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【企画の秘訣】敏腕編集者から聞いた企画の立て方

企画の立て方。
 
これは、20年前にきいた、
ベストセラーを何度も出していた
書籍編集者から聞いた秘訣です。

20年たっても、
今も忘れないのは、
余りに唸らされたから。

その先輩は、
あの池上彰さんがまだ
NHK局員だった頃から口説いて
書籍を書かせた敏腕編集者でした。

ああ、
企画の立て方の秘訣でしたね。
用意するのは、
2つの単語カード。
ただの真っ白な単語カード。

その一つには、
人名をアットランダムに書く。
1枚に1名、人物名を書く。

作家、 
タレント、
芸術家、
俳優、
学者、
歌手、
政治家、
翻訳家、
料理家、
占い人、
スポーツ選手、
などなど、
それも、できれば、
人名まできちんと書くのがいい。
こうして、いつか仕事したい人を
思いつくままに書きます。

2つめの単語カードには、
中身になりそうなテーマを書く。
人生論、
エッセイ、
小説、
家族について、
仕事について、
健康法について、
恋愛について、
読んできた本について、
生と死について、
食べることについて、 
ファッションについて、
お金について、
モテについて、
旅行について、
東京について、
歴史について、
こうしたテーマを
1枚にひとつずつ書いていく。

さて、企画の要素は揃いました。
それで目をつぶって、
一つめの単語カードから
1枚選びます。

そこに、例えば、
料理家・平野レミ、 
というカードが出てきました。

2つめの単語カードから
また1枚、アットランダムに
選びます。

2つめからは、
小説、というカードが出てきた、
とします。

これは、このままでは、おそらく
実現性は厳しいでしょう。

でも、平野レミは
プロフィールが 
とてもユニークな人だ。
レミのお父さんは作家だ。
フランス文学研究家で
「混血児救済活動」家だった。
まだハーフの子供は差別される時代に、
平野威馬雄は、差別反対活動を
先陣を切ってやっていたのです。
それから、平野レミさんの夫は、
先年に他界したイラストレーターの
和田誠さんです。

レミさんの目からみた
家族論というか、逸話で
夫やお父さんにまつわる
エッセイなんてどうだろう?

といった、引いたカードの
結果を記録していきます。

そのまま、
よっしゃ!これで動くゾ!
とはいかない内容ですが、
そうした組み合わせも、
一ヶ月、数ヶ月、半年、、、
頭の中で、ゴロゴロ
発酵させていきます。

すると、ある時、
あ、あの平野レミの企画、
こういう切り口にしたら行けるぞ、
という光が見えてくる時が!
いい組み合わせは
光が見えてくる場合があるものです。

それに、
自分で自力では
考えつかない組み合わせが
出てくるのが
この方式による立案のよい所。
普通、平野レミというと、
料理レシピとなりがちですからね。

ではまた、最初からやりましょう。
一つめの単語カードを引くと、
画家の横尾忠則と出ます。

で、2つめを引くと、
今度は料理レシピと出たとします。

うーん、
横尾忠則が料理するかどうか?
それはわからないですが、
ちょっとユニークな企画。
これは企画書を書いて、
当人に当たるしかないか。
いや、その前に調べないと、、、。

なかなか、自分では
思いつかない組み合わせが
出来上がります。

自分の頭の先入観から
自由でいることが、
この単語カードの秘訣です。

ひとかどの書籍の編集者さんなら、
みなさん、一つはこうした、
自己流の企画の立て方を
お持ちでしょうね。

私は、漫画編集者としては、
体当たり式に、
子供時代から読んできた
ビッグな漫画家に当たる
というやり方を、一時期、
ポリシーにしてた時があり、
おかげで、
水木しげる先生のような方に
お仕事をさせてもらえる至福に
恵まれました。

ただ、この10年近く、
コミケ全盛期、SNS全盛期には、
若い才能が溢れるようになりました。
若い漫画家と出会い、
いちから一緒に育っていくことが
主流になっていきました。
私のようなビッグな人ばかりに
頼るやり方は、
またたく間に傍流に追いやられ、
今の私がある訳です。

でも、人生は何がどうなるかは
わかりません。
私流のやり方で
また面白いことができる時代が
再来するかもしれません。

だから、やっぱり、
腐らずにコツコツ生きていきます。

企画の立て方の話から
また、それに逸れました(笑)。

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