【テロル】昭和のテロ、令和のテロは、どう違っていたか?
沢木耕太郎『テロルの決算』。
本好きならご存知ですね。
ノンフィクション好きな人は
たいてい、知ってる、
または読んでる作品です。
安倍元首相事件の後、
この本が脳裏に浮かんだ、
または今も浮かんでる、
そんな人も多いかもしれません。
社会党の浅沼稲次郎・委員長が
選挙演説中、日比谷公会堂で、
右翼の少年により
刀で刺され、殺されました。
1960年、昭和35年のこと。
犯人は少年、17才でした。
彼の名は、山口二矢。
事件直前まで、愛国党の会員でした。
動機は、社会党のトップ、
浅沼稲次郎を倒すため。
太平洋戦争が終了してから15年。
資本主義か共産主義か?
右か左か?
アメリカかロシアか?
日本が政治にあつかった時代。
今回とは違いますね。
今回は、政治的な考えや信条は
関係ないと犯人が最初から
口にしてましたね。
その替わりに、
統一教会に注目が集まっています。
宗教が要因?
いや、基本は、お金、経済面ですね。
山上徹也容疑者の家庭は、
母が統一教会に献金し尽くして以来、
生活は窮乏しました。
だから統一教会を憎んだんです。
元首相が押し進めた
経済政策の結果、
裕福なエスタブリッシュメントは
更に儲けていきました。
貧しい人々には、
這い上がるチャンスは余りない。
エスタブリッシュメントと
非エスタブリッシュメントの対立です。
浅沼稲次郎襲撃事件の本質は
右翼と左翼の激突。
今回はそれは関係ありません。
経済格差、ずばりお金です。
格差社会における、
モテる者とモタざる者の対立です。
浅沼委員長暗殺事件は、
『テロルの決算』で
沢木耕太郎という作家が
核心に迫りました。
今度の事件も、
誰か優れた作者が現れ、
核心に迫るノンフィクションを
書いてくれるでしょうか?
待つことにしましょう。
そんな作者は、
私の、大雑把に単純化した話ではなく
より高い解像度で分析した
本当のリアリティを
展開させてくれるでしょうか。