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寄付者が離れてしまう5つの行為~非営利組織のコミュニケーションを考える
~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~
私自身、これまでにNPOや大学などの非営利の機関へ寄付することも多くありました。また日本全体として、3・11の東日本大震災を契機に7割以上の日本人が何らかの寄付を行った、という調査結果もあるようです。
そこで、今回は寄付者の視点からみて、もっと良くしてほしい支援者コミュニケーションについて考えてみました。
1.コミュニケーションが寄付のお願いばかり
寄付者が離れてしまう理由として、この話はよく聞きます。私自身も、寄付先から頂くDMやメールを頂きますが、毎回寄付のお願いばかりだと、どうしても気持ちが少しだけ引いてしまうことがあります。
一方のNPO側からすると、寄付する方法を提示した方が良いと考えるのは当然かと思います。少しでも多くの人から寄付してもらいたい、という気持ちもわかります。
そのため、例えば、誰にも彼にも、寄付のお願いをするのではなく、寄付者の傾向(例えば寄付の頻度など)から、グループ(最初は2グループとか、すごく簡単でいいので)分けてみるのも一案です。一つのグループはこれまで通りの方法でコミュニケーションをして、もう一つのグループは、依頼の頻度を下げてみる、といったように。
2.初めての寄付者と、2回目以降の寄付者とで、同じコミュニケーションをとってしまう
初めての寄付者をすぐにメールニュースなどに登録して、既存寄付者と同じようにメールを配信していませんか。寄付者からすると、自分の寄付がどう使われるのかが、まず気になるところです。また、その団体の雰囲気とか、言葉の定義とか、いろいろと分からないこともあります。そうしたなかで、既存寄付者向けのメールが届くと、戸惑ったり、大切にしてもらえてない感など抱いてしまいます。
そのため、例えば、初めて寄付した後は、2‐3通ほど、オリエンテーション的なメールを送るようにするなど、初めて寄付した気持ちに寄り添ったコミュニケーションをとると良いかもしれません。
3.寄付のお礼とお願いを一緒にしてしまう
寄付のお礼と、再度の寄付のお願いを、もし同じメールや手紙で寄付者に伝えていたら、団体としては一旦立ち止まって考えましょう。実は、寄付者は、そうしたメールや郵送物を受け取ったら、違和感がかなり残ります。
4.寄付者の声に耳を傾けない
私たち寄付者は、単に『お金を払う人』ではありません。寄付の背景には、組織のビジョンや活動、その志に共感した気持ちがあります。団体としては、そうした気持ちに寄り添うコミュニケーションを目指すと良いでしょう。
例えば、座談会やアンケートなどを通じて、寄付者にアドバイスを求めるのも良いかもしれません。
5.自分の組織だけを考えてしまう
寄付者が離れる理由は何でしょうか。おおそらく多くは『経済的な理由』をあげるでしょう。しかし、その理由に隠れがちですが、私が思うに、寄付者が寄付行為自体をやめるのではなく、他のNPOへ寄付する、という理由もあると思います。それは、寄付先への興味関心が薄れたり、といった具合に(私もたまにあります…)。
そのため、NPO側としては、似た活動を行っている団体について、定期的にウォッチするのも良いかもしれません。
~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~