【才能】新人漫画家の持ち込みで大事にしたのは、イッチャッテるかどうか?でした
漫画編集者時代、
新人や中堅の原稿持ちこみを
担当する機会が何度もありました。
私がいるような小さな出版社では
そんな、週刊ジャンプみたいに
持ち込みが多く来る訳ではありません。
だから、新人の持ち込みには、
編集者同士で、誰が行くか、
その取り合いになるくらい(笑)。
その新人が未来の人気作家に
なるかもしれません。
少なくとも原稿を最後まで
書き上げた根性があることは
確かなんです。
誰が対応するか?
まずは会社にくる一週間前くらいに
その新人から電話がかかってきます。
会社のバイトか新人編集かが
電話に出て、
「原稿の持ち込みだそうです」
と周りに聞こえるよう
声を張って編集部中に知らせます。
そのとたん「あ、私がでます」と
我先に電話を引き継いだ人が
まずは窓口になります。
それで会社に来てもらう
スケジュールを話して
当日になるまではずっと
ドキドキしてました。
私がいたみたいな小さな出版社に
くるというのは、持ち込みとして
そうとう大手や中規模を
渡り歩いた後かもしれない。
ただ、読んでた本が偶然、
私のいた会社だったとしたら
それは世間知らずならぬ
業界知らずかもしれない。
ピュアかもしれない。
さて、当日。
挨拶して名刺を渡し、
持ち込みの原稿を拝見します。
この時、新人さんからの
ピリピリする視線を感じます。
編集がなんて言うのか
ドキドキしています。
その原稿は、大きく分けて、
2種類あります。
何かしらの形で出版したいのか?
自分の力を知らせる名刺がわりか?
前者が普通と思われそうですが、
実際は、名刺がわりの場合もあり、
それを踏まえて、好きな漫画や
好きな映画、好きな音楽、
好きな文学の話をしながら、
その新人がより一層自分にあった
作品を書くには、どんなジャンルや
どんな世界観がいいか、話し合います。
それで、持ち込み原稿を
書き直して行くか?
全然ちがう作品を1ヶ月後に
ネーム段階でいいので、
宿題にするか?
そこも特にルールはありません。
ただし、私の中で、
たった1つ、決めていた事が
ありました。
「本当に漫画家になりたいですか。
漫画家でご飯を食べ続けるのは、
どっかイッチャッテる位の人
ばかりですよ」と質問することです。
言葉は悪いですが、
専業作家、専業漫画家に
なれるのは、頭か心が正直、
どっかイッチャッテる位、
とにかく書きたい人ばかり。
全然ご飯が食べられない時もある。
1日シーチキン缶詰一個なんて
日があるかもしれない。
自分より上手くない人が人気が出て
自分は何であいつより下扱いなんだ?
そう腹が煮えくり返る日もあります。
それでも漫画家になりたいですか?
そう質問して、迷いない人にだけ
次回の約束をしました。
少しでも動揺したりしたら、
この人は途中で辞める人かな?
と思うからです。
何人も新人のまま、
芽が出なかった人を見ました。
何人も一度は売れたけど
10年は続かないで辞めて行った
中堅漫画家を沢山見てきました。
イッチャッテない人は
とても専業漫画家にはなれない。
創作の女神はなんとも残酷。
noteの女神もなかなか残酷のような
気がしてきました。
noteで食べていくことや
フォロワー10000人達する人は、
強い覚悟を持ってる人でしょう。
そのためなら悪魔に魂を
平気で売れる人でしょう。
私なんて、こんな書き方はしたくない、
あんな書き方もしない、
Amazonの張り付けもしない、
なんて、自分の些細な取り決めに
がんじがらめです。
悪魔に魂を売る度胸はありません。
甘いのかな。
noteでも誰か厳しい判定を
してくれる人がいて、
(note編集部は厳しいことは
言わないでしょうから)
noteの才能があるかないか
判定してくれないかなあ?