見出し画像

プルースト『失われた時を求めて』個人完訳した鈴木道彦さん死去

今週は谷川俊太郎さんへの
追悼や感謝、思い出に
すっかりかき消されてましたが、
今週、実はある重要な仕事を
成し遂げてくれたフランス文学の
研究者が息を引き取りました。

鈴木道彦さん。
日本で2人めの、
プルースト『失われた時を求めて』
個人完訳を成し遂げた人です。

鈴木道彦さんの訳した文章は、
読みやすいところが評価されました。
集英社から、単行本、そして
文庫にもなり、
プルーストの大長編が
手軽になりました。
それは日本では、
少なくともフランス文学好きの間では
大きな一歩でした。

さて、個人完訳の1人めは誰?というと
井上究一郎さんという方でした。
井上さんの訳は、 
プルーストの繊細な文章を
一切壊さないようにしつつ、
風格も訳文に再現しています。
だから、読みにくいと感じる人も
多かったようです。
私は初めて井上究一郎訳を見て
(読んで、ではありません、笑)
それが何冊も続くのか、と
気が遠くなった日を覚えています。

そんな土壌だったところに、
鈴木道彦さんの完訳は
大きな一歩だったんですね。
とはいえ、
プルーストの風格を再現していたのは
一番めの完訳者、井上究一郎さんの
功労でしょう。
どちらが正しいかは分かりません。

ちなみに、今は日本では
個人の完訳者はもう一人います。
今、プルーストの翻訳本として
岩波文庫の棚で並んでいる、
吉川一義さんです。

数年前、最後の14巻が出た時は、
新聞などで取り上げられてました。

ちなみに、今新たにプルーストの
『失われた時を求めて』完訳に
取り組んでいるのは、
光文社古典文庫で新訳を披露している
高遠弘美さんです。
今、第6巻まで来てるから、
ちょうど半分くらいでしょう。

井上究一郎さんの訳しかない頃、
私は1ぺージめで、
その美文すぎる繊細さにたじろぎ、
読めないと断念した記憶があります。

だから、鈴木道彦さんが
新しい完訳を出した時は、
視界から霧が消えるような、
嬉しい心地がしたのを覚えてます。

ただ、まだ文庫化される前の
ハードカバーでしたから、
1冊でも大金で、
私には買えないな、と諦めました。

さて。来月はボーナスの月。
今度のボーナスは、
岩波文庫の個人完訳
『失われた時を求めて』を
イッキ買いする予定です。
絶対に読破するぞ〜。  
デキるかなあ?(汗)

いいなと思ったら応援しよう!