パリで迷子、ガチ編。
この旅でいちばんやばいことが起きた。
(サムネイルはどこかの国のトイレ用洗剤と同じ名前のメトロの駅)
この旅行記ではさんざんフランスはでかいと書いてきたけど、そのでかさ、そして重さを思い知らされたことの一例として、メトロのドアに挟まれた。周りの人に助けられなかったら、どうなっていたことか。
ドアは私を挟んだだけでなく、私としいちゃんを分け隔てた。つまり、私は電車、しいちゃんはホーム。しいちゃんを置いてきてしまったのだー!
まわりの人は挟まれた私を助けるために、一度ドアを開けてくれはしたのだが、ホーム側のセーフティドアまでは開けられなかった。しいちゃんの口が「つぎのえきでね」と言っていた気がした。
私は次の駅で次の電車に乗ってくるであろうしいちゃんを待った。しかし、しいちゃんは乗っていなかった。私は青くなった。もしかして駅で待っているかもしれない。
そこで私はさっきの駅に引き返した。しかし、しいちゃんはいなかった。マジかよ、やばい・・・・・・!
しん(夫)に、ノイ(息子)に、なんていわれるか、、、、いや、そっちじゃないだろ!!!
これからヴェルサイユ宮殿に行くのに予約時間に間に合わないのでは、、、はっ、いやそれどころじゃないだろ、ほんとに!!!!!
スマホもメモも持っていないしいちゃんをパリで迷子にさせてしまった~!!!!!!!
最後に見た、ホームに残されたしいちゃんは泣いていた。泣きながらも気丈に「つぎのえきでね」と言っていた。
私は必死に冷静に考えた。この時ほど瞑想していてよかったと思ったことはない。
しいちゃんが元いたホームにいないということは、次の可能性が考えられる。
1.悪者に連れ去られた
2.親切な人に保護された
パリの人は冷たいようで、他人のことをほっておかない人たちだと思う。ならば、公衆の面前で外国人の子どもが悪者に連れ去られるのをみすみす見過ごすとはあまり思えない。
むしろ逆に親切な人(たち)によって保護される方が可能性としては大きいのではないか。
私は、しいちゃんが置き去りにされた駅で、駅に設置されている「困ったときにはこのボタンを押してね」機械のボタンを押した。女の人が出て、私は言った。「娘が迷子になりました」するとなにもかも合点が言ったと言わんばかりに彼女は「どこにいますか? そこを動かないで!」と言って、私はその通りにした。
やがてさっきの声とは別の男の人が現れて、私を駅の事務室に連れて行った。そこでめでたくしいちゃんと再会。
あとでわかったのだが、しいちゃんは「つぎのえきでね」なんて言ってなかったらしい。「バイバイ」と言っていたという。そして以前、私が「はぐれたときはそこから動かないで。私が迎えに行くから」と言ったことを覚えていて、その通りにしようとしたらしい。だが、ホームにいた人たちは泣いているアジアの女の子を放置しておくほど非情ではなかった、ということ。
(ちなみに私は自分が言ったことを忘れていた。)
駅の事務所でしいちゃんは、日の丸の絵を描いて自分が日本人であることを伝えた。それで駅員たちは通訳アプリを使ってコミュニケーションを取ってくれたという。そして再会したときはもう泣いていなかった。