、簡単に新鮮な野菜やハーブを育てることができます。ベランダ菜園としてアクアポニックスを取り入れることで、家庭での食生活がより豊かになり、食べ物の安全性を自ら確保できるというメリットもあります。さらに、観賞用としても楽しめるため、日常生活に癒しの要素をもたらすことができます。
将来的には、アクアポニックスが都市部でのコミュニティや学校の教育プログラムの一環として普及し、地域社会における環境教育や持続可能な農業の意識向上にも貢献することが期待されます。これにより、子供たちが自然と触れ合い、食べ物がどのように育つかを学ぶ機会が増え、将来の環境保護活動への理解と関心を高めることができます。
このように、アクアポニックスはその柔軟性と効率性から、家庭から商業規模まで幅広く利用でき、場所を問わない持続可能な農業の選択肢として、今後ますます注目されていくことでしょう。
著者紹介
もり
兵庫県西宮市在住。
植木屋として5年、アクアリウム歴10年の経験を活かし、2021年から義理の祖母が大切にしてきた農地でアクアポニックスに取り組んでいます。
高齢化が進む地域で、祖母の農地も休耕地になる可能性があり、なんとか活用できないかと考えた結果、アクアポニックスを取り入れることに。
持続可能な運用を目指し、日々試行錯誤を続けています。
≪SNS総フォロワー1万人以上≫
インスタグラムを中心にアクアポニックスや農業の魅力を発信中です。
≪農場見学について≫
関西を中心に、全国から法人・個人問わず多くの方が訪れる農場です。
見学では、アクアポニックスの基本や日々の管理のポイントを初心者にもわかりやすくお伝えしています。
訪問者の中には、同じように休耕地の活用方法を探している方も多く、私の取り組みが参考になればと願っています。
≪応援をお考えの方へ≫
アクアポニックスの取り組みを通じて、祖母の農地の活用と地域の農業活性化を目指しています。活動に関心を持っていただける方や応援をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
≪メディア実績≫
ラジオ関西「羽川英樹 ハッスル!」
Mer編集部「Mer Vol.36」 その他
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