見出し画像

海外旅行、そんなにビクビクしなさんな。

フランスはパリに、もうすぐ1か月滞在していることになる。

メトロの1番に乗っていたときに、男の人から話しかけられた。この電車はオペラには行きますか? と聞いているみたい。ウイウイと言ったらメルシーと言われた。

パリ滞在残すところあと2日となった夕方、ついに私も道を聞かれるようになったか、と感慨深い。いや、たまたまわかっただけなんだけど。

旅の途中からスマホのSIMのWi-Fiが使えなくなり、原因を調べたら結局、使える容量を使いきっちゃっただけだった(しいちゃん!!!)。で、元のSIMに戻して、すんごく遅いWi-Fi速度でなんとかしのいでいる。でも遅すぎて、ほとんど使い物にならないので、もう頼らない、ということにしているのだが、時々とても困る。

私はパリで絶対買いたいものはほとんどないのだけど、紅茶だけは素敵なのを買いたいなと思っていた。できたら日本で手に入りにくいのがいいな~、と下調べしていたら、マドレーヌ寺院の近くの紅茶屋さんがヒットした。

あらかじめ地図でちゃんと位置を確認しておけばよかったんだけど、してなくて、グーグルマップに聞いても、ぐーるぐる。
近くには有名な紅茶店のフォション、マリアージュフレールがある。競合他社は近くにあるもの。ということは、この近くで間違いないとは思う。

すると、マリアージュフレールの大きい紙袋をぶら下げた日本人マダム2人が前方から歩いてきた。これは同じ日本人のよしみ、聞くしかない! と思い「すみません、日本の方ですか? 実は紅茶屋さんを探しているんですが、スマホのWi-Fiが遅くて・・・」とマダムのスマホで調べさせてもらえないか、お伺いをたてた。

ところが私が話しかけるやいなや、ひとりのマダム(私から遠い方)がもうひとりのマダム(私に近い方)をかばうように腕を広げて、いや私たちスマホはよくわらかないから・・マリアージュフレールのことじゃないの? だったらあそこよ、などと煙に巻くようなことを言いつのるのである。
いや、マリアージュフレール(みたいな日本にもある店)ではなくて、名前がBから始まるんですけど、と返すも「だったらマリアージュフレールに聞いてみたら? 同業者だからわかるんじゃない?」と言ってのける。この間、しゃべっていたのは私と私から遠い方のマダムだけ。

なんか知らんが、あやしまれた! と思った。
わかるよ。そりゃさ、フランス来る前、さんざん私もおどされてきたよ、スリに注意しろとか、ケチャップかけてくる輩がいるとか。だけど、いや、丸腰なんですけど、私!!!

知らない人にスマホを借りるというのは、パリでは普通に行われることだと何人かのホストが言っていた。そのうちひとりのホストは、私たちが来る前日にスマホをなくしてしまい(もしかしたら盗られたかもって)、次の日、一緒に移動中、メトロで知らない人にスマホを借りていた。ちなみに誰でも貸してくれるわけではもちろんなく、一人目の女性は断っていたが、二人目は快く貸してくれていた。

ジャパニーズマダムズに不審者だと思われたあと、私は道を聞くターゲットを絞った。目指すは「犬を連れた奥さん」である。パリはいつでもオーバーツーリズムなので、話しかけたら観光客ということもよくある。そこで、ご近所に住んでいる人なら土地勘があるだろう、そしてご近所に住んでいる人は犬を散歩させている人だろう、紅茶についてはマダムだろう、と踏んでのターゲット設定である。

果たして犬を連れた奥さん登場。まず、いきなり英語で話しかけるのではなくヴーパーレアングレ? と英語を話せますか? と慇懃に聞くことがポイント。
これはDuolingoというアプリで覚えたフレーズだが、はっきり言って、今や私はDuolingoはただのクイズアプリだと思っている。やっぱり文法は大事だなーと思って、最近毎日のルーティンからDuolingoは削除したんだけど、このときは役に立った。や、これは余談でした。

そして奥様は、アリトルビットと答えながら、私がその店の名前を見せると、わかるわー、こっちよー! ついてきてー! と満面の笑顔で私たちを導いてくれるではないか。いい人ぉーーー!
どこから来たの? 日本? 私も35年前に行ったわ、シンジュク! アオヤマ! と短い距離を楽しく話をして、良い旅を―! と別れた。

果たしてお目当ての紅茶屋に行けた帰りのメトロの中、冒頭の話に戻る、というわけ。

枯れ葉よ、、、

今日は朝は霧でその後はずっと曇り、更年期の私にはそれほどでもないが、けっこう肌寒い一日だったようだ。路上には枯れ葉。先の日曜日でサマータイムは終わり、季節は確実に進んでいる。

1か月たって今やまるでパリに住んでいるような気がしてきたが(錯覚)、メリーポピンズでいう「扉が開く」時間が迫ってきたのであります。

時計もとける。(ダリ・ミュージアムにて)

いいなと思ったら応援しよう!

石渡紀美(イシワタキミ)
楽しいことをしていきます。ご一緒できたら、ほんとにうれしいです!