芥川賞作家といえど、食べていくのは難しい??
最近、あるエッセイが
話題になっています。
「じゃむパンの日」。
昨年末に刊行されたエッセイが
なぜか今になって話題になり
売れています。
著者は赤染晶子さん。
Amazonでしらべた限りでは、
このエッセイ集の他は
2010年に刊行された
「乙女の密告」一冊。
これは芥川賞を得ています。
ですが、今は絶版。
古書店で探すか、
キンドルで読むしかない。
そうして、赤染晶子さんは
2017年に亡くなっている。
生涯、その他、計3冊の小説を出し
他界したことになる。
おそらく、新聞や雑誌への
エッセイの寄稿で、
こういう言い方は下品ですが、
なんとかペンでぎりぎり
食べていけたんでしょう。
それが不思議なことに、
死後6年を経て、
彼女の生前のエッセイが
好きだった編集や関係者の誰かが、
出版しようと奮闘され、
本になったのでしょう。
「じゃむパンの日」の出版社は、
はじめて目にする名前でしたが、
そんなことはどうでもいいんです。
いや、むしろ、
才能ある人が他界され、
芥川賞をとった作品さえ
絶版になっている作家の本を
きちんと世に出す、奇跡のような
出版社があったということです。
これを思うと、
大手の出版社は
太ったゾウのように、
こまわりがきかないんですね。
才能があった作家の、
生前のエッセイを集めた本が
人気が出ているというのに…。
この「じゃむパンの日」は
出すか出さないかは、
出版社側からすると、
もはやギャンブルなんですね。
「じゃむパンの日」は
とても滋味深いエッセイが
たくさん載っています。
大手出版社がきっと今頃、
悔しがっているのが
目に浮かびます。笑。
それにつけても、
このお話で感じるのは、
ペン1本で食べることの難しさ?
いいえ、
大手出版社といえども、
一冊の失敗も許されない、
出版の難しさ、でしょうか。
だから、
本を出したい、
芥川賞を取りたい、
作家で生計を立てたい人は、
芥川賞を取りたいというような
地に足がつかないことよりも、
もっと大事なことがあることを、
しっかり考えて欲しいと願います。
どんな世界を作るのか?
どんなテーマを作るのか?
どんなキャラクターを造形するか?
どんな言葉たちを紡ぐのか?
それは、作家一人一人が
自分で考えていくしかないのですよね。
追伸
さる4月9日には、
新潮文庫から赤染晶子さんの
「乙女の密告」が重版され、
書店に並んでいました。
新潮文庫編集部さん、
批判がまじいことを書いて
申し訳ありませんでした。