映画をレーベルで選ぶ [スターサンズ編]
こんにちは。
長澤まさみ主演の映画『MOTHER マザー』が絶賛公開中ですが、世間でも話題の"毒親"を扱った社会問題をテーマにした問題作です。
その他、今年の日本アカデミー賞を受賞した『新聞記者』など、社会派の話題作を立て続けに輩出しているのが、スターサンズという配給会社です。
今回は、この注目の配給会社スターサンズを紹介してみたいと思います!
▼主な作品ラインナップ
ここ最近は、精力的に日本映画の製作に力を入れていて話題作も多いので、そこを中心に紹介していきたいと思います。
『MOTHER マザー』
2020年
監督:大森立嗣
出演:長澤まさみ、阿部サダヲ、奥平大兼、夏帆、ほか
スターサンズ最新作。
長澤まさみは、『キングダム』や『コンフィデンスマン JP』とはまたがらりと違って、自堕落に生きる毒親を好演しています。
ダメな母親でも依存するしかない健気な子供達が胸を打ちます。
『新聞記者』
2019年
原案:「新聞記者」望月衣塑子
監督:藤井道人
出演:シム・ウンギョン、松坂桃李、本田翼、岡山天音、ほか
現政権を思いっきり批判的に描いた意欲作。 森友学園やそれに伴って末端官僚が自殺に追い込まれた要素などをふんだんに使ったサスペンス。
不正を暴こうとする新聞記者を演じたのは、韓国女優のシム・ウンギョン。当初は日本人女優がこの役を拒否したという噂もありましたが、見事に日本アカデミー賞最優秀女優賞に輝きました。
『宮本から君へ』
2019年
原作:「宮本から君へ」新井英樹
監督:真利子哲也
出演:池松壮亮、蒼井優、井浦新、ほか
熱すぎる男・宮本のまっすぐで不器用で痛々しいまで純愛を描いたドラマ。
主演の池松壮亮の凄まじさを見て共演のピエール瀧は「これが噂の池松壮亮か!」と圧倒されたんだとか。蒼井優も鬼気迫っていてすごいです。
『愛しのアイリーン』
2018年
原作:「愛しのアイリーン」新井英樹
監督:吉田恵輔
出演:安田顕、ナッツ・シトイ、河井青葉、ほか
こちらも新井英樹のマンガ原作。
農村の高齢化、嫁不足、外国人妻などの社会問題などを背景に、変人ばかりの登場人物が、本音をむき出してぶつかり合う。キレイとは真逆の泥仕合いを繰り広げながら見せるのは「愛」だった。
『あゝ、荒野』
2017年
原作:「あゝ、荒野」寺山修司
監督:岸善幸
出演:菅田将暉、ヤン・イクチュン、木下あかり、モロ師岡、ほか
『息もできない』のヤン・イクチュンを迎え、菅田将暉主演の青春ドラマ。
この映画、なんと2部作で合わせて5時間越えという大作で、1部の2週間後に2部が公開と立て続けに発表されていました。
ボクシングシーンにこだわり、半年かけて体づくりをしたんだとか。
その他、主な外国映画配給作品
『ニューヨーク、眺めのいい部屋売ります』
2016年
監督:リチャード・ロンクレイン
出演:モーガン・フリーマン、ダイアン・キートン、ほか
老父婦が自宅を売るまでのすったもんだを描くヒューマンドラマ。
ニューヨークの住宅事情とかも分かって面白い。そしてダイアン・キートンはどの映画でもいつもオシャレ!
『ある過去の行方』
2014年/フランス、イタリア
監督:アスガー・ファルハディ
出演:ベレニス・ベジョ、タハール・ラヒム、ほか
個人的にも大好きなイランの名匠アスガー・ファルハディ監督作品。『セールスマン』もそうだけどファルハディ作品を配給してくれるのは嬉しい。
サスペンスの名手で、社会問題を背景に盛り込んだストーリーテリングが絶品!
『息もできない』
2010年/韓国
監督:ヤン・イクチュン
出演:ヤン・イクチュン、キム・コッピ、イ・ファン、ほか
もう本当に息もできないくらい苦しくて切なくなる。行き場のない二人の悲しき心の交流を描いた名作です。
監督と主演のヤン・イクチュンは、この円で『あゝ、荒野』に出演することになりました。
◎ラインナップ一覧
▼2020年
『MOTHER マザー』
▼2019年
『i ~新聞記者 ドキュメント~』
『宮本から君へ』
『新聞記者』
▼2018年
『愛しのアイリーン』
▼2017年
『あゝ、荒野』前後篇
『海辺の生と死』
『セールスマン』
▼2016年
『グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状』
『二重生活』
『ニューヨーク、眺めのいい部屋売ります』
▼2015年
『奇跡のひと マリーとマルグリット』
▼2014年
『うまれる ずっと、いっしょ。』
『TATSUMI マンガに革命を起こした男』
『アンナプルナ南壁7,400mの男たち』
『クィーン・オブ・ベルサイユ大富豪の華麗なる転落』
『ある過去の行方』
▼2013年
『ビル・カニンガム&ニューヨーク』
『塀の中のジュリアス・シーザー』
▼2012年
『ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!』
『みんなで一緒に暮らしたら』
『かぞくのくに』
『きっと ここが帰る場所』
『ムサン日記〜白い犬』
『世界最古の洞窟壁画3D 忘れられた夢の記憶』
『ピラミッド 5000年の嘘』
『51(ウーイー)世界で一番小さく生まれたパンダ』
▼2011年
『エル・ブリ 世界一予約の取れないレストラン』
『サルトルとボーヴォワール 哲学と愛』
『いのちの子ども』
『愛しきソナタ』
『YOYOCHU sexと代々木忠の世界』
▼2010年
『老人と海 ディレクターズ・カット版』
『アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち』
『マイケル・ジャクソン キング・オブ・ポップの素顔』
『息もできない』
▼2009年
『牛の鈴音』
『ラ・ボエーム』
◎参考
スターサンズの特徴
スターサンズは、外国映画の配給から、日本国内での映画製作まで手がけているミニシアター系の映画会社です。
作品の特徴としては、ハリウッド的な娯楽作とは違った社会的なメッセージが強めの作品を多く手がけています。
そういう作品って地味になりがちなんですが、製作をしている日本作でいうと主演にはしっかりメジャーなスター俳優を揃えていて、作品内容的にも結構エンタメしてるものが多く、地味な感じはしません。
『新聞記者』なんて実話ベースのかなり硬派な作品かと思いきや、普通にサスペンスとして面白いし、かなりフィクションが入った意外性と面白みのあるストーリーに脚色されていてエンタメ度が高いです。
メジャー作品で主演をはるスターを起用して、エンタメな展開をしつつも、テーマはかなり社会派な問題提起をする作品を手がけています。
だから真面目で堅苦しい映画よりもずっと観やすいんだと思います。
◎社会派な題材を扱うことが多い
◎洋画配給から邦画製作まで行う
◎邦画では小規模公開ながら若手スターを起用
◎アート作品っぽいがエンタメ度も割と高い
敏腕プロデューサー河村光庸氏
スターサンズの代表で、数々のスターサンズ作品を世に出してきた敏腕プロデューサーの河村光庸氏。
「トレインスポッティング」の原作本の販売や、ダーレン・アロノフスキーなど映画出資に参画、数々の成功を収め、その後スターサンズを設立したのだとか。
全文は読めませんが、インタビューで『新聞記者』への意気込みを語っています。製作過程でやはり同調圧力があったのだとか。
今後のスターサンズ作品
この先も楽しみなスターサンズ作品ですが、2作品の公開が発表されています!
『ヤクザと家族 The Family』
2021年
監督:藤井道人
出演:綾野剛、舘ひろし、ほか
なんと『新聞記者』の藤井道人監督によるヤクザ映画です!
主演は綾野剛、そして舘ひろし。
藤井監督は『デイアンドナイト』では、夜の稼業の世界をスタリッシュな映像で描いていたので、またかっこいいヤクザ映画を撮ってくれるはず。
1999年、2005年、2019年の3つの時代に渡る壮大なヒューマンストーリー。ヤクザという生き方と家族を守ることの間で揺れる男になりそう。
『空白』
2021年
監督:吉田恵輔
出演:古田新太、松坂桃李、ほか
こちらは『愛しのアイリーン』の吉田恵輔監督!
古田新太と松坂桃李です。
万引きを見つかった女子中学生が逃げて店を出た途端に道路で車にひかれて死んでしまう。彼女を信じる父親は店主らに責任を問う、そしてマスコミがそれ以上にエスカレートして…という感じらしい。
『ヒメアノ〜ル』や『犬猿』を撮ってきた吉田監督だから闇深く一癖も二癖もあるんだろうな〜って今から期待してしまう。
最後に
今後もますます期待大なスターサンズ。
『宮本から君へ』や『新聞記者』など気にいった作品があれば、ぜひ他作品も気にいると思います。
洋画も『ある過去の行方』や『ビル・カニンガム&ニューヨーク』など良作が多いです。
メジャー配給とはまた違ったメッセージ性ある作品を届けてくれているので今後もチェックしていきたいと思います。
最後までありがとうございます。