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老人ホームは現代の楢山節考なのか?

僕の母はお陰で9月1日に105歳を無事に迎える事が出来ました。残念ながら今はベットに臥せっていますが、母の生命力に驚き啓発されています。
今、お世話になって居るA病院の先生とスタッフに暖かく看護され、母は、心穏やかに過ごさせて頂いています。本当にありがとうございます。

実は、母は一昨年の正月過ぎまで、Xという有料老人ームに10年程、お世話になって居ました。今となっては、そのXというホームを選択した僕の不明の為に、母を傷つけてしまったと深く反省しています。僕は、10数年前まで母と同居していましたが、仕事の関係やライフスタイルの違いから,止む負えず特養に母を預ける事にした訳です。

今でも、Xに行く当日に『嫌や!』と言って柱に抱きついた母の姿を思い出します。一昨日、外国映画で『84歳のスパイ』という外国映画を観ました。アクション好きの僕は、昔のジェームスボンドの様な闊達なスパイが
暗躍する映画と思って観始めたのですが、内容は特養に居る自分の母が泥棒に会っているので内偵する様に頼まれた、心優しいお爺さんの話でした。

この優しいお爺さんが、キリスト教系の特養に潜入し、泥棒を見つけるという話でしたが、このホームのスタッフはXよりも余程良質でしたが、居住者たちの余生の過ごし方や、家族に見放された孤独と絶望感が、ペーソスを持って描かれ、僕の母のいた環境とダブって最後まで観てしまいました。

10数年前に母がお世話になるホームを探すにあたって、B、C, Dと様々な施設を見て回りました。その時の判断基準は今思えば安易だったと反省しています。施設の立派さと周辺環境。僕が作ったデザートや料理の差し入れが出来るか等を見比べてXに決めた訳です。しかしこの判断は誤っていました。

最初の見栄えの良さより日常の住みやすさを吟味すべきでした。
景観よりも、徒歩で親族が通いやすい立地を選ぶべきでした。
差入を認めさせるよりも食事の管理が徹底している施設を選ぶべきでした。
会社の根本姿勢が、奉仕精神に宿るのか、金儲けかを観察すべきでした。

以前倒産したY社ののユニークな髪型のZ社長と紹介で会食したことがありますが『老人相手の商売は商品も売りつけやすいし儲かる。長谷川さんは大変だ』と得意げに話をされ酷い経営者もいるもんだと呆れた記憶があります。
リトルZみたいな介護ビジネス経営者も少なからずいるので要注意です。

このXに見舞いに来る家族は僕を含めて数人で、殆どの居住者は家族に見放され、孤独と戦っていました。僕は毎週、母を訪ねていましたが、他の方は孤独そのもので、幻影からか僕を息子と勘違いしてハグを要望されたり、怒られたりすることが頻繁に起こりました。家族から見放された現代の楢山節考がそこにありました。Xには素晴らしいスタッフも多数居られましたが、新任のいい加減な、にわか仕立てのケアマネージャーも居て、母を誤飲性肺炎や落下骨折させましたが、会社も、当事者も謝罪せず逃げの一手でした。

ホームもB,C,D、Xと様々なタイプがあります。楢山節考的な考えで高い金だけ払って親を見捨てて隔離するならXを選択。頻繁に家族が見舞いに行くなら徒歩で通えるBを選択。無駄な維持管理費用がかからない施設ならCを選択。美味しい料理を毎日食べたいならDを選択。といった具合です。

今後ますます増加する老人と、それに即応して増加せざるを得ない老人ホーム。ほけんの窓口 ではありませんが、終の棲家を選ぶのに行政だけではなく正確な老人ホームの特徴を紹介する組織が必要だと痛感します。失敗は許されません。ホームは入居にすごく費用が掛かり再転居は困難を極めます。

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