改姓(KFK-28)
私は中学3年生になった。弟の子育ては順調そのものだった。
弟は、1歳のとき餅を一升背負わされたりした(黒木家の風習で一生食べ物に困らないおまじないとのこと)。
頭が大きいので、最初はよく転んだ。頭を打った時はヒヤヒヤしたけど、まだ幼児なので骨が柔らかいのだろうか、コブができる程度で済んでいた。
その頃私と妹は、ある問題について母親と話していた。
『名字をどうする』問題である。
母は弟を生む前に入籍していたけど、私と妹は父の姓をそのまま使っていた。それがもやもやしていた。
母が結婚して姓が変わるなら、私達も変えるべきでは?というのが私の考えだった。
ただ中学在学中に変えるのは、またイジメの対象になるかも知れず、中学卒業まで待って欲しいと伝えた。
母は『考えてみる』との返事だった。
私は高校に進学した。性は変わっていない。
何故変えてくれないのか?と母に訊いた。
『手続きが面倒で大変だから諦めた』
『姓を簡単に変えるもんじゃない』
『(弟の父)が反対した』
との事だった。
黒木のおじさんは、私達と家族になることを拒んだのである。
それは私の高校生活へ、次第に影響を与える事となる。